寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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就活生に朗報? 「学歴フィルター」に異変あり

先週のインターネット記事の中でちょっと気になる存在だった、以下のネタを採り上げます。


就活生に朗報? 「学歴フィルター」に異変あり


就職活動において、「学歴」は『偏重』と呼ばれるほど重視されている指標、というのが通念です。

が、この記事はその状況に変化があるのかも…?といった内容になっています。

この記事をかいつまんでまとめると、こんな感じになります。

・表向きは「学歴不問」をうたいつつ、実際は採用活動で学歴フィルターを導入している企業は少なくない

・が、来春の企業の採用意欲が高まっていることを受け、これまでよりも成績下位の大学にも採用の触手が伸びてきている事例がある

・一方で、重点的に学内説明会などを開く「ターゲット校」を設定する企業は33%(4年前)から52%(14年卒)、55%(15年卒)と上昇する見通し<人材コンサルティングの調査結果>

・大学へのヒアリングからは、中堅あるいはそれ以下の大学でも「ターゲット校」となっている現象がみられる

・就職情報サイト運営会社は「売り手市場の傾向のせいか、学歴フィルターを下げる企業が増えているようだ」とコメント

・一方、就活生の応募が殺到する人気企業に関しては「確かに以前は『この大学以下は採らない』という大企業は多かった。だが、今は大学のランクと入社後の成果にはっきりした相関関係が見えなくなっている。(中略)優良企業ほど中位・下位校から隠れた人材をとろうと努力している。説明会を開く大学の数を下位校にも広げ、上位校にいないタイプの優秀な学生を見つけようとしている(後略)」(採用代行会社のコメント)

というわけで、論調が安定せず「結局どっちなの?」と言いたくなってしまいます。


が、これに続く内容こそが、私立中高が本当に意識すべき内容ではないか、と思わされました。


「下位校でも人気企業の内定とる人材の条件」と題した段落にはこんなことが書かれています。


人気企業が採りたいと思う人材とはどんな学生なのか。

例えば大企業の採用担当者のコメントとして紹介されているのは、

「家電量販店のバイトでテレビの販売台数がナンバーワン。クレーム対応が得意というコミュニケーション力が抜群の人材だった」

「表現は難しいが、修羅場を経験してきたかどうかで見る。そういう人材は大学に関係なく他社と取り合いになる」

また人気企業から内定を得た大学生のコメントとしては

「企業がやっているCSR(企業の社会的責任)プログラムに参加したり、ビジネスコンテストに入賞したりしたこともありました」

「大学の自治会活動をやっていたので年上の人と話すことには慣れていたと思います。企業での面接を重ねることが自分にはすごく勉強になりました。実は自分の面接をこっそりスマホで録音して後から復習していました」


そしてこの記事のまとめとして、こう書かれています。


「2人に共通するのは高いコミュニケーション能力や実行力。

 ある意味、学歴よりも身につけるのは簡単ではないのかもしれない。

 人気企業は確かに様々な大学に門を開いているが、要求するハードルは高いのだ」


高校にとって、在校生や卒業生がどのくらい有名大学に進学したか、という実績数値が気になるのは致し方ないかもしれません。

何しろ、それが次の生徒募集にも大きく影響するのが現実だからです。

が、それだけを考えてしまっているとそのうち足元をすくわれるかもしれません。


学校がアシストすべきことは「進学」ではなく「進路」、というのが私自身の想いです。

生徒さん一人一人の進路が輝かしいものであるように、ぜひともどの学校でもその環境を作っていただきたいと願うばかりです。


(文責:吉田)