先日来、体罰問題等でスポットが当たっている「部活動」。
学校における課題には教育活動に関するものも多く存在していますが、
とりわけ部活動は課題の多い活動のひとつと言えるのではないでしょうか。
仕事で学校に関わるようになって驚いたことのひとつに、この「部活動」を挙げることができます。
自分が学校に通っていた頃は、部活動は学校での活動に完全に組み込まれていました。
私自身のことだけを言えば、中学時代は部活動は「加入必須」。
いわゆる“帰宅部”は許されませんでした。
そして、仮入部を終えて正式入部が決まると、転部も許されませんでした。
ですから、どんなにハードなトレーニングが課されても、黙ってついていくしかない、というのが現実。
部活で鬱になった子もいたんじゃないだろうか…と思うくらい、しんどい部活動でした。
6時間目の授業が終わると、その後に部活動という授業が始まる、というくらいの自然な成り行きで、
部活動を捉えていた気がします。
ところが、つい最近知った事実として、この部活動は、
新・学習指導要領で初めて正式に学校教育の一環として位置づけられた、とのこと。
そういう扱いだったのか、と無知を恥じるとともに、純粋な驚きもありました。
加えて、学校経営に関わると、部活動というのは非常に難しい存在であることが分かってきました。
まずは指導内容の問題。
やり方が完全に顧問に一任されていることが多く、学校として手出ししにくいケースがほとんど。
最近の体罰問題にもこのことが一枚噛んでいそうな気もします。
そして指導者の確保の問題。
学校規模が拡大している時期はさておき、教員数が減少している、あるいは減少を余儀なくされるような場合にも
部活動の種類を減らすことに理解を得るのはなかなか難しいことのようです。
そこで期待されるのが外部指導員ですが、現在はまだしも、今後を見据えるとこのような人材を確保することも
簡単ではなくなってくるのではないでしょうか。
さらには指導時間の問題。
平日は授業後、あるいは授業前に行われるのが部活動。
そして休日も練習や試合がある、というのが部活動の特徴です。
となると、顧問の教員はいわゆる「時間外労働」としてこの部活動指導を行うのか…という問題が発生することになります。
以前、このブログでも触れましたが、学校はいわゆる定時で動くのが難しい経営体ですので、
「変形労働時間制」という特殊な労働時間制が適していると思うのですが、
それでも月曜日から金曜日の勤務時間が10時間を超えたり、土曜日や日曜日の勤務が常態化したりすれば、
このような制度すら機能しなくなってしまう危険性があります。
そして、学校の本分はやはり授業にある、と考えれば、部活動をこれまでと同じ、あるいはそれ以上に
枠を大きくすることは今後困難になるのでは、と推測されます。
このように、いろいろと課題の多い部活動なのですが、
「じゃあ活動を縮小しよう」とはなかなかいかないのが困難さに拍車をかけます。
ひとつが生徒・保護者の要望。
そしてもうひとつが一部の顧問の要望。
私自身、いくつかの私学でお話を聞いてみても、後者の問題を抱える私学が少なくないのではないか、と感じています。
実際、授業よりも部活動に熱心な教員が「部活の縮小などとんでもない」と考えていることが、
授業の優先、部活動の劣後ということを阻害している、というケースを見聞きしています。
このように課題の多い部活動ですが、この課題をクリアするのに必須なのが
「部活動を教育活動の中でどう位置付けるか」というスタンスを明確にすること。
学校ごとに異なる考え方があって当然ですので、ぜひ御校でも部活動の位置付けを明確化されるようお勧めいたします。
(文責:吉田)