寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校における接遇

「他校はどうですか?」


数々の私学を訪問して、圧倒的によく聞かれる質問がこの質問。

募集のこと、財務のこと、人事制度のこと…テーマは様々ですが、他校の状況をなかなか知ることのできない各校の教職員さんにとっては、非常に気になることなのだろうと容易に推測できます。


そして、私はあちこちの学校に出入りさせていただいている立場上、固有名詞こそ出しませんが「こんなふうな学校もありますね」「こういう事例を見たことがあります」などと、返答させていただくこともよくあります。

もちろん、いくら私がいろいろな学校の事例を見聞きしているからと言って、それが私学の一部に限ったことであることはご留意いただかねばなりません。つまり、偏った事例である可能性も十分にあるわけです。


そのことを前提に、今日は「学校における接遇」というテーマで少し書かせていただきます。


学校という事業を産業分類すれば「サービス業」になります。

サービス業の大きな特徴は「商品がない」こと。

例えばお医者さん。診察や処方といった形のないサービスを提供し、その対価を得るご商売(あえて商売と言わせていただきます)ですね。

他にも、旅館業、会計事務所、美容室などなど…現代はサービス業が事業形態の多数派を占めていますので、その例は数限りなく存在します。

そんなサービス業、商品がないということはつまり、サービス提供者自身が商品価値になる、ということが商売の大きなポイントになります。言い換えれば、サービス提供者である「自分自身」という商品価値を高める努力があってこそ、サービス業は継続的に事業を発展させられるのだろう、と思うのです。


では、自分自身の価値をどう高めるのか。

まずはサービス内容そのものと、それを伝える技術は当然充実させる必要があります。

学校というフィールドで言えば、授業や課外活動といった学校生活上のサービス提供そのものを充実させ、各教員が継続的に知識や知恵を習得し、それを生徒や保護者に伝えていく力をつけていくことがそれにあたるでしょう。


ところが、現代は「サービスは選び放題」の時代です。学校とていくらでも選択肢のある時代です。

サービス内容だけでは大きな差にはならない…これもまたひとつの真実かもしれません。

では何で差ができるのか。それはほんのささいな普段の行動なのかもしれない、と私が痛切に感じるのが「接遇」の差です。


数々の私学に訪問すると、私に対する対応はまさに千差万別です。

おそらく私はほとんどの場合、「重要ではない客」、もっとはっきり言うなら「営業に来た業者」といった状況で初めての訪問をさせていただくことになります。

が、その初めての訪問の際に、事務室の方から

「お待ちしておりました」

と言われたことが過去1回だけ、存在します。

私は人見知りが激しいので、飛び込み営業は今までに一度もしたことがなく、つまりすべてがアポイントをいただいての訪問です。その意味では、これまでのすべての学校さんで私の訪問予定を把握しておられたはずです。

がその中で「お待ちしておりました」とおっしゃっていただいたのは1件だけ。

私の訪問が受付の方にまできちんと伝わっていたことはもちろん、その受付の方が接遇マナーを会得しておられたことに、私は心から感動しました。そしてその学校さんのことがいっぺんに好きになりました(笑)。


三者面談の日、あるいは保護者参観の日に、保護者各位に対して「お待ちしておりました」と伝えている学校さん、教職員さんがどのくらいいらっしゃるでしょうか。

そしてそれが保護者ではなく、私のような「業者」にも伝えてくれる学校さんは…

きっと数えることができないくらい、少ないのではないかと推測します。

他にも、「お茶が出てくるか出てこないか」「名刺を丁寧に扱ってくれるかそうでないか」「長時間待つことになった場合に途中で気遣う声掛けがあるかどうか」など、接遇の基本と言える事柄について、実践されている学校さんとそうでないケースがはっきり分かれます。


学校は地域と密接に関連している存在ですから、たとえ一業者であっても、その業者さんの口コミは馬鹿にできません。

「あの学校は対応がとても素晴らしいですよ」「あの学校はいつも挨拶すらしてくれないんですよ」

そんな一言が募集にも少なからず影響を及ぼしている…というのは私の考えすぎでしょうか。いや、そんなことはないはずです。


ちなみに、先ほどは触れませんでしたが、これまでに何度か訪問させていただいている別の学校さんでは、初回訪問以降、毎回守衛さんに「吉田さんですか?」と声を掛けられます。そうです。毎回、私を待って下さっているのです。それも、まだ面識のない初回からずっと、です。しかもこれまでに同じ守衛さんに出会ったことが少なく、何人かいらっしゃるであろう守衛さんすべてが同じ対応をして下さることにも感動しています。

実はあるとき、この学校を訪問する予定時刻よりも随分早く着いてしまって、15分程度周辺をうろついたことがあるのですが、その時気付いたのは、この学校の守衛さんは、約束の時間の10分ほど前から正門の前に立たれて、私を待って下さっているのだ、ということ。歓待を受けている、ということを実感できるご対応をいただき、私にとってはいつも訪問するのが楽しみな学校さんです。


相手を見て対応方法を変えている、ということもあり得るでしょう。

が、それは本当の意味での接遇ではないように思います。

学校を訪れる人すべてに気持ちよく感じていただける…これが学校の評判を高め、支持される学校になるひとつの重要な要素ではないでしょうか。

これを機会に、ぜひ一度接遇のことを考えてみませんか。


(文責:吉田)

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