本日は文科省からの通知を採り上げます。
対象は大学等ですが、他の方にとっても重要性は決して低くないのではないでしょうか。
文部科学省における大学等卒業者の「就職率」の取扱いについて(通知)
これまで「就職率」という言葉の定義が明確ではなかった、とのこと。
実は以前、ある学校法人さんから「学校法人には景表法の適用はないのか」との質問を受け、その際にいろいろ調べたところ、このような記事を見つけました。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/110629premiums_1.pdf
(資料の表題に学校法人のお名前が入っていますので、資料の所在だけ示させていただきます)
この事件などはまさに就職率という言葉の定義を自らが有利になるように解釈し計算していたもの。
一般の受験生や保護者の皆さんはその定義まできちんと確認する例は少ないと思いますから、今回の文科省通知は当然の内容と言ってもいいかもしれません。
ちなみに、通知に記載されている定義をまとめますと、次のようになります。
○文科省統計のうち、「大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職(内定)状況調査」の算出方法によるものを「就職率」と称する
○文科省統計のうち、「学校基本調査」の算出方法によるものは「就職率」という表現を使用せず、「卒業者に占める就職者の割合」と称する
○各大学等における就職率の開示についても、この文科省統計における取扱いを参考にしたうえで、就職率を公表する場合は、「調査時点」「就職希望者」「就職者」などの定義や算出方法を明示する
○就職率の算式=「調査時点における就職者数」÷「就職希望者」
・「就職者」=正規の職員(1年以上の非正規の職員として就職した者を含む)として最終的に就職した者(企業等から採用通知などが出された者)
・「就職希望者」=卒業年度中に就職活動を行い、大学等卒業後速やかに就職することを希望する者(卒業後の進路として「進学」「自営業」「家事手伝い」「留年」「資格取得」などを希望する者は含まない)
・母集団となる学生等=卒業年次に在籍している学生等
(卒業の見込みのない者、休学中の者、留学生、聴講生、科目等履修生、研究生及び夜間部、医学科、歯学科、獣医学科、大学院、専攻科、別科の学生は除く)
各校ごとの競争は徐々に苛酷さを増しているのが現状。
この状況が決して良いとは思わないのですが、仮に競争が激化したとしているとすれば、そのことが広報活動に与える影響は大きいと考えられます。
その一方で、昨年飲食業界で横行した「看板に偽りあり」という広報は大きなダメージを事業者にもたらすことは言うまでもありません。
発信する情報の定義をしっかりと確認し、適切な工法を心掛けていただきたいと思います。
(文責:吉田)