ここのところ、お金の話題が多くなっていますがご容赦ください。
本日は奨学生に関する話題を日本経済新聞から。
奨学金受ける高校生、3割バイト経験 うち4割「学費」 :日本経済新聞
これはあしなが育英会が行った調査で、奨学金を貸与している3,543人の高校生に調査票を郵送、2,118人から有効回答を得たとのことで、ある程度信頼できるデータではないかと感じます。
調査の結果、高校生になってからのアルバイト経験者は36.6%。
バイト代の平均月額は34,784円で、2万円以上4万円未満が42.5%と多かった一方、6万円以上という回答も11.6%あったとのことです。
そしてその使い道は自分の小遣いが72.0%で最多ですが、「通学の交通費や部活など学校の費用」が41.2%、「学習塾や進学の費用」が9.1%となっています。
素直な感想を言えば、アルバイト経験者が3人に1人という割合であるというのは奨学生以外と比較して決して高いとは言えないような気がしました。
この記事にも「バイト経験者の割合を、奨学金を借りていない高校生と比較することは、同様の調査がないため難しい」との専門家コメントが付されています。
しかしながら、稼いだお金をどのように使うか、という観点からすると、学費負担にその一部、あるいは多くが回されているケースもかなりあることが分かります。
経済的に厳しい高校生が決して少数ではないという現実が見て取れますね。
私学は、家計にある程度余裕があるご家庭の選択肢としてこれまで存在してきていたという側面は否めません。
そして、今後もそのような特徴が完全に消え去ることはないのではないか、と思います。
一方で、自校を希望するご家庭や子供たちが経済的理由のみで断念するという事例が多く発生すれば、現状あるいは理想の規模を維持できないという可能性もあり得ます。
さて、今後の学校経営をどうすべきか。
学費の水準は、奨学制度は、人件費は…経営課題は尽きません。
このような状況にあって、各私学にぜひお考えいただきたいのは、どのような子供たち、どのような家庭を自らの顧客と位置付けるのか、ということ。
そして、その顧客に対してどのようなサービス(教育)を提供するのが最善なのか、ということ。
これがまさに私学における「マーケティング」です。
顧客を定義し、その顧客に適したサービスを定義する。
その結果、自校ならではの奨学制度が必要なのか、あるいは公的制度を活用するのかといったこともきっと見えてくると思います。
闇雲に「世間並み」を目指すのではなく、御校らしく経営する、その枠組みをしっかりと議論していただきたいと願う次第です。