寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

大阪の高校、来春は「狭き門」?…募集定員、受験予定者に2000人不足

 大阪府内の来春の高校入試で、公私立高合わせた募集定員の総数が、府内の受験予定者数より約2000人も少ないことがわかった。

 地域政党大阪維新の会府議会に提案した教育基本条例案が成立すれば、定員割れが3年続いた府立高が統廃合されることもあり、今春入試で定員を満たせなかった多くの府立高が統廃合の対象となるのを避けようと、事前に定員減を求めたためだ。前例のない異常事態で、府教委は4日、私立高側に「定員を増やして生徒を受け入れてほしい」と緊急要請する。

 府内の公私立高の募集定員はこれまで、中学生の進学先確保のため、公立7割、私立3割の比率で事前に割り振り、受験予定者の総数を下回ることがなかった。全国ほとんどの都道府県も同様の対応だが、大阪では、維新の会代表の橋下徹・前知事が今年度、「公私間の競争を促す」と私立高授業料無償化策を拡充したのを受け、今春入試から公私間の枠が撤廃された。

 今春は府内の受験予定者6万5190人に対し、公立が4万6440人、私立が2万1300人の募集定員で入試を実施。募集が受験予定者を2550人上回る状態だったが、無償化制度のあおりで私学に人気が集中し、一部の私立高が定員を大幅に超える合格者を出した。一方で、公立への進学者は定員を約1500人も下回り、府立高(全日制)132校の3分の1にあたる42校が定員割れとなった。

 このため、府教委は、原則1校当たり240~400人だった府立高の定員を、来春から志望状況や高校の意向に応じて柔軟に設定する方針に転換。各校の意向を聞いたところ、条例案の統廃合ルールを懸念し連続の定員割れを免れたい各校が、軒並み定員減を求めてきた。この結果、公立の募集定員の総数は4万3000~4万4000人と、来春の府内の受験予定者数約6万7000人の65%にとどまったという。

 これに対し、私立側は「無償化で人気が上がっても、学校の収容能力には限りがある」などとして、募集定員の総計は今春とほぼ同じ2万1400人に設定。公私合わせても、府内の受験予定者数に約2000人足りない事態となった。

 毎年11月中旬には、公私立高とも募集定員を発表するが、府教委は「このままだと全員の進路が保証されない」と、私学団体に、今年の実績に見合った定員増員の協力を求めることを決めた。私学団体は、私学全体で定員増を受け入れる方向で検討する方針だが、私学間に難易度の差もあり、どの学力レベルの定員をどれだけ増やすのか、調整が難航しそうだ。

 維新の会は府議会の過半数を占める。知事、大阪市長のダブル選(27日投開票)で条例案の信を問うとしており、維新の候補者が当選すれば、条例案は12月中旬の本会議で可決される可能性がある。

(2011年11月5日 読売新聞)

これが橋下さんの言う「必要な競争原理」なのでしょうか。「募集定員に満たない=人気がない」という前提で淘汰しようとした公立校が、「募集定員を満たす=定員を減らせばいい」という方向に舵を切ろうとするのは自明であったはずですが…これでは公立校の役目は果たせません。単純な物差しで学校の成果を測るのはやはり危険があると言わざるを得ません。成果を「測定する」ときには、よりいっそうの慎重さが求められることを、この記事は物語っています。(JTC/吉田俊也)