寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

土曜授業:月2回が上限 「導入なら教員増を」

学校週5日制が完全導入されて10年余り。

私自身が中高生の頃は考えられなかった週休2日制ですが、それもそろそろ定着したのかな、と感じていた昨今。

学校は週6日制に再び舵を切っています。


土曜授業:月2回が上限 「導入なら教員増を」

私学ではすでに土曜授業が当たり前のような状態になっているようにも思えますが、

そのことが一因となりがちな経営課題は公立同様、「教員の負担軽減」にあると感じます。


教員の負担増はいくつかの視点で考える必要があります。


まず最優先は、教員の健康への影響

教員の負担増は授業のみならず、近年あらゆる学校活動において強いられがちです。

私の知り得る限り、日々の残業が1、2時間で済んでいる、という学校はほとんどなく、

その労働過多は早急に是正されねばならないと感じます。

仕事量を急激に減らすことができないのが現実でしょうから、

仕事のやり方、あるいは役割分担の工夫などで、少しでも労働時間を減らすよう

各校が努力すべきだと感じます。


そして、労働法への対応

公立校は原則的に公務員法が適用になりますが、私学は同じ学校という業種に属しながら、

労働三法を中心とした一般労働法が適用されます。

ということは、前述のような「残業が当たり前」「休日出勤も当たり前」の勤務状態となれば、

残業や休日出勤にかかる割増賃金(時間外手当)が発生してしまうことになります。

もちろん、残業の前提としていわゆる「三六協定」も必要になりますし、

実際の時間外勤務に応じた時間外手当の支給も必要になります。

公立校が行っている「教職調整額」の支給では労働法の要請には応えたことにならないのです。


さらに上記から派生する、人件費総額への影響

教職員さんの立場で考えるなら時間外手当等の支給は当然のことかもしれませんが、

学校単位でこの金額を試算してみれば、その支出が学校の存続すら危うくするレベルに達してしまうことも珍しくありません。

学校の勤務体系に応じた制度として「1年単位の変形労働時間制」を挙げることができますが、

この制度を採用するか否かを含め、学校としてこのことにどう対応するのか、という方針を明確にし、

それを実現していくことが重要です。


結局のところ、授業時間数を確保するためには『のべ教員数』の確保が必須。

とすれば、授業時間数を減らさない限り、

「1人の教員が担当する授業時間を増やす」か、「教員の数そのものを増やす」か、という選択肢が残ることになります。

両者は一長一短。各校に合ったバランスを模索し、この課題をクリアしていくことが求められます。

(文責:吉田)