消費税のアップを筆頭に、税制改正のニュースがたくさん流れている昨今ですが、今日のこのブログでは、文科省関連の税制改正についてまとめておこうと思います。
いつもこの手の情報をお伝えする際にはご留意いただいていることですが、私のスタンスとしては、少々正確さが失われたとしても分かりやすく記す、ということを主眼に置いております。ご容赦いただければ幸いです。
まずは改正事項全体をまとめておきます。
太字が大学を除く私学及び学校利用者家庭に関連するものです。
1.改正される事項
(1)高等学校等就学支援金制度の見直しに係る所要の措置【所得税等】
(2)子ども・子育て支援新制度の施行に伴う税制上の所要の措置
・幼保連携型認定こども園に対する税制上の所要の措置【所得税等】
・幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の教育・保育機能部分に対する税制上の所要の措置【登録免許税等】
・市町村認可事業として位置付けられる小規模保育等に対する税制上の所要の措置【所得税等】
・病児・病後児保育事業及びファミリー・サポート・センター事業に対する税制上の所要の措置【固定資産税等】
・給付の対象となる施設・事業者を利用した場合の保育料等の非課税措置【消費税等】
(4)重要有形民俗文化財を国又は地方公共団体に対して譲渡した場合に係る所得税等の軽減措置【所得税等】
(5)地方独立行政法人に対する寄附金等・重要文化財等の譲渡に係る課税標準の特例措置の拡充【所得税等】(総務省との共同要望)
(6)指定都市に係る県費負担教職員の給与負担を道府県から指定都市へ移管するための税源移譲【住民税】
(7)被用者年金一元化法等による私立学校教職員の共済年金の廃止及び「年金払い退職給付」制度の創設等に伴う所要の措置【所得税等】
2.今後の検討事項(与党大綱に明記されたもの)
(1)学校法人への個人寄附に係る税額控除の要件の見直し【所得税】
実は今回の税制改正では、学校に関連する改正事項は多くありません。
強いて挙げれば認定こども園をはじめ、就学前の子育てに関する税制面の整備がなされたというのが目玉になるのでしょうか。
ちなみに、上記1-(1)については、表題だけ見ると何事かと思ってしまうのですが、内容は「高等学校等就学支援金については、引き続き非課税措置及び差押禁止の措置を講じる」というだけのもの。重要性は高くないでしょう。
研究機関にとっては1-(3)は大きいように見えますが、これもこれまでの制度を改組・延長したもの。目新しさはありません。
そして、1-(7)はむしろ「私立学校教職員の共済年金の廃止」という文言にドキッとするところかもしれません。税制改正内容よりもこちらを以下でおさらいしておきます。
「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が平成24年8月に制定され、同法附則等の規定に基づき、「私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律」が平成24年11月に制定された。
これらの法律に基づき、平成27年10月に、次の措置を講ずることとされた。
1.厚生年金に私立学校教職員も加入するとともに、共済年金を廃止し、2階部分の年金は厚生年金に統一
2.共済年金の3階部分(職域部分)の廃止と同時に、新たに「年金払い退職給付」を創設
(財務省の以下の資料を一部改編。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2014/request/mext/26y_mext_k_09.pdf)
というわけで、あまり華やかさのない税制改正ですが、年始にあたり一度ご確認いただければと思い記載いたしました。ご参考になれば幸いです。
(文責:吉田)