先週末の教育関連記事として一番大きく採り上げられたのはおそらく「スーパーグローバル大学」のネタだったのではないでしょうか。
記事の順序としては逆なのですが、まずは朝日新聞のこの記事を採り上げます。
37校、選考基準・ねらいは? スーパーグローバル大学:朝日新聞デジタル
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この記事には「スーパーグローバル大学」の定義が掲載されています。
まずはそれを見ておきましょう。以下引用です。
国際競争力を高める目的で、海外の大学との連携や世界レベルの研究に取り組む大学に、国が重点支援する。昨年、政府の教育再生実行会議が提言したことを受け、今年度初めて選考した。今後10年間、「トップ型」では毎年最大5億円、「牽引型」で最大3億円の支援金が出る。選考は、大学教員らでつくる審査部会が書類審査と面接を実施。「外国籍の教員の割合」「英語による授業の設置」など41項目を共通指標として、検討したという。
総論的な記事は以下、朝日新聞にも毎日新聞にも掲載があります。
世界に通用する大学支援 スーパーグローバル37校選出:朝日新聞デジタル
この記事には本件に申請したすべての大学名が掲載されています。
スーパーグローバル大学:世界の大学目指せ! 37校選定 - 毎日新聞
こちらの記事には審査基準として「学生・教員の外国人比率の向上」「入試改革」「留学生と日本人学生が一緒に住める環境の整備」など41項目の観点で評価されたことが載っています。
今回選出されたのは旧7帝大のほか、早稲田大と慶応大など私立の有名校14校など。「東京芸術大や京都工芸繊維大など特定分野に強みを持つ国立大のほか、福島県の会津大や秋田県の国際教養大などの地方公立大も名を連ねる」(毎日新聞記事より)結果となりました。
冒頭に紹介した朝日新聞の記事には、
『国の「お墨付き」を得た大学は、今後のグローバル化関連の予算獲得が有利になる一方、「選ばれなかった大学は、今後運営が苦しくなるだろう」。政府主導の選別で大学間の格差が広がることを懸念する。』
というある国立大副学長の見解を掲載しています。
「頑張る者にはそれなりの報酬を」という成果主義はこのような選別の格差につながることが少なくありません。
この制度が健全に機能することを願っています。
そして最後に、同じ記事の中で一つの示唆を与えてくれたこの文章を紹介しておきましょう。
「全員留学」を打ち出して話題を呼んだ一橋大も、採択されなかった。大学の評価・広報課は取材に対し「回答しない」としたが、ある教員は「準備期間が短く、既存の事業を継ぎ合わせた構想になってしまった」と明かす。「そもそも外から言われて国際化するというのは無理があるのではないか」と疑問を投げかけていた。
国からの助成はいただきたい。が新たなことを始めるのは現実的には難しい。
上記実例は国立大のものですが、特に私学ではそんな狭間で悩むケースは多いように思います。
現実を前提に考えれば、新たな発想が出にくいばかりか、理想を現実にしようとする際の障害ばかりが目についてしまうことでしょう。
その結果が「既存事業の継ぎ合わせ」になってしまうことは、より良い教育の提供者である学校として、やはり寂しさを禁じ得ません。
これは今回のような政策誘導の話よりももっと重要な、「自らの立ち位置」「理想の姿」の実現に関わることとして、やるべきこと、あるいはやりたいことをまずはしっかりと見据え、そこから現実とのをギャップを測るような手順が望まれます。
理想を叶えようとする力強さを、各私学にはぜひ持っていただきたいと切に願います。