寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

「学びの場」閉ざす厳格ルール

オリンピックのニュースが連日届く今日この頃。

見ているだけでワクワクします。


さて今日は日経からこんな記事を採り上げてみました。


「学びの場」閉ざす厳格ルール

(有料会員限定記事です。ご容赦ください)


規制緩和なのか、むしろルールの厳格化なのか。

学校をめぐる規制は難しい局面を迎えています。

以前、このブログでも採り上げましたが、経営が立ち行かなくなる事例が実際にいくつか見られており、学校に対する指導を強める必要性がないとは言えないのは事実でしょう。

ただ一方で、今回採り上げた記事は、学校の認可基準があまりにも厳格すぎるという点を問題視する内容になっています。


記事にあるのは、次の3事例。


・ある特区で株式会社が運営する通信制高校に対し、「試験や指導の際には生徒を本拠地(=特区内)に集めてやってもらいたい」との文部科学省の要請があった事例。

 認可の際には求められなかったことを今更求められる理不尽さ、そして特区以外なら試験も自宅で済む通信高校が実際に存在しているという矛盾が指摘されています。


・ある外国大の日本校の事例。すでに30年以上の実績があるにもかかわらず、学校法人になるための要件は新規参入と同じものになります。そしてその要件とは「土地と建物を所有し運営経費の1年分を積み立てておく」又は「土地と建物を借りてもいいが4年分の運営経費を用意する」というもの。

 この学校の場合、必要資金は60億円以上で、しかもその資金集めは融資ではなく寄付だけという厳格さ。学校法人になること自体が非常に難しいのが現実です。


・A県の私立学校審議会は、B県に存する学校法人がA県内に中学校を開設しようとしたところ、強い批判にあったとのこと。私立学校審議会は学校法人の新設を審議する会で、そのメンバーの大半は地元校の理事長や校長ら「同業者」。つまり新規参入を嫌がる立場の方々で構成されているわけです。

 記事によれば、新設校は「生徒は外から連れてくるので競合しません、と言わなければ、すんなり認められない」とのこと。だから新設校はどうしても全寮制が多くなるようです。


私自身、学校法人の経営基盤は相当安定していなければならない、という立場です。

それは、一度開校すると、その社会的存在感は計り知れないから。

ですから、必要資金や基本財産に関するある程度の規制はやむなし、と考えています。

が、それをあまりに杓子定規に考えるのもどうか、とは思います。

「許可」ではなく「認可」という行政処分である以上、柔軟さを求めるのは酷であることも承知しつつ、納得のいかない気持ちも抱いてしまいます。


これまでの流れからしても、今後ますます学びが多様化していくことは必然でしょう。

その中で、各私学がどのような特色を打ち出し、魅力を発信できるのか。

各私学自身の自助努力はもちろん、場合によっては業界に新たな風を吹き込む存在も否定してはならない気がします。

非常に難しい問題であるだけに、いろいろと考えさせられる記事でした。


(文責:吉田)