寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

就活後ろ倒し、採用活動早まる真逆の現実

2,3日だけでも涼しい日があると体が楽ですね。

そんなことを実感したここ数日の大阪です。


さて先日来、日経新聞では就職に関する話題がいくつか挙がっています。

今日はその記事を採り上げてみようと思います。

なお、本日のブログで採り上げる記事はすべて有料会員限定記事となっております。ご容赦いただければ幸いです。


まず1本目は昨日配信された記事。

就活後ろ倒し、採用活動早まる真逆の現実

今春決まった就職活動の後ろ倒し。2016年卒採用から、就活の解禁時期が3カ月遅くなります。

就職活動の開始時期を遅らせ、学業への専念を意図しての施策なのですが、どうやらそうはいかない、というのがこの記事の文脈となっています。

その原因は「インターン」。

今年のインターン市場はいつも以上に活況のようで、これが青田買いにつながるのでは?と記事では指摘されています。

本来インターンは「実地研修」の意味合いであって、業界や企業に対する興味関心を喚起することが主目的だと考えられますが、実際のところはインターンが実質的な採用活動の場になっているケースがある、とのこと。

つまり、学生からすると「インターンでいいところを見せておけば採用に有利に働くだろう」という思惑を持ってしまいがちであり、企業からすれば「ここでいい学生を探し当てておけば採用に失敗しにくいだろう」と考えがちである、と。常識的に考えればそうなってしまうことは何となく推測ができます。

が現在の経団連の倫理憲章では、インターンについて「採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行うこと」と定められているそうです。確かにインターンに参加できる学生とそうでない学生でスタートラインに差が付くのは問題があるとも思うのですが、学生も採用担当者も人間である以上、この倫理憲章を遵守することはなかなか大変なことなのかもしれません。


また少し時期を遡るとこんな記事も。

新卒確保、中小企業に試練 大手採用増で苦戦

中小企業の採用、10月以降の半年勝負に 16年卒から

大手企業の採用数が増えたことによって、中小企業志望者が減り、結果として中小企業の採用活動が厳しくなっている様子を伝えています。

中小企業は相対的に知名度が低く、採用にかけられるコストも限定的であることから、どうしても採用活動は大企業に後れを取ってしまうことが多いのですが、そのことが顕著に表れているのが現在の状況、ということなのでしょう。

ただ、私も中小企業に関わる身として、中小企業の魅力が十分に伝われば、むしろ就職先として人気が出るのでは、と思わないことはありません。

なぜなら、昔こそ「会社の歯車になって働きたい」というサラリーマンはたくさんいたでしょうが、今は何らか自分の持ち味を発揮したいという学生さんのほうが圧倒的だと感じるからです。自分らしさを発揮できる場を考えるのであれば、大企業より圧倒的に中小企業がその可能性を持っています。

記事の中でも、リクルート関連雑誌の編集長が「最近の学生は会社の雰囲気や研修の充実ぶりを重視している。経営方針や育成制度を詳しく説明して学生の理解が深まれば、知名度の低い企業でも採用できるチャンスは増える」と話していらっしゃいますから、そのような機会をどう確保できるかがポイントになるのかもしれません。

学校においても、有名企業だけでなく、中小企業の社員さんの話を聞いたり様子を見たりできる機会が確保できると違った展開が期待できそうな気もします。


学校は本来産業としっかり結びつくべきところでありながら、現実はまだまだ距離を感じざるを得ません。

特に、中高における「進路」指導は実質的に「進学」指導になっており、将来設計がどうであるかということ以上に学力に応じた進学先を見つけることに重点が置かれてしまっているように感じます。

就職活動そのものの環境改善はもちろん必要なことながら、職業を含めた人生全体を進路として位置付ける活動がより活発になることを願ってやみません。


(文責:吉田)


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