少し古くなってしまったのですが、災害への備えに関する興味深い記事です。
朝日新聞から。
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事業継続計画、というものをご存知でしょうか。
英語の頭文字をとってBCPと略されるこの計画、数年前からその策定の必要性が言われるようになってきました。
今回の記事の末尾にこの事業継続計画の解説がなされていましたので、参考までにそちらを転載します。
〈事業継続計画〉地震やテロ、感染症の流行といった緊急時に行政や企業の業務を続けるための計画。復旧目標▽復旧業務の優先順位▽重要な情報や設備の予備の確保▽安否確認手段▽他の自治体や企業との応援協定▽財務的な手当て――を考えておく。「Business Continuity Plan」の頭文字を取ってBCPと呼ぶ。
そして、このBCPの策定状況等を民間企業、それも名の通った大企業100社に対して調査した結果が今回の記事というわけです。
調査結果のうち、主なものをまとめると以下のようになります。
◆BCPを作成した時期
東日本大震災以前 78
東日本大震災後 12
策定中 4
◆BCPの対象範囲
企業単体 20
グループ企業 50
取引先も含む 20
◆東日本大震災を受けてBCPを見直したか
見直した 87
◇見直した場合の見直し点(複数回答)
対策本部の設置や運用 57
重要拠点や設備の防災対策 61
重要情報の保護 26
事業継続に必要な物資の備蓄 71
代替拠点の確保 49
非常用電源の設置・増強 50
災害時の取引先との連絡手段 33
取引先が被災した場合の代替手段の確保 31
従業員の安否確認 52
意思決定者の明確化 30
◆危機管理を専任で担当する社員はいるか
いる 49
いない 49
◇危機管理の専任担当者の人数
1人 7
2~3人 15
4人以上 22
◆主な拠点に水や食料の備蓄はあるか
ある 99
◇備蓄量は何日間分か
3日間未満 8
3日間 78
4~6日間 1
7日間以上 3
◆主な拠点の耐震化・免震化の状況
耐震化・免震化済み 64
耐震診断をしていない施設がある 9
耐震診断は実施済みだが、耐震化・免震化していない施設がある 23
◆主な拠点に自家発電装置はあるか
ある 84
◇自家発電装置で供給可能な期間は
1日以下 18
2~3日間 34
4日以上 9
◆災害時の社員の参集基準はあるか
ある 81
◆災害対応のため、自治体などと協定を結んでいるか
結んでいる 53
結んでいない 46
◇協定の内容は(複数回答)
敷地や建物を避難所として住民を受け入れる 32
商品や備蓄を自治体などに提供 19
土地や寮を仮設住宅建設地や、みなし仮設として提供 2
BCPをお持ちですか?と、私は関係先の私学に問いかけたことはこれまでにありません。
ですので、どのくらいの私学がBCPを持っているのかを知りません。
が一方で、校舎の耐震化に関しては質問させていただく機会が多く、私の知る私学はほとんどが「完了している」と回答されています。
あくまで印象として、ですが、今回の調査結果を拝見して、
民間企業は計画策定はある程度進んだが、施設の耐震化は十分ではない。
学校は施設の耐震化が先行し、BCPの策定が十分進んでいるかどうかは疑問。
というふうに感じました。
学校における施設の重要性が垣間見えますが、一方で災害対応の根幹になるこのBCPの立案について、私自身ももっと各校の状況を知っていかねば、と感じました。
物事の先を読む、というのは非常に難しいことです。
が、先が読めないからこそ、何か事が起きた時のために心の準備をしておく、そして行動の選択肢を持っておく、ということが重要なのではないでしょうか。
突発事象が起きやすい状況下こそ計画が必要だ、と私は思っています。
校舎の耐震化だけでなく、いざというときに対する校内の「行動」の備えを、ぜひ一度ご確認いただければと思います。
(文責:吉田)