寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

私立学校の借金、返済延滞が増加

今年最後のブログ更新になります。

明るいニュースを…と思ったのですが、重要性が高いと感じた昨日のニュースをお届けして今年を締めたいと思います。


私立学校の借金、返済延滞が増加 背景に高校の無償化

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記事をご覧いただくと、ひとつのグラフが目に飛び込んできます。

その右肩上がりの程度が大きすぎて驚いてしまうのですが、どうやらこれが現実のようです。


貸出元は日本私立学校振興・共済事業団

2007年度と2012年度を比較すると、貸出先の状況に次のような変化が見られたとのことです。

不良債権(会社更生、破産、再生手続などに入った「破産先債権」と返済期間を6カ月以上経過した「延滞債権」の合計)額

 約56億円 → 約115億円 に倍増

○貸付先の法人数

 1463法人 → 1330法人 に減少

不良債権を抱える法人数

 30法人 → 35法人 に増加

○貸付額全体に占める不良債権の割合

 0.93% → 1.96% に倍増


貸付先の学校法人には、大学や小中高のほか幼稚園や専門学校の運営母体も含まれています。

その一方で、この記事では「高校」に焦点が当たっています。

その理由は記事自身が次のように明らかにしてくれています。

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事業団は、不良債権を出している法人名は非公表としているため詳細は不明だが、

少子化や公立授業料無償化などで、これまでは比較的悪化が目立たなかった

高校の経営も厳しくなっているのが一因」(審査・管理室)としている。

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東京商工リサーチによれば、平成以降、高校を主力に経営する5つの学校法人が倒産しています。

学校が倒産する、それも大学ではなく高校が…と考えると、時代は明らかに変わったのだと痛感させられます。


記事には実際に経営危機に陥った高校法人の事例が掲載されていますが、その事例を見ると

生徒数の減少・落ち込み

 ↓

授業料単価の引き下げ(特待生の受け入れ等)

 ↓

外部環境の変化(公立高授業料無償化)等によるさらなる経営状況の悪化

 ↓

経営危機に陥る

 ↓

本格的な学校改革に着手

という流れで進んでいることが分かります。


私が関わる学校法人さんはそのほとんどが大学法人以外です。

そして、その経営の雲行きが怪しい、となる最初の現象は「生徒数の減少・落ち込み」です。

が、その現象が出現する前に、原因は発生しています。

それが「その学校が選ばれる理由が希薄になってきた」というもの。

私学が生徒を受け入れられる総数よりも現実の生徒数が多ければ必ず生徒さんは来てくれる、これがこれまでの構図です。

少子化が進み、一方で学校は増えるという環境においては、「選ばれる学校」でなければ経営は行き詰ります。


なぜ御校が選ばれるのか?選ばれないとすればそれはなぜなのか?


単純ではありますが、この問いをくれぐれも忘れずにいたいものですね。


皆様、良いお年をお迎えください。


(文責:吉田)