今日は大学に関する記事から。
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少し前の話にはなりましたが、文部科学大臣(当時)が突如「新設大学の認可をしない」と発言し物議を醸しました。
自らの古い知識を引っ張り出すなら、『認可』というのは要件を満たしていれば当然に行われるべき行為ですので、
要件を満たしているのに認可しない、ということは許されるべきではありません。
がその一方で、「大学の数、多すぎるんじゃないの?」と思っている人も多かったのでしょう、
元大臣の発言にむしろ共感が広がったのも事実です。
大学の数は多すぎるのか。
記事によれば、現文科大臣は「大学進学率を上げるべき。だから大学も増やすべき」という持論をお持ちの様子。
ただ、これもまた記事にある通り、進学率を60%前後(先進国平均がこの水準とのこと)まで高めてもやっと、
現在の定員を維持する程度とのことです。
大学の数の多さと定員の数の多さは同一の議論ではありませんが、大学設置の認可基準が現在のままでよいのか、
という議論はあってしかるべきかもしれません。
翻って高校、中学校、小学校はどうなのか。
大学同様、いや大学よりも早く、少子化の波は押し寄せます。
そして大学のように「進学率を上げれば…」という方法論も、すでに全入に近いこれらの校種には成立しません。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」によれば、
年少(0~14歳)人口は約30年後、現在の2/3になってしまうと推測されています。
つまり、3割以上減ってしまうということ。
現在新入生を100名確保している学校でも、30年後には65名程度になってしまうのです。
このことについて、各校は想像力を働かせ、本気で将来設計をすべきだと私は強く感じています。
でなければ、大学同様、高校も中学校も小学校も、肝心の生徒・児童が来なくなり、
一方で簡単には減らせない固定費の存在に、経営が行き詰ってしまうことが目に見えているからです。
本日採り上げた記事には、大学の学長や教授が高校教諭に頭を下げ、
「営業活動」を行う様子が記載されていました。
が、この光景を笑って見ている場合ではありません。私立高校、私立中学とて同じことだからです。
30年後には3割減、というのはあくまでも自然減に比例すると仮定すれば、の話です。
そうならないように、どうやって生徒を集めるのか。
逆に、それを前提にどうやって経営を組み立てるのか。
学校経営の計画性は他企業よりもよほど重要性が高いと感じる昨今です。
(文責:吉田)