今日は文部科学省からの情報発信です。
学校法人の寄附行為の認可及び寄附行為変更の認可申請書類の作成等に関する手引き(平成25年度改訂版)
随分とボリュームのある資料ですが、題名の通り、
学校法人の新設の場合(寄付行為の認可) と、
既設学校の制度変更の場合(寄付行為変更の認可)
に関する留意事項が掲載されています。
これだけ聞くと、変更手続きのマニュアル、ということになるのでしょうが、
実際のところ、この手引には文科省の意図が含まれているように感じます。
それは、列挙されている資料の中でも「はじめに」を開くと感じとることができます。
この資料には「一般的注意事項」としていくつかの項目が上がっているのですが、中でも以下の記述については、
ここ数年の学校法人による申請の不適切事例を念頭に置いていることが明らかです。
該当部分のみ抜粋して記載させていただきます。
4 虚偽申請等があった場合の取扱い
(前略)申請や届出において「偽りその他の不正の行為のあった者であって,当該行為が判明した日から起算して5年以内で相当と認める期間を経過していない者」等からの申請については,認可しないことになりました。(中略)認可申請書・届出書は「社会に対する約束」であり虚偽があってはならないことはもとより,認可申請及び届出に係る設置計画の不履行も虚偽申請と同じく社会を欺くものです。(後略)
5 入学定員超過の取扱い
(前略)学部等における入学定員に対する入学者の割合の平均(平均入学定員超過率)が一定以上の場合は認可しないことになりました。この取り扱いは,申請対象の大学だけでなく,同一設置者(同一法人)が設置する他の大学等も対象となります。(後略)
6 積極的な情報の提供について
設置認可申請書には「社会に対する約束」(中略)という性格もあります。申請中・認可後の申請書や届出書の内容について,ホームページ等で公表するなど,積極的に情報を提供してください。(後略)
7 寄附行為(変更)認可申請・届出にあたって
設置等の認可申請の審査過程において,多くの学校法人が申請を取り下げ,それらが総じて準備不足が顕著であったことなどから,平成19年11月には,大学を設置する責任の自覚,十分な準備の上での申請,積極的な情報公開による説明責任の履行を要請する大学設置・学校法人審議会長からのコメント(参考資料略)が出されています。
また,(中略)学校法人の継続的な運営のための「安定性」や社会からの「信頼性」に関する問題,私立大学の「自主性」「自律性」そのものを損ないかねない問題が審査の過程等で判明していることを指摘し,設置者たる学校法人の強い自覚,自省を要請する…(後略)。
文科省からの発信ですので大学法人が主に念頭に置かれていますが、
今後少子化が本格化し、よりいっそう生徒数が減少する中においては、
各学校法人が運営上のリスクを認識しているかどうかを厳しく問われる可能性は
大学法人に限らないものとして捉える必要があると感じます。
寄付行為は学校の憲法とも言える存在です。
単なる手続上の書類としてではなく、そこに各校の根本原理と魂を込め、
どこに出しても恥ずかしくない寄付行為を作成していただきたいと願っております。
(文責:吉田)