その名前を皆さんも一度はお聞きになったことがあるでしょう。
ちなみにこのブログでも、この記事で採り上げさせていただいております。
そんな武雄市で来年度、市内の全小中学校の児童生徒全員(計4,241人)に、
タブレット端末が配布されることになったそうです。実現すれば全国初。まさにニュースです。
このニュースソースによれば、来年度いきなりこの事業を行うわけではなく、
すでに着実にそこに向けてのステップを刻んでおられるようです。つまり、
・2年前…2小学校の4~6年生にタブレット端末を配布(総務省の事業を活用)
・今年4月…市長がタブレット端末の全員配布を市ICT教育推進協議会に諮問
・今年度末…全小中学校の8割の教室にタブレット端末と連動する電子黒板を導入
といった具合に。
そして、諮問された協議会は
・(民間業者の)標準学力調査で先行配布した2小の成績が県平均や武雄市平均を上回ったこと
・全小中の校長が配布を希望したこと
などを理由として、全員配布を答申した、とのことです。
前回もそうでしたが、武雄市のニュースには私学にもたくさんの示唆を与えてくれると感じます。
今回は「情報活用の意識」と「計画的な物事の進め方」についての気付きです。
○情報活用の意識
タブレット型端末の普及が進んでいる、というニュースを知らない学校関係者はそれほどいないだろう、と思います。
がその一方で、それが自らの学校に導入されるとどんな効果があるのか、あるいは自らの授業がどのように良くなるか、
といったことを真剣に考える方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
あえて言えば、「それを使っても大したことはない」「良くはならない」「むしろ悪くなる」といったことを
連想される方は決して少なくないと思います。これが変化を望まない気持ちの現れでもあるわけです。
が、児童生徒のことを第一に思う気持ちが本当なら、時代の変化によって登場した新たなツールを
使うことは当然検討されてしかるべき。仮にそのツールが世間に受け入れられているならなおさらのことです。
もちろん、いきなりそれを使って授業をする、ということではなく、「後ろ向き」ではない、「前向き」な意識で
ツール活用について考察を加えてみることが重要だと私は感じます。
このことは、目に見える製品や商品だけではなく、教育技術や考え方についても同じ。
「上手く使えないだろうか」「自分がやるとしたら…」
そんな積極的な意識で情報を捉え、活用することを、武雄市の事例から学びとることができるように思います。
○計画的な物事の進め方
武雄市の樋渡市長は、ニュース性の高い、新しい施策を積極的に進められますが、
その手続きは非常に手堅いものがある、と私は感じています。
これは樋渡市長がもともと国の官僚をされていたことと関係があるのかもしれません。
(ちなみに樋渡さんは私の役所時代のすぐ上の先輩です。現在交流はありませんが…)
新たに物事を進めるときというのは、一気に結果を得ようと思っても上手くいかないことが多いものです。
特に学校では年度単位での動きになりますので、新年度から何かを始めようと思っても、
その直前の3月に「やりましょう」と言うだけでは現場が混乱するだけです。
が私学では得てしてそういうことが起こりがちだと、私は感じています。
ひと月前、というのは極端だとしても、何か新たな施策が思いつきのように出現し、
とにかくやってみようとなったけれどあまりうまくいかず…
これでは学校の信用を失うだけ、という最悪の結果もあり得ます。
つまり、組織内部において混乱を生じ、組織外部には信頼を失う。
無計画な進め方というのはこういったリスクを伴うのです。
計画経営の実践、やはり重要ですね。
(文責:吉田)