2日続けて統計ネタですがお許しください。
私学経営との関連も間接的かもしれませんが、気づきの多い記事です。
日経から。
(有料会員限定記事となっております。ご了承ください)
非正規雇用者はいったい何人いるのだろう?…そんな疑問を持った時、真っ先に調べるのは政府の統計。
ところが、この政府の統計にもいろいろな種類があり、それぞれに数値が異なっている、というのがこの記事の示唆です。
記事によれば、非正規雇用を扱った統計は国が所管するものだけでなんと41も存在。
有名なものでは「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)、「労働力調査」「サービス産業動向調査」(総務省)などがあり、私も時折利用させてもらっていますが、ほかにも各省の調査がたくさんあるとのこと。
そして、それらの調査はタイミングのずれはもちろん、「労働者である個人に尋ねるか、それとも雇う事業所に聞くか」で手法が大きく分かれ、さらに非正規雇用者のうちの誰を対象とするかによって定義が変わり、結果として数字が大きくばらついているようです。
ちなみに、記事では
・総務省「労働力調査」による非正規雇用の数=1,908万人(「役員を除く雇用者のうちの非正規」をカウント、2013年7~9月平均)
・総務省「経済センサス」による非正規雇用の数=2,040万人(「常用雇用者のうちの正社員以外」と「臨時雇用者」をカウント、2012年2月1日時点)
と紹介されていて、両者で100万人以上の差が出てしまっています。
この事態を受けて、厚労省は(1)契約の期間(有期か無期か)(2)契約の形態(直接か間接か)(3)労働時間の長さの3つの視点で整理しなおす案を提示し、統計の見直しが始められる気配です。
非正規雇用と一口に言っても、その形態は「パート」「アルバイト」「派遣」など様々。
パートさん、と聞けば家計の足しにと限られた時間を有効活用する主婦の姿が浮かび、
アルバイト、といえば学生や新卒者が定職とまでは言えない形で勤務する姿が浮かび、
派遣、となると正規雇用を目指すもののなかなかその機会に恵まれない労働者の姿が浮かび…
これらは私の勝手な想像ですが、この想像が正しいにせよ誤っているにせよ、非正規雇用というのはいろんなケースをひとまとめにしたものであることは間違いありません。
が、発生原因や勤務態様、労働者のニーズなどが全く異なる様々な形の非正規雇用をひとまとめにして政策を考えたとしても、それはあまり有効なものにはなりません。
組織の経営も同じ。
理想像があって、現実がある。そしてその間を埋めるものが施策と呼ばれるものですが、理想が漫然としていたり、現状がはっきりつかめていなかったりすれば、施策は効果的になり得ないのです。
そしてもうひとつ、以前からお伝えしていることではありますが、統計には必ず定義(調査の前提条件)が存在しますから、自分たちが必要としている情報がその統計で満たされるのかどうかを、統計の前提条件で必ず確認するようにしましょう。
(文責:吉田)