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朝練やめよう、授業の敵 中学運動部、長野県が案

本日は部活動のことを採り上げてみます。


朝練やめよう、授業の敵 中学運動部、長野県が案

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本件については他にもニュースソースがいくつかあったのですが、その中のひとつについて以下にリンクさせておきます。

中学生の運動部は朝練やめるべき…長野県の有識者会議が基準案まとめる


記事によれば、長野県教育委員会は昨秋から、スポーツ医療関係者や体育教師らで「適切で参加しやすい運動部」を目指す検討委員会を設けた上で、各中学校に示す基準案を検討してきたとのこと。

現在、長野県下の中学校で運動部に参加する生徒の比率は59%と、全国平均(66%)に比べて低め。

一方で、運動部が通年で朝練をしている中学校は96.8%と大変な高率です。

記事には『朝練のために62%の生徒が午前6時半から7時に家を出て、20%は6時半より前に出ていた。3割前後の生徒が「睡眠が不十分」「疲れて授業に集中できない」と答えた』と書かれていました。

長野県で朝練が盛んな理由は、山間部が多くて通学時間が長く、放課後の部活の時間を確保しにくいから、だそうです。

富山県出身の私は、このことに加えて冬の期間の雪の多さで練習が不十分になることから、それ以外の季節で多くの練習時間を確保したいことも理由のひとつではないか、と感じました。

いずれにせよ、朝練が疲れの原因になるというのは自身の経験からしてもとてもよく分かります。

今後正式決定される予定の基準案には

「食事と睡眠、生活リズムを考慮し、原則として、朝練習は行わない」

「完全休養日を週2日以上」

「勝利至上主義に偏らず、生徒のニーズを生かす」

といったことが盛り込まれるようです。


さて私学の部活動はどうでしょうか。

これは学校の教育方針によって事情が大きく異なるとは思いますが、部活動と正課活動のバランスに悩む私学もそれなりに多いように私は感じています。

いわゆる「文武両道」や「人間力教育」を掲げる学校においては特にその課題は大きいものになるでしょう。

ここは教員ごとの価値観も大きく分かれるところであり、価値観の異なる教員どうしが妥協点を見出すことは難しいのでは、とすら思います。


そこで重要なのが「学校としてどうしたいのか」という組織目標。

個々の教員の意見をくみ取ることはもちろん大切ですが、このようなテーマに関しては学校がしっかりと方針を示し、そちらに組織を導いていくことが何より重要ではないでしょうか。

これまでの活動を総括し、また今後の組織目標を見据えた上で、部活動にどの程度の時間を確保するのか、という点を組織決定するべきだと感じます。


ちなみに、上記記事にも引用されていましたが、文科省からは今年「運動部活動での指導のガイドラインについて」といったものも出されています。

そして、少し古くはなりますが、同じく文科省から「運動部活動の在り方に関する調査研究報告 (中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力者会議)」も出されており、ここにはこんなことがかかれていました。参考までに引用し、本日のブログを終えたいと思います。

〔運動部における休養日等の設定例〕(参考)

 中学校の運動部では,学期中は週当たり2日以上の休養日を設定。

高等学校の運動部では,学期中は週当たり1日以上の休養日を設定。

練習試合や大会への参加など休業土曜日や日曜日に活動する必要がある場合は,休養日を他の曜日で確保。

休業土曜日や日曜日の活動については,子供の[ゆとり]を確保し,家族や部員以外の友達,地域の人々などとより触れ合えるようにするという学校週5日制の趣旨に適切に配慮。

長期休業中の活動については,上記の学期中の休養日の設定に準じた扱いを行うとともに,ある程度長期のまとまった休養日を設け,生徒に十分な休養を与える。

なお,効率的な練習を行い,長くても平日は2~3時間程度以内,休業土曜日や日曜日に実施する場合でも3~4時間程度以内で練習を終えることを目処とする。長期休業中の練習についても,これに準ずる。


(文責:吉田)


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