今日は給付型奨学金のお話を採り上げます。
朝日新聞より。
(全文読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)
新年度から低所得世帯の高校生に向けた奨学金制度が始まるわけですが、この制度を巡って大阪府議会で議論が起きているとのこと。
その理由は「使途の確認」。
大阪府ではこの奨学金が教育費に使われたかどうかを独自に確認するという方針であり、このことに対する反発もあるようです。
知事の言い分は
「現金給付だと教育費以外に使われてしまいがち。修学旅行の積立金(としての給付)なのに結局、旅行を諦めなければいけないような現象があるのではないか」。
確かに、教育費に使われるべきお金が別の使い方をされ、結果として子供たちが教育を受けられないとすればそれは問題だ、とも思います。
が、一方で教育費に使ったかそうでないかをチェックするのはとても大変なことです。
実際、今回の制度でも、この事務負担を考慮した結果、国の制度がこのような形に決着したという経緯があります。
ちなみに、大阪府下でこの使途チェックにかかる人件費は年間約1億円とのこと。
大きい金額であることは間違いありません。
さらに、大阪府で制服代が奨学金対象項目から外れていることに対し、教育長が
「制服が買えなくて困っている声は学校現場から聞いていない」
と説明したことにあるNPO法人が反発している様子も記事に掲載されています。
確かに私自身も制服代が高額に上ることに対する経済的な厳しさを教育現場では何度も耳にしていますので、少々現場感の薄いコメントだと感じざるを得ませんでした。
以前の私学であれば、相対的に見れば家計に余裕のある世帯が多く在学されていたと思われますが、現在はおそらくそうは言い切れないでしょう。
そのような中で制服代をはじめとする周辺費用が家計を圧迫しているケースも少なからずあるのではないでしょうか。
一方で、私学にとっては納付金以外の収入確保策の重要性は増すばかりです。
どんな商売であっても値付けが一番難しいと言われますが、学校もそういう時代になってきたということでしょうか。
(文責:吉田)