寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

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校舎階段に基準の壁、1cm差で思わぬ出費

 少子化と財政難から大規模な小中学校の統廃合を進める新潟県佐渡市が、2012年春に誕生する小中連携校の1校で、校舎階段の段差と法令基準との「1センチの違い」から、思わぬ支出を余儀なくされることとなり、頭を痛めている。

 市教委は06年度からの10年ほどで、小中学校をそれぞれ3分の1程度に減らす統廃合を進めている。

 今回“段差問題”が浮上したのは、市東部の海沿いにある前浜中学校。7キロ離れた前浜小学校との連携校になるため、現在、敷地内に小学生用の新校舎の建設を進めている。

 現在の木造2階建て校舎も小学生と共用するが、校舎内に2か所ある階段の1段ごとの段差は、市教委によると、16・8センチ~17センチ。建築基準法施行令では、校舎階段の1段ごとの段差は小学校で16センチ以下、中学校で18センチ以下と定められており、小学校の基準を満たしておらず、連携校となった場合は違法建築になるという。

 中学校舎は築15年と新しいが、市は階段の段差を16センチ以下にするため、約440万円をかけて、2か所とも段差を縮める階段の付け替え工事を実施する。今度の春休みに工事が行われる予定だ。

 ◆弾力的運用、求める声も◆

 1950年の制定時から変わっていないという、この段差の基準の運用について、市幹部は「1センチの差が子供の成長や安全にどれだけの影響を与えるというのか。既存施設を有効に活用するために、弾力的であるべき」と疑問を示す。

 一方、国交省建築指導課は「緊急時に安全に避難することを考えると、18センチ以下の段差というのが一般的。中学生と小学生の身長差を考慮すると16センチは妥当。安全に関する基準を変えることは難しい」としている。

 佐渡市内には前浜小中学校のほかに3校の連携校ができるが、小学校の校舎を使うなどの理由でいずれも階段の付け替えは必要ないという。

小中連携校 佐渡市教委の定義では、同じ校舎や敷地に小学校と中学校が併設された学校。体育館やプール、調理室が1つで済むなど管理費が削減できる上、児童・生徒、教員の交流が進むことで、中学進学時に学校になじめない「中1ギャップ」の解消が期待できるという。

(2011年1月5日 読売新聞)

安全への配慮を最優先すべきか、それとも手間・コストを惜しむべきか…1cmの重要性がいかほどなのか私には分かりませんが、学校という事の特性を考えればやはり前者重視なのかな、と思います。が築15年のこの建物、15年前には「目的外使用」についてあまり考慮しなくてもよい時代背景だったのでしょうか?耐用年数が数十年にわたることを考えれば、そこにはやはり「投資計画」があってしかるべきなのかもしれません。先を見据えた計画経営の重要性が推し量られます。(JTC/吉田俊也)