寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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「Seeyou」と告げ、去った外国語指導助手

 東日本大震災の後に、栃木県内の学校に勤務していた外国語指導助手(ALT)が、契約期間の途中で退職して帰国するなどのケースが相次いでいる事が30日、わかった。

 読売新聞のまとめでは公立学校で12人にのぼり、背景には余震や福島第一原子力発電所の事故に伴う放射能への不安があるとみられている。英語の授業に遅れが出ることを懸念する学校もあるが、新しい助手が見つかりにくいこともあり、県教委や自治体は頭を悩ませている。

 「See you(またね)」

 宇都宮市内の中学校に勤務していた30歳代の米国人男性助手は、震災2日前の3月9日夕方、同僚にそう告げて学校を後にした。しかし、週明けに彼が再び学校に来る事はなかった。

 男性は3月17日に帰国。1月には、3年目となる4月からの契約は決まっていたが、「親が心配しているから一時帰国したい」と言ってそのまま戻らなかった。同僚の男性教諭(49)がそのことを知ったのは、4月に入ってから。男性にもうすぐ1歳になる赤ちゃんがいた事を思い出し、「地震で日本が嫌になったのかな」と感じた。

 生徒に「実は帰国して戻ってこないんだ」と打ち明けると、生徒は「えー、そうなんだ…」と驚き、残念がった。学校では新しい助手が来るまで、授業は日本人教諭2人で行った。

 宇都宮市以外にも、矢板市で3人、大田原市で1人、壬生町で1人が退職。後任が見つかっている自治体もあるが、高根沢町では、4月に再来日予定の2人がいまだに着任せず、町教委は「2人がいる前提で指導計画をたてているのに」と気が気でない。県立高校でも、23人のうち2人が帰国。

 県央地域の男性助手は、震災時は休暇で香港にいたが、「放射能健康被害が怖い。働き続けるのは難しい」というメールを同僚に送り、そのまま退職した。県教委は「2学期以降に課外授業を増やすなどしていくしかない」と頭を悩ませている。

 県内の複数の自治体にALTを派遣している「ジョイトーク」(さくら市)によると、震災後は応募が激減、来ない日もあるという。

 県内に残ったALTの気持ちは複雑だ。2000年から宇都宮市の小中学校でALTを務める英国人のマシュー・バーンズさん(35)は、「親や家族が心配して帰る気持ちは理解できるけど、好きにはなれない」と話す。原発事故の際は、パニックになる助手もいたが、「落ち着いて行動しよう」と呼びかけたという。「日本人の同僚や子どもたちが普通に生活しているのに、パスポートがあるからバイバイなんてできない」。バーンズさんは力を込めた。

(2011年5月31日 読売新聞)

恥ずかしながらこれまで海外で災害や事故が起こった時に、日本人が帰国することを当然のように考えていた私。今回は逆の立場になって初めてこのことに深く思いを致しました。正しい答えなどないこの問題ですが、せめて生徒たちには十分な教育環境が継続されることを望むばかりです。(JTC/吉田俊也)