週末のニュースですでにご存じの方も多いかもしれませんが、本日は人口目標について採り上げてみようと思います。
朝日新聞より。
(全文読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)
「50年後に1億人程度の安定的な人口構造を保持する」というのが今回の目標。
経済財政諮問会議内の試算では、女性が生涯に産む子どもの数を示す出生率をいまの「1.43」から2030年時点で「2.07」に回復させれば、2060年代でも1億人を維持できるとのこと。
記事に書かれている今回の原案は、この実現に向けて「2020年をめどに少子高齢化の流れを変える」と掲げています。
私学においても人口を意識すべきことはこのブログでも採算採り上げていることですが、せっかくの機会ですので、現状のまま推移すれば人口がどうなるかということについて、内閣府HPを参照してみました。
以下の通り、50年後には9千万人を割り込む人口予想となっています。(単位:千人、表の縦列がずれて読みにくいですがご容赦ください)
年 2010年 2015年 2020年 2030年 2040年 2050年 2060年
総人口 128,057 126,597 124,100 116,618 107,276 97,076 86,737
0~14歳 16,803 15,827 14,568 12,039 10,732 9,387 7,912
年少人口も引いてみましたが、こちらは50年で半減。
学校においては特に、このことをしっかりと捉えておく必要があるでしょう。
実は今回この記事を採り上げたのは人口のことをお伝えしたかったことのほかに、もう一つ意図があります。
それは「目標の掲げ方」。
記事によれば、今回の設定目標については「人口1億人」というものになっており、「出生率2.07」ということにはなっていません。
これは以前も出ていた議論ですが、出生率の目標を設定することは「出産の強制」との批判があるためです。
一方、事業経営においては、目標として優れているのは定量的なものであり、定性的なものはぼんやりしてしまって目標に適さない、という意見が確かにあります。
が個人的には、目標をどのように設定するのかということについては対象に応じて柔軟に考える必要があるのではないか、と感じます。
定量的な目標の代表例である「数値目標」には、目指すべきゴールが明確であり、達成したのか未達なのかが容易に評価できるという特徴があります。
このことでその目標のもとに存在する構成員には目標達成の意識が定着しやすく、目標に向かう行動が取られやすくなるのは間違いないでしょう。
が逆に、数値目標そのものが目的化しやすく、本来なら目標の先にある「目的」と、目標そのものが異なっていることに気づきにくくなることも忘れてはなりません。
本日採り上げたニュースにおいても、本来は経済規模の維持発展が目的であり、決して人口1億人が目的化してはならないのでしょう。
が数値目標を掲げるとどうしても意識はそちらに向いてしまいます。
このことを、経営体としては十分に考慮し目標設定をすべきではないでしょうか。
行動を定義するためには数値目標。意欲を喚起するためには定性目標。このように使い分けてみることをぜひおすすめしたいと思います。
御校の目標、適切なものになっていますか?
(文責:吉田俊也)
★学校経営セミナー第2回★経営分析と管理会計で学校経営の課題を発見する…今週末開催です!お待ちしております。