「空が高すぎる」という小田和正さんの歌を思い出すような冬の空が大好きな、吉田がお送りいたします。
1月7日のニュースで報じられていた
「佐賀・武雄市:「一部職員5人程度」年俸制導入へ 市長方針--10月から」。
武雄市はこれまでも画期的な政策を打ち出してきていましたが、この記事も目を引きました。
当初は希望者5名に対して実施し、その後組織内に広げていく、とのこと。
公務員としての処遇のされ方にも多様性があったほうがいい、というのが樋渡市長のお考えのようですね
(ブログを拝見しての私の感想です)。
政策の是非はさておき、この記事による示唆が2つ。
1つは「年俸制の特徴について」。
年俸制は、文字どおりの意味としては
「給与を年単位で決定する」
というだけのことであって、実はこれまでの公務員も年俸制にかなり近い
(賞与は人事院勧告等の影響で若干変動しますが)。
ですが、通常の場合、年俸制という言葉には
「毎年、次年度の給与を査定・交渉する」
という意味合いが含まれます。
となると、当然のことながら「評価・査定」そして「交渉」という、
これまでにはない工程が必要になるわけです。
ここが不十分だと年俸制の意味が薄れるばかりか、逆効果になりかねません。
学校においても年俸制を望む経営者さんに出会う機会も少なくないのですが、この点をぜひご留意いただきたい、つまり
「評価や交渉の過程をしっかりやらないと、年功序列型給与体系よりも不満を持たれやすい制度になってしまう」
ということです。
もう1つは「新制度の導入手順について」。
年俸制を始め、学内の制度を変え新たな制度を導入するときには大いなる慎重さが求められます。
武雄市の場合、報道発表がこのタイミング(2012年1月)で、制度導入は2013年10月。
そして導入時には5名のみの適用となり、その後状況を見て組織全体に広げていく、と。
これでもかなりスピーディだと感じるくらい、特に賃金にかかる制度は慎重である必要があります。
それは、どんな制度であっても「長所だけしかない」という制度はあり得ないから。
実際にやってみると、必ずエラーが発生するのが制度というものの宿命。
当社で制度導入のお手伝いをさせていただくときも、必ず「試行期間」の設定をお願いしているのはそういう理由からです。
新年度を控え、各学校ではそろそろ「予算編成」「事業計画の立案」などが佳境を迎える頃でしょう。
あせらずたゆまず、より良い学校を目指して進んでいっていただきたいと願っております。