寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版) その2

今日は昨日の続き、ということで。


「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版)

昨日の記事では統計値のご紹介を中心に行いましたが、

今日は自分なりに感じたことを中心に書いてみたいと思います。


【第3部 教育費】

13 国内総生産GDP)に対する学校教育費の比率

よく言われていることですが、教育に対する公費支出が小さいことがこの統計から見てとれます。

全教育段階における公財政支出の割合について、OECD平均は5.4%、日本は3.6%となっています。

14 一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率

こちらも13と同様、小さくなっています。

同じく全教育段階における、政府支出に占める教育支出の割合は、OECD平均が13%であるのに対し、日本は8.9%です。

ちなみに韓国は15.3%、アメリカは13.1%となっています。

15 学校教育費の公私負担区分

公私の比較という観点からしても、公財政の割合が低いのが日本の特徴です。

数字が掲載されている28ヵ国の中で、日本は下から2番目の68.1%。ちなみに最下位は韓国で60%です。

16 公財政教育支出における国・地方の負担区分

こちらはコメントを省略させていただきます。

17 学校教育費の使途別構成

日本においては、資本的支出への支出割合が高くなっているのが少し意外に感じました。

他国と比べても、施設設備の充実が課題になっていると言えるのかもしれません。

18 学生・生徒一人当たり学校教育費

日本は高等教育(大学等)が割安ですが、それ以外はほぼ平均的な数値になっています。

ただしここに掲載されているのはあくまでも国公立教育機関のみということですので、

私学の場合にはもう少し高い水準になるのではないでしょうか。

19 大学の学生納付金

フランスとドイツの安さが際立っています。逆に、アメリカは私学の学費の高さが際立っています。

韓国は国公立大学であっても学部や学校によって学費が大きく異なっていることが分かります。

20 政府機関等奨学制度

他国には給付型の奨学金制度が存在しているのに対し、日本にこれがないのが不自然な気すらしてしまいます。

ここに来て少しそのような議論も出てきているようですが、早急に整備すべき制度のひとつであると感じます。


さらにいくつか付属資料も付いているのですが、そちらは割愛させていただきますね。


この資料から感じた率直な感想としては、

「制度や実情など、韓国と似ているところが多いんだな」

ということ。逆に欧米とは制度の違いがくっきりと見てとれた気がします。


そしてもうひとつ、教育そのものの多様性について、もっと活発な議論があってもいいのでは?ということ。

欧米との制度の差を見るにつけ、「パートタイム学生」、つまり「就業しながら学業も修める」という形が

日本においてはいろんな意味で難しい(本人の意識、公的なバックアップ、就業形態…)のではないか、と感じました。

制度を整えるのは政府の仕事、かもしれませんが、私学としては、これまでも先進的な取組をしてきたわけですから、

常識にとらわれない教育の形というものを見つけていくのもまた使命、と捉えても良いのかもしれません。


以上、本資料からの気付きを書き連ねてみました。

皆さんもぜひ、機会があれば目を通してみて下さいね。

(文責:吉田)