寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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人事考課制度の効用

お待たせしました。先日に引き続き、先週末実施した「人事考課制度導入のポイント」セミナーでのご質問を考察してみます。


本日採り上げるのは

人事考課制度を処遇(≒給与や賞与)に反映させなければ意味がないのではないか?

というご質問です。

このご質問は、その前提を明確にしておく必要がありますのでまずはそのことについて。


人事考課制度というのはともすると「給与を上げ下げするためのしくみ」と捉えられることがありますが、それは間違いです。

(ここではあえてはっきりと「間違い」だと記させていただきます)

人事考課制度の最大の目的は、「人を育てること」にあります。

人を育てるということに関してはむしろ学校教員の皆さんがプロフェッショナルですので、ここで触れるのは恥ずかしいのですが、それでもあえて申し上げるなら、人を育てるのに最も不適切な行為は「無視」することだと私は考えています。


先生方が生徒に対して「こいつを何とかしてやりたい」と思えば、その生徒の言動を見守り、適宜適切なアドバイスを施すのが自然な方法でしょう。そして各種テストや通知表という評価ツールを用いて、その生徒の成長度を測定する。でもそれだけでは不十分だから、個人懇談や三者懇談などでコミュニケーションをはかり、生徒の想いも聴きとっていく…


ここでいう「生徒」を「教員」に置き換え、「先生方」を「管理職」に置き換えれば、それがまさに教員を育てる方法論であり、通知表やテストに代わるツールが人事考課制度だということになります。


こういうふうにお伝えすると「きれいごとばかりじゃない。社会人はお金をもらってナンボだ」というご意見も出てくると思います。

が、本当にそうなのでしょうか…?

実は現場の教職員さんのヤル気が上がらないのは、「給料が上がらないから」ではなく、「評価されていないと感じるから」というほうが圧倒的に多いのが現実です。

つまり私なりの解釈からすれば、人事考課制度は「評価ツール=コミュニケーションツール」であり、そのことがモチベーションを高め、人を育てることにつながっていくのです。逆に、このような効果を発揮できなければ、制度は機能していないと言ってよいと思います。


こうやって考えれば、人事考課制度はきちんと運用すればそれを給与に反映させる必要は全くありません。

制度導入前は「何をしたって、どんなに頑張ったって、褒めてももらえないし評価もしてもらえない…」そんな「無視状態」であった各教員の働きが、「こういう点は本当によく頑張ってくれた、ありがとう」「この点はもう少し努力してほしい、期待しているぞ」…このような言葉ひとつひとつが評価となり、無視状態から解放されるわけです。これがまさに、人事考課制度が目指しているところなのです。


そして、このような充実した評価がなされることを前提として、せっかくならそれを給与(賞与)にもつなげていいのではないか、という考えに結び付き、結果として給与を上げ下げする際の基準として評価結果を活用することも可能である、と捉えていただくのが本当の人事考課制度と給与制度の連動ということになると私は考えます。


ついては、人事考課制度の結果を給与に結び付けずとも、その効果を得ることは十分に可能です。

というよりも、人事考課制度の運用のみで組織のモチベーションを上げることができなければ、それを給与に結び付けたところでモチベーションを上げることはできない、むしろモチベーションを下げる結果になりがちであると私は感じています。

ぜひとも人事考課制度そのものを充実させ、給与の上げ下げに頼らない、真のモチベーションアップを図っていきましょう。

それは、「ここ、テストに出るからな!」と脅すことが生徒の真のモチベーションアップにつながらないことと根本は同じなのではないでしょうか。


(文責:吉田)

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