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麻布校長 卒業式で国旗掲げることない、強制されたら辞める

http://news.livedoor.com/article/detail/6400974/

2012年03月25日16時00分

提供:NEWSポストセブン

 有名私立御三家のひとつであり、自由な校風で知られる麻布中学・高校。ユニークな教育風土の中から、毎年、多くの東大合格者を輩出している。その麻布学園・氷上信廣校長の目には、大阪と東京で進む「教育改革」は、どう映っているのか。以下は、氷上校長のインタビューである。(聞き手=ノンフィクションライター・神田憲行

 * * *

——東京都教育委員会の「職員会議における挙手採決の禁止」、大阪市における「国旗国歌の徹底」。大阪と東京で始まっている「教育改革」は関係者のみならず大きな話題になっています。私立には関係がないのでしょうか。

氷上:私立校は関係がありません。この間、私立校の校長会でちょうど話題になったんですが、僕が聞いた限り、卒業式で国旗を掲げているのは六校のうち一校だけでした。我々も掲げることはないでしようね。

——一般論として、行政が教育に介入することにどう思いますか。

氷上:公立は仕方ない部分もあって、だからこそ私立の意味がある。多元的価値は近代の大原則だから、教育の価値を担う者たちが自立的に決めるというのが、あるべき価値だと思うんですよ。

 行政には行政の価値があるでしょうから、それぞれの価値追求の中でやればいいわけで、行政が教育の価値に口を出すというのは、素人が玄人に口を出すことにつながらないのかなあ。

——職員会議の「挙手採決の禁止」というのは、どう思われますか。

氷上:なぜ禁止するのか理解に苦しむ。麻布では職員会議が意思決定の最高機関だから、決まるまで延々と議論を尽くしていくのが伝統です。五時間とか平気であるから(笑)。

——国旗・国歌の義務づけはいかがですか。

氷上:伝統の象徴として、あるのはわかる。サッカーワールドカップとかオリンピックとか、国旗を掲げて国歌を歌うのが国際儀礼なんだから。でも卒業式にそれがいるのかわからないね。

 日本人は愛郷心と国家意識を分ける必要がある。自分の小さな共同体、いわば「ふるさと」を大切に思う気持ちと、国家意識とは別。「ふるさと」は具体的な想い出だったり、いろんなものが詰まっている存在だけれど、近代国家は「システム」です。

 それがいつの間にか「故郷」を愛することが「国家」を愛することに同心円で一緒にされてしまった。この二つは峻別すべきなんです。国境を越えた資本主義、グローバリズムの中では、逆に「愛郷心」は大切にした方が良い。でないと逆に「ナショナリズム」に足をすくわれるから。

コスモポリタン」なんて、単なる根無し草にしか見えない。郷土愛の根は大切にしたい。それにしても今の「卒業式における国旗国歌の遵守」は、ただの教育に対する統制手段としか見えないけれど。

——大阪では教師が実際に歌っているか、校長が教師の口元をチェックしていたケースもありました。もし氷上先生が大阪で校長をされていたら、どうしますか。

氷上:辞めちゃうよ(笑)。もっと生徒のためにエネルギーを注ぎたいもの。

——麻布の卒業式ではなにか特別なことをしたり、話したりされるんですか。

氷上:式後の祝う会では、いつも「いい男になれ」と話しています。それは「仕事が出来る男」「家事育児が出来る男」、そして「学校に寄付が出来る男」という(笑)。別にエリートにならなくてもいいから、「いい男」にはなってほしいと本気で願っています。

いろいろな考え方があると思いますが、この中にはいくつもの示唆があるように感じます。故郷を愛する心とは、そして学校の存在意義とは、さらには教師の役割とは…この問題はしっかりと自らの頭で考える必要があると改めて感じました。(JTC/吉田俊也)