寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

日本の教員 勤務時間最長

本日の朝刊各紙、こぞって採り上げている話題がこちらです。


まずは毎日新聞から。

国際教員指導環境調査:世界の中学、OECD調査 日本の教員、勤務時間最長 週53.9時間 部活、事務で(全文読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)

クローズアップ2014:日本の教員、勤務時間最長 「授業外」仕事に追われ 残業、休日出勤当たり前

そして日経。

日本の教員、勤務時間が最長 OECDが中学調査

さらに朝日新聞がこちら。

日本の先生「自信」最低 勤務時間は最長 OECDの中学教員調査(会員限定記事です)

日本の先生、世界一多忙なのに指導には胸張れない(こちらも会員限定記事です)

産経新聞もあります。

日本の先生、働き過ぎ? 「授業以外」に追われ、仕事時間最長 OECD国際教育調査

「能力あるが自信なし」 OECD国際教育調査から浮かぶ日本の教師像


各紙の着眼点は少しずつ異なりますが、記事の内容をまとめるとこんな感じになります。

●1週間当たりの教員の平均勤務時間:参加国平均=38.3時間/日本=53.9時間(参加国中最長)

・部活動など課外活動指導時間:参加国平均=2.1時間/日本=7.7時間

・書類作成など事務作業の時間:参加国平均=2.9時間/日本=5.5時間

・授業時間:参加国平均19.3時間/日本17.7時間

●「指導力」に対する自己評価(それぞれの問いに「非常によくできている」「かなりできている」と答えた教員の割合)

・「学級内の秩序を乱す行動を抑えられる」:参加国平均=87.0%/日本=52.7%

・「生徒に勉強ができると自信を持たせる」:参加国平均=85.8%/日本=17.6%

・「勉強にあまり関心を示さない生徒に動機付けをする」:参加国平均=70.0%/日本=21.9%

・「生徒の批判的思考を促す」:参加国平均=80.3%/日本=15.6%

●教員に占める女性の割合:参加国平均=68.0%/日本=39.0%(参加国中最低)

・女性校長の割合:参加国平均=49.4%/日本=6.0%(参加国中最低)

●教員の平均年齢:参加国平均=43歳/日本=42歳

●受け持ちの生徒数(1学級当たり):参加国平均=24人/日本=31人

(なお新聞記事には掲載されていませんが、調査結果そのものには「学校規模については、初等教育後期中等教育を合わせて行う学校種が含まれている国もあることに注意が必要である」との注釈が付されています)

●「もう一度仕事を選べるとしたら、また教員になりたい」と答えた割合:参加国平均=77.6%/日本=58.1%

●「教職は社会的に高く評価されていると思う」と答えた割合:参加国平均=30.9%/日本=28.1%

記事を読んでいるだけで辛くなってしまうような内容です。

が、この調査、日本の学校の構図の「縮図」に非常に近い形で実施されています。

つまり、人口の多寡や公私の別など、ほぼその割合を忠実に再現してサンプルが抽出され、それらの学校の中でも年齢層や性別、指導教科を考慮して対象教員が抽出されています。

他国も同様に実施しているとするなら、この調査結果はほぼ実態を表していると言えるのでしょう。


調査結果自体をご覧になりたい方は、こちらに要約版が挙がっておりますのでご参照ください。

TALIS日本版報告書「2013年調査結果の要約」


この要約版を見ると、「校長のリーダーシップ」について紙面が割かれています。

この中では、管理職としての校長の役割に対し、知識も意識も十分に高いとの総括がなされているように思いますが、これについては経営面への配慮が必要な私立とそうでない公立で大きな差があるのでは、と感じざるを得ません。

私自身、学校経営を支援させていただく立場として、現状において学校経営について学ぶ機会が十分だとはとても言えないと思っているからです。

もちろん、このことは今回の統計の主眼である国際比較の論点ではないのでここで採り上げる問題ではないのだとは分かっているつもりなのですが。


それにしても、日本の学校の先生方は本当に辛い立場にいらっしゃることがよく分かります。

まずは先生たち自身が認められ、受け入れられることが最重要課題だと思わずにいられません。

それが実現して初めて、先生たちが子どもたちを認め、受け入れることができるようになるのではないでしょうか。

学校も、家庭も、社会も、教員の重責・重労働にしっかりと思いを致すことが出発点になりそうです。


(文責:吉田俊也)