寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会

本日は少し着眼点を変えて、子供たちの生活習慣について採り上げてみたいと思います。

文科省より。


中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会(第2回)議事概要


何気なく読んだこの記事ですが、知らないことがたくさん載っていて、改めて生活習慣を整える大切さに気づきました。

例えばこの意見。(筆者が一部加工しています、ご了承ください)

 中高生や保護者へどういう科学的知見を教えるか、夜型になるとどういう恐ろしいこと、リスクがあるのかということを、レム睡眠に関して説明する必要がある。

 レム睡眠は早朝に多く出て、また、レム睡眠の前にたくさん寝ていないとなかなかレムは出ないため、遅寝遅起きをしていると、睡眠時間が長くてもレムが結局取れない。レム睡眠では、頭の整理をしているため、それが不足すると記憶が定着しなかったり、海馬というところで一時保存されていた記憶が消えてしまうというようなことが起こったりする。レム睡眠を確保するためには早寝早起きするしかない。

 また、成長ホルモンの出る時間は決まっており(中高生だと9時、10時)、そのときに徐波睡眠といって、ノンレム睡眠の徐波睡眠という深い睡眠でないと、なかなか成長ホルモンが上がってこない。成長が十分な女子高生に対しては、成長ホルモンが出ると美容に良く、昼間の壊れた組織を修復してくれるという効果がある、アスリートの場合は、成長ホルモンが毎日出ていないと、練習で痛めた組織を修復できないので、そのあたりも説得する材料になるかもしれない。夜型生活は中高生の心の健康を脅かし、非行行動、ひきこもり、暴力、けんかが絶えないなどのリスクも高まるということが考えられる。

今まで漠然と「早寝早起き」を捉えていたのですが、中高生にはとても大切な習慣なのだと気づかされました。


そして睡眠に関するこの意見。(同じく筆者が一部加工しています、ご了承ください)


 不登校が多い中学校での睡眠調査票を使った調査の結果では、睡眠に問題を抱え、不登校予備軍ともいえる生徒が目立つ。その多くは、夜の基本睡眠時間が短い。ただ、その短時間睡眠の生徒の中には、土日の長時間睡眠や帰宅後睡眠などで不足分を補い、何とか必要睡眠時間を確保している生徒と、全く補充睡眠をとっていない、明らかに睡眠不足状態の生徒がいる。前者は、学校へは来るが午前中は無気力で、午後から元気になり、時に授業に参加しないで学校内をうろうろしていたり、学校から出ていくというような問題を起こしている。後者は、結果的に長時間睡眠となり、生活軸がずれ、不登校につながっていった例もあり、不登校になる可能性をもっている。

 問題は、自立性を尊重すべき高校生でも睡眠の働きを理解しておらず、「睡眠=疲れを取る」という程度にしか捉えていない現状である。近年、食育への関心が高まってきている中で、生活リズムの基本である「眠育」は色々な面で遅れている。朝食をとっていなかったり、簡単なもので済ませている高校生の多くは、夜更かしをしており、朝は食欲がない、食事をとる時間がないなどの理由を挙げている。その結果として、午前中、気力や集中力が弱く、事故を起こしたり、事故に遭いやすくなっている。睡眠のずれ、夜更かしが、学校生活に悪い影響を与えていることを、生徒自身が理解する場が必要である。

 社会全体として、中高生の睡眠時間は7時間とか6時間だという風潮が学校現場でも指導者にもあるが、通常、中高生では8時間の夜間睡眠が必要。脳が発達するのに必要な睡眠時間として、小児科の教科書に書いてある。また、自立というのも自己肯定感が確立されて初めて起こる現象であり、そのためにはセロトニン神経系の適切な発達を促して不安が低いことが必要である。

これまたよく知らないことが書かれていました。睡眠不足は良くない、という程度で済ましてはならないのですね。


さらに、現状を改善しようと、生徒や学校が積極的に活動している事例も以下の通り紹介されています。

 ある高校の生徒会が、ノースマホデーを作ろうと校長先生に掛け合った。生徒もやはり何らかの問題意識は持っていて、日頃ずっとみんながやっているのを見て、まず取り組むべきだと自ら動いたという。

 ある学校が、ノーメディアデーを生徒会ではなく校長先生の発案でやった。少し実験的にやってみようかと言ったら、生徒の中に「校長先生が言ってくれてよかった」というふうに思っている人が結構いた。生徒会に問題意識があっても、なかなか言えない場合もあるが、それを誰かが言ってくれると助かるということなのでは。

なるほど、両者ともに納得できる内容です。


生徒たちの学習効果を高めるために、いやそれよりも根源的に、いかにして人間らしく健やかに成長してもらうかということを考えるために、このような情報は不可欠ではないでしょうか。

私のように「なんとなくいけないことだから」ということではその行動を是正しづらいのは明らかです。

私学においては学習そのもの、あるいは進学という成果に目を向けがちではありますが、その前提として、子供たちの生活環境をいかにして整えるかということについても十分に理解して活動を進める必要があると感じました。

ぜひ学校関係者さんのご参考になればと思う次第です。


(文責:吉田)