ずいぶん以前に、文部科学省から届いたメールマガジンに書かれていたセミナー情報。
それは、テーマや目次を拝見した際に、公立校対象のものではあるもののぜひ受講したい、と思っていたセミナーでした。
そのセミナーは先日開催され、有り難いことに当日その様子を動画配信してくださったので、オンタイムで視聴することができました。
そしてその際の資料がひとまとめになったものが文部科学省HPにアップされたという情報が昨日私の手元に届きました。
平成25年度学校マネジメントフォーラム―事務機能の強化による学校の組織力の向上―について
いわゆる公立校における学校事務の工夫事例を紹介する内容なのですが、具体的な事例は文科省HPでご覧ください。
念のため、以下にもリンクを貼っておきます。
事例発表1 「学校予算編成における教育委員会と事務職員の協働」(下呂市教育委員会)
事例発表2 「共同事務室からの提案による学校の業務改善」(広島県教育委員会)
↑こちらはデータが7分割されていますので、そのうちのひとつのみをリンクしています。
事例発表3 「研修の制度化による事務職員の資質向上」(三重県教育委員会)
↑こちらはデータが2分割されていますので、そのうちのひとつのみをリンクしています。
最初にセミナーを視聴したいと思った動機はこれらの事例を知りたかったこと。
ただ実際、当日の事例紹介をしばらく拝聴してみると、やはり公立校の事務組織の事例でしたので、私立校での活用の余地は少々限定的かもしれない、と感じました。
その中では3つ目の事例である研修の制度化については、規模の差こそあれ、研修を体系的に組み立てるその方法論が私学でも十分に活用できるような気がしました。
そして、私が一番共感したのが、基調講演をされた新潟大学大学院・雲尾周准教授が話された、「学校組織マネジメントのポイント」です。
当日及びスライドの内容を、私なりの言葉で申しあげるなら次のようになります。
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学校組織マネジメントのポイントは大きく6つある。
それは、
【1】組織としての能力を高めること
【2】明確で達成可能な目標の設定(選択と集中)
【3】資源の開発・活用(内外資源の発掘、個人の力量の把握、開発・連携)
【4】専門性協働性
【5】コミュニケーション
【6】ゆとり
の6つである。
そして、前三者については、それぞれ以下のような点に留意が必要である(以下、スライドを引用<一部筆者編集>)。
【1】組織としての能力を高める
・職能開発研修(個人の職務能力の向上)中心…個々人が、自ら指向する内容の研修を行う
→個人の力量が上がっても学校全体の力量が上がるとは限らない
職能開発の結果≦ 個々の力量の総和
・組織開発研修(組織能力の向上)へのシフト…組織全体での力量の向上を目指す
組織開発の結果> 個々の力量の総和
【2】明確で達成可能な目標の設定
○ 向上目標から達成目標へ
・ニーズの把握→ ミッション設定
・現状把握 → 理想との差が問題状況
・資源の把握 → 差を埋める手立て
○ 選択と集中
・すべてのことを、どこまでも、はできない
・いつまでに、何を、どこまで、どうやって行うか
【3】資源の開発・活用
・学校外にある多様な資源の発見・開発
・学校内の個人の力量の把握・開発
☆ 改革志向:プラスをのばす⇒ 特色ある学校づくり
△ 改善志向:マイナスをなくす
⇒【促進要因の強化と阻害要因の除去】
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いかに組織の力を高めていくのか。
学校においてはこの観点がまだまだ薄いように感じます。
教学、事務を問わず、雲尾准教授のプレゼン内容は示唆に富んでいるのではないでしょうか。
雲尾准教授の資料はこちらからどうぞ→講演「事務機能の強化による学校マネジメント力の向上」
(文責:吉田)