昨日も、ある学校法人さんを訪問させていただきました。
「6月になって、忙しさは少し落ち着かれましたか?」
と質問したところ、
「いや、それが…提出しなくちゃいけない資料もあって、まだまだ大変なんです」
とのお返事。
お聞きすると、文科省へ提出せねばならない資料があるとのことで、現在鋭意その資料を作成中とのこと。
フォーマットをお見せいただいたのですが、その作成には相当骨が折れるだろうと推測されました。
このように、学校には公的機関等への提出資料がかなり多くあります。
事務仕事のうちの何割かは、このような資料作成あるいは手続業務に奪われてしまっているのが現状ではないでしょうか。
さらには近年導入された就学支援制度の手続。学校事務職員さんの多忙さは察するに余りあります。
かといって人件費の過重さを考えると採用もままならない。
多くの私学が概ね同じ悩みを抱えておられると思います。
昨日もそのようなお話の流れの中で、
「事務効率化のための事務の『標準化』」
ということを伝えさせていただきました。
現時点では、学校事務が行っている業務というのは、どうしても「人」に付いてしまっています。
本来なら、仕事は「機関」に帰属するのであって、「人」に帰属させてはならないはずです。
それは、人が代わるとその仕事が十分に遂行できないことがすなわち組織の弱みになってしまうからです。
この点、進んでいるのは実は「役所」なのです。
定期的に異動が存在する行政機関というのは、機関に仕事を帰属させることが必須。
よって、役所では「引継書」と呼ばれるマニュアルが整備されていることが一般的です。
業務マニュアルというものの存在にすら否定的な方もいらっしゃいますが、
本来は、業務の標準が示されているマニュアルの存在というのは、
業務水準を一定レベル以上に保つために必要不可欠なのです。
ついては、私学の事務においてもこのマニュアルの整備が必要であり、
実は事務効率化のためのカギを握っていると私は考えています。
定年や期間満了を理由とする退職が今後増加することが見込まれます。
その際、新任者への業務の引継に数カ月、あるいは半年かかってしまう、というのは組織にとって大きな負担です。
この機会に業務そのものの棚卸と、それに応じた機関設計、さらには業務マニュアルの作成を通じた標準化を
進めていただきたいと思います。
(文責:吉田)