連日大学関連のニュースになってしまって恐縮ですが、私大のみにスポットを当てた統計はそれほど多くないので、ご紹介させていただきます。
日経から。
ちなみに、同じ調査をネタにしたニュースは他にもたくさん。
YOMIURI ONLINE→足りる?…下宿生への仕送り、1日に937円
リセマム→私大受験から入学までの費用、9割が負担重い…自宅外は210万円
毎年の定点観測的な調査になっているので、この時期にこの結果を興味を持ってご覧になっている方も多いのかもしれません。
ちなみに、ネタ元はこちらです。概要版ですが、ご興味があればどうぞ。
この調査は、日経が引いている仕送り額の他にも、「受験時の支出」「入学時の住居費」「受験から入学までの費用」「入学の年にかかる費用」「入学費用の調達」「受験から入学までの費用の負担感」など、気になるデータがたくさん集まっています。
ちなみに、調査元である東京地区私立大学教職員組合連合のまとめによれば、今回の調査結果のサマリーは以下の通りとなっています(「2013年度調査のエッセンス」より引用、加工)。
・受験から入学までの費用(自宅外通学者)=211万円
・入学の年にかかる費用(自宅外通学者)=294万円~年収の3分の1を占め家計の大きな負担に
・月平均の仕送り額=89,000円で過去最低額を今年も更新
・家賃を除いた1日あたりの生活費はわずか937円
・新入生の6割以上が奨学金を希望する・希望者のうち、実際の申請者は65%で過去最高・17%の家庭が入学費用を借入れ(平均借入額169万円)
・9割以上の家庭が入学費用の負担を「重い」と感じている
ちなみに、それぞれの項目について前年度調査と比較した場合にはこんなふうになります(筆者作成)。
・受験から入学までの費用(自宅外通学者)…0.1%減
・入学の年にかかる費用(自宅外通学者)…0.3%減
・月平均の仕送り額…500円減
・家賃を除いた1日あたりの生活費…14円増
・奨学金希望者のうち、実際の申請者…2ポイント増
わずかではありますが、家計にとって私大の費用負担はきつくなっているように見えます。
先日、このブログで私大の初年度納付金が減少したというニュースをお届けしました。
こうやって別の調査から見てみると、家計負担の軽減が学生募集に対して効果が高いと判断された結果と言えるかもしれません。
先日ある法人さんでも
「支出減には限度がある。やはり収入確保策を考えないと」
といったご意見を耳にしました。
固定費の多い学校法人においては、損益分岐点(売上と費用が一致する売上高)がどうしても高くなり、そのため収入がある水準を割り込むと簡単に赤字体質になってしまうという特徴があります。
そして、収入は「単価」と「数量」の掛け算で決まりますが、その両者は負の相関を持っていることが多いものです。
単価と数量のバランスがベストになるのはどこなのか。
そして、単価確保のためにどんなサービス内容を確立すればよいのか。
言葉遣いは学校にはなじまないかもしれませんが、そのような考察が必要なのは間違いないと思います。
家計という市場を見据えつつ、よりよい学校財政に向かっていただきたいと切に願う次第です。
(文責:吉田俊也)