この先の私立中学の市場が少し心配になるニュースを見つけました。
リセマムさんの記事です。
東京都公立小の中学受験進学率は17.8%、最多の千代田区は55.5%
記事によれば、東京都教育委員会が公表した平成24年度公立学校卒業者の進路状況はおおむね次のようになっています。
〇平成25年3月の都内の公立小学校卒業者数:95,149人(前年度比362人増)
・都内の公立中学校への進学者数:77,586人(81.5%、うち公立中高一貫校は1.1%)
・私立中学校への進学者数:15,502人(16.3%)
・国立中学校への進学者数:377人(0.4%)
〇過去5年間の進学状況
・私立中学への進学率:前年度比0.2ポイント減(参考:平成19年度は17.6%→平成24年度は16.3%と年々減少傾向)
・公立中高一貫校への進学率:平成19年度は0.5%→平成24年度は1.1%と倍増
原典をご覧になりたい方はこちらへどうぞ→平成25年度 公立学校統計調査報告書 【公立学校卒業者(平成24年度)の進路状況調査編】
この原典には「公立小学校卒業者の進路状況推移」という名称の資料も付いているのですが、これを見ると、
・昭和60年ごろ~平成5年ごろ…小学校卒業生全体の数は大きく減少し始めるが、私立中学進学者数は逆に急増
・平成5年ごろ~平成20年ごろ…私立中学進学者数は減少するが、小学校卒業生全体の減少幅と比べるとその割合は小さい
・平成20年ごろ以降…私立中学進学者数のシェアが下落
といった傾向が見て取れます。
私が住む大阪、関西については同様の資料がないのですが、東京以上に私立中学の市場は縮小傾向にあるような気がします。
この記事を読むとシェアを奪われている相手は「公立中高一貫校」や一般の公立校のようです。
私立中学は経済的にある程度余裕のある家庭が顧客層として考えられるわけですが、果たして各中学の魅力がそれらの家庭に訴求できているのか、また訴求するための中身の充実が図られているのか…再点検が必要なのかもしれません。
限られたパイを奪い合う、という考え方は個人的にあまり好みませんが、だからこそ、その学校ならではの強みが子どもたちや家庭に伝わり、相思相愛での学校生活が送られることを願ってやみません。
全体としての市場が縮小することは前提として捉えつつ、その中でどのような教育内容、どのような規模で自校の未来図を描くのか、考察を始めるのは待ったなしだと痛感しています。
(文責:吉田俊也)