先日実施した「教職員の採用と育成」をテーマにしたセミナーで、何名かのご参加者から質問を頂いたこともあり、ここ数日、当該テーマについていくつかの学校の方のお話を伺うことができました。
その結果、体系立てた研修計画を持っている学校は確実に存在しているんだ、ということを確信するに至りました。
そして本日のブログはこれに関連して、研修についての記事をご紹介します。
朝日新聞より。
新人先生、じっくり研修 担任持たず1年間 岐阜県教委:朝日新聞デジタル
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担任を持たずに1年間、という表題に驚きますが、担任は持たなくても、授業の受け持ちは発生しているようです。
今回の記事の末尾にある先生の1週間のスケジュールが掲載されていますが、上半期には週1日、下半期には週4日の授業が設定されていました。
「スタートアップ・プラン」と銘打ったこの取組、対象の新任教員15人はすべて小学校教諭。
配属も各小学校になされてはいるものの、クラス担任を持たず、9月末までは「集中型」として週のほとんどの時間を教科ごとの指導法や、児童指導のノウハウなどを学ぶ研修に費やされるようです。
ちなみに10月からは「実践型」として研修は週1日に減り、副担任を受け持つ学級で授業を担当するとのこと。
これまで公立校では、新規採用の小学校教員の実に95.5%が学級担任を受け持ち、同時に「初任者研修」を受けるという形式での育成がなされてきました。
今回の取組はこれを覆し、じっくり研修を受けさせ、プロの教育者に育て上げるのが狙い、と記事には書かれています。
私学には「初年度契約は常勤、その後数年を経て専任教員へ」という業界独特のルールが維持されている学校が多いこともあり、初年度から担任を持つことになるかどうかは常勤が担任を持てるかどうかにも関わっているところがあるでしょう。
そして、そのような身分の不安定さからしても、初年度から充実した研修を実施する仕組みを持つ私学はかなりの少数派だと推測できます。
私個人の意見としては、研修と実践は相互に組み合わせることによって効果を生むと考えています。
ですから、初年度にべったり研修を行う、ということよりも、
1st:「実際の授業を経験すること」と「Off-JTとしてのコアスキル習得及び指導ノウハウ蓄積」をそれぞれ3:2程度の割合で進めていく
2nd:授業の比率を上げ先輩からのフィードバックを受け改善を進める(OJTとしての研修)
3rd:学年団、教科単位、全校での授業改善ディスカッション等で組織全体のレベルアップとノウハウの共有化、学校としての目標の再確認を行う
4th:外部への公開授業等を通じたさらなるレベルアップ(切磋琢磨)で私学全体の教育力を高める
といった流れで、個々の先生方のスキルアップを進め、それが組織レベルでの教育力向上につながっていくことを意図すべきではないでしょうか。
学校にとって最も重要な財産は間違いなく「人」です。
組織のメンバー全員が大きな目的に向かい、その力を存分に発揮できるしくみづくりをぜひご高察いただきたいと願っています。