寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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天井や壁 耐震に遅れ

 東日本巨大地震では、震度5前後の揺れにとどまった地域の学校でも、照明カバーや内壁が崩落し、児童生徒がけがをする事故が起きた。

 耐震化が進む建物本体に比べ、対策が遅れている天井や壁、設備器具の落下などによる危険が改めて浮き彫りになった。

 栃木県下野市国分寺中学校では、1、2年生約300人が前日行われた卒業式の反省会のために体育館に集まっていた。震度5強で揺れた数十秒後、体育館の天井を覆う石こうボードがはがれ落ちてくるのに田熊利光教諭(44)が気づいた。

 「危ない!」と叫んで生徒らを壁際に避難させたが、続いて何枚ものボードと鉄製照明カバー(1個重さ約1キロ)計7個が落下。うちカバー1個が逃げ遅れた1年女子生徒にあたり、額を8針縫うけがをしたほか、生徒19人が打撲などで病院に行った。

 「まさに逃げる間もなく、落ちてきた」と田熊教諭。新村純一校長(57)は「安全であるべき学校でけがをさせてしまい、申し訳ない」と話す。

 東京都三鷹市立第三小学校では、地震の数分後、体育館にいた5年生児童87人が運動場に避難する際、出口の上部内壁を覆うモルタル材(厚さ1~2センチ)の一部がはがれ落ち、児童8人にあたった。白井千晴校長(54)によると、うち2人が肩や手に打撲や軽い切り傷を負い、保健室で手当てを受けた。

 同校児童の保護者は「地震でよく聞く屋内の事故は天井や壁の落下によるけが。メンテナンスがどうなっていたのか気になる」と話す。

 文部科学省によると、23日午前5時現在で確認できただけで、23都道府県の国公私立学校5819校で物的損害があった。

 学校の建物本体は、阪神大震災の教訓から「震度6強でも倒壊しない」とされる新耐震基準をもとに補強工事が進んでおり、全国の公立小中学校で73・3%が耐震済み(2010年4月現在)だ。しかし、今回は最大で震度7と想定を超える揺れ、さらに津波が襲ったため、校舎倒壊や全焼、津波による流失と被害はいまだ計り知れない。

 一方、外壁や天井の落下、壁のひび割れ、ガラス窓の破損といった被害も目立った。こうした「非構造部材」の耐震化については文科省が2005年に耐震対策事例集を出しているが、安全チェックが難しいほか、建物本体耐震化を優先させるため、現場もようやく対策にとりかかり始めた段階だ。

 学校建築に詳しい東洋大学の長沢悟教授(62)は、「非構造部材の落下などは軽微に見えても、危険なことに変わりない。速やかな耐震対策が必要」と話している。(京極理恵)

(2011年3月24日 読売新聞)

日本は地震列島である、ということをこのような形で再認識させられた我が国。記事にもあるように、耐震は建物そのものだけでなく、各所に必要なもののようです。ただ今回を含め、想定以上の規模の震災が起きたときにはどうなってしまうのでしょうか。施設管理基準をどう考えるか、学校のみではなく、安全確保が必要な施設すべてで再考が求められるのかもしれません。(JTC/吉田俊也)