寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

管理会計の重要性

今日は昨日に引き続き、社会福祉法人向けセミナーに絡めた内容をお伝えしようと思います。


今週は月曜日に福知山で、水曜日には大阪でセミナーを開催させていただきました。

来週火曜日には奈良でも予定しているこのセミナー、タイトルは

社会福祉法人様向け 新会計基準がよくわかる!」。

全体を3部構成にしており、

第1部は新基準の総論。

第2部は実務対応の方法。

第3部は会計基準の活用。

という形で進めさせてもらっています。


昨日もお伝えしましたが、社会福祉法人同様、学校法人会計も新基準導入に向けた準備期間に入っています。

改めてその変更内容を概観しますと、

【趣旨】

公教育を担う学校法人の経営状態について、社会にわかりやすく説明すること

【概要】

・活動区分資金収支計算書の作成

・「消費収支計算書」から「事業活動収支計算書」に名称変更

事業活動収支計算書を経常的及び臨時的収支に区分

・基本金組入前の収支状況(いわゆる帰属収支差額)も表示

・「基本金の部」と「消費収支差額の部」を合わせて「純資産の部」とすること

・第4号基本金に相当する資金を年度末時点で有していない場合にはその旨と対応策を注記

・第3号基本金に対応する運用収入を「第3号基本金引当特定資産運用収入」として表示

・第2号基本金につ対応する資産を「第2号基本金引当特定資産」として表示

・固定資産の中科目として「特定資産」を設定

・第2号基本金及び第3号基本金の組入れ計画が複数ある場合には集計表を作成

・「消費支出準備金」を廃止

【施行日】

平成27年4月1日(平成27年度以降の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成について適用)

ただし、都道府県知事を所轄庁とする学校法人は平成28年度以降の会計年度に係る会計処理及び計算書類の作成について適用


なお、より詳細の内容については文部科学省HPをご参照ください→学校法人会計基準の一部改正について


少し話がそれてしまいましたが、当社のセミナーのことを続けさせていただきますと、私が担当している第3部では、「会計基準の活用法」のひとつとして、

管理会計がしやすくなりましたよ」

というふうにお伝えしています。


会計、というものを目的別に大別すると、「報告会計」と「管理会計」に分けることができます。

このうち、普段財務や経理のご担当者さんが日常業務としてされているのはあくまで「報告会計」であることが多いものです。

報告会計とはすなわち、作った決算書をしかるべき相手に「見せる」ことが主眼にあり、そのために統一的な形式で、決められた時期に実施するための会計、といえます。


これに対して管理会計というのは、自らの経営管理のために役立つ情報を収集し、それを分析等することによって経営に「活かす」ことが主眼となります。

よって、形式は問いませんし、時期も決算期などにとらわれる必要がないわけです。


こうやって両者の性質を比べてみると一目瞭然、学校経営にとってより重要なのは「管理会計」であり、「報告会計」に多くの手を取られることは望ましくありません。

もちろん、外部への報告については形式も期限も決められているため、ある程度気を遣わねばならないことは当然ですが、逆に言えば、それ以上でもそれ以下でもない、と私は考えています。


学校法人における経理は当然のように「報告会計」をベースに進められていることが圧倒的ですが、私自身はここからさらに歩みを進めて、管理会計の重要性を誰しもが認識できる学校法人であるべき、との思いを持っています。

そしてそのために、

管理会計が実現できる組織構築と能力開発が学校事務における最優先課題である

とも感じています。


右肩上がりが当然のように織り込まれていた時代であれば、タイムリーに会計状況をチェックする必要性は乏しかったでしょう。

ですが、これからはそうはいきません。

どんなふうにお金が使われているのか、それは予算に対してどうなのか、今後どうやってお金をやりくりしていくのか…そういった重要な内容が盛りだくさんである会計情報を活用することが、学校法人にとっても看過できない時代になった、というふうにも言えるかもしれません。

御校でも改めてこの点についてご検討いただければと願う次第です。


(文責:吉田)