寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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学校法人元課長が1億円着服

本日はよろしくないニュースをお届けします。

日経より。


学校法人元課長が1億円着服


この事件が起きた学校法人によれば、この元課長は2011年から12年にかけて、学校の運営費として積み立てていた定期預金1億円を解約、45回に分けて全額を引き出したとのこと。加えて、校舎の用地取得資金であった約1,200万円も着服したそうです。

そしてこの事件が発覚したのは2013年の春。

別の職員が定期預金の残高を確認したところゼロになっていたそうで、元課長は着服を認め、学校側は翌月にこの課長を懲戒解雇とした、と記事に書かれています。

教育のために用いられるはずのお金が個人的な使途に消えたとなれば大問題です。


そしてそれ以上に感じるのは、学校法人における内部統制の仕組みについて。

特に資金管理が組織的に十分行われている学校法人さんは、私が見る限り決して多くないというのが実感です。

その一つの理由は「体制(機関)」、もうひとつは「人員数」だと私は感じています。


後者に挙げた人員数については、要するに事務部門あるいは経営管理部門の人員が非常に少ないということ。

学校法人においてはとかく事務部門の人員を極力少なくしようとする動きが多くみられ、退職の補充をしなかったり、あるいは常勤者を非常勤や派遣社員に変えることで業務への投下時間数を削減しようとしたりすることがよくあります。

が、現代の学校事務は補助金の手続きをはじめ、非常に手のかかることが多いものです。

もちろん無駄を省くことは重要ですが、必要以上に人員を削減するのではなく、当初からそのコストを織り込んだ形で計画を練ることも重要ではないでしょうか。


そして前者の体制・機関ということについては、内部監査の仕組みが整っているかどうかということ。

監査、という名前にとらわれすぎるとかえって躊躇してしまうかもしれませんが、要するに各業務のチェック体制を整えればよいということ。

例えば

・預金残高は毎月末に担当者以外が必ずチェックする

ということだけを決めておくのでも、今回のような問題はある程度防止できるはずです。

不祥事というのは「当たり前のことをしていれば防げる」ことがほとんど。

特に大きなお金が動きやすい学校法人においては、当たり前のことをいかに当たり前にやるかということが大きな意味を持っているといえるでしょう。


仲間や同僚を疑いたくないのは誰しも同じです。

ですから、そうならないように仕組みを整えておくこと。

これが学校事務、経営管理における鉄則ではないでしょうか。


(文責:吉田俊也)