寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校法人運営調査とは?その2

先日に続いて、学校法人運営調査についてお届けいたします。

基となっている情報は文科省HPに掲載されています。

 

学校法人運営調査における経営指導の充実について(通知):文部科学省

 

では今後、学校法人運営調査によって、

どのような指導がなされることになるのでしょうか。

HPから抜粋してみます。

(赤文字は筆者による加工です)

3.学校法人に対するきめ細かい集中的な指導の実施

(1)学校法人運営調査委員会において,財務の悪化状況,経営指導強化指標への該当状況,今後の経営改善に向けた取組の状況等を総合的に勘案した上で,経営基盤の安定確保が必要と判断された学校法人,すなわち経営指導の対象となる学校法人のうち,経営指導強化指標に該当した学校法人及び経営指導強化指標に該当していなくても,個別の状況を勘案し,経営指導強化指標に該当した学校法人と同様の指導が必要と判断される学校法人については,3年程度を目安に経営改善の実績を上げるよう,きめ細かい集中的な指導を行うこと。
 なお,きめ細かい集中的な指導の実施期間として目安となる3年程度の間に,学校法人運営調査委員会において,下記4.(1)①から③の状況が確認された場合には,その時点で下記4.の対応を行う予定であること。

(2)きめ細かい集中的な指導の過程で,学校法人自らの経営努力等により経営指導強化指標に該当しなくなる等一定の経営改善が図られた場合には,学校法人運営調査委員会においてその状況を確認の上,きめ細かい集中的な指導の対象からは除き,財務状況等について必要なフォローアップを行うこと等,当該学校法人に対する指導の扱いを変更すること。

かなりの圧を感じるのは私だけでしょうか… 

厳しい態度で臨む、という姿勢が伺えます。

 

具体的な対応については以下の通りです。

4.きめ細かい集中的な指導が行われた学校法人のうち,一定の状況が確認される学校法人への対応について

(1) 上記3.(1)のきめ細かい集中的な指導が行われた学校法人について,学校法人運営調査委員会において,以下①から③の状況が確認された場合には,「学校法人運営調査委員による調査結果」(通知)において,経営判断を促す内容を含む予定であること。
 ①経営改善の実績が上がらなかった。
 ②支払不能すなわち資金ショート又は債務超過に陥るリスクがある。
 ③学校法人の有する資産が,経営難の原因となっている組織廃止に必要となる額を下回るリスクがある。

(2) 上記4.(1)の通知には,以下の内容を盛り込む予定であること。
 ①経営改善の実績が上がっておらず,支払不能すなわち資金ショート,債務超過,組織廃止に必要な資産不足に陥るリスクがあること。
 ②必要と考えられる見直し内容を示して,経営上の判断をすること(部局の募集停止,設置校の廃止,学校法人解散等を含む)。
 ③上記①及び②を踏まえ,学校法人はその対応方策の方向性について,財務諸表や事業報告書等に明記すること。
 ④学校法人が上記③により公開した内容を文部科学省において公表する予定であること。

まさに「退場」勧告ですね。

指摘を受けてからの猶予期間は3年。

果たして3年という時間で解決する課題なのでしょうか。

 

私学は経営においても自主性を尊重されるべき存在です。

その自主性が失われるような事態に陥ったのは、他でもない、

私学自身の経営に対する意識の希薄さに端を発している、とも言えるでしょう。

しかしながら、この期に及んでこのような指導を受け、

経営の自主判断を奪われるような事態になってはいけません。

厳しい目で、自校園の経営について振り返ってみていただきたいと思います。

そして、必要な改善・改革を、公権力を行使されるのではなく、

自らの力で実現していただきたいと思います。

 

 

(文責:吉田)

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学校法人運営調査とは?その1

文科省管轄法人に対して、先日こんな通知が出されました。

文科省HPより。

 

学校法人運営調査における経営指導の充実について(通知):文部科学省

 

学校法人運営調査、なるものをご存知でしょうか。

通知の全文から、一部抜粋してみます。

大学等の経営にとって極めて大きな環境の変化を迎える中,学校法人においては,経営力を一層強化し,継続的・安定的に質の高い高等教育を提供することにより,学生,保護者はもとより地域,社会の信頼と支援を得ていくことが重要です。
 文部科学省では,従来より,学校法人の健全な経営の確保に資することを目的として,学校法人運営調査において,学校法人の管理運営組織,その活動状況及び財務状況等について実態を調査するとともに,必要な指導・助言を行っておりますが,上記状況を背景に,「私立大学等の振興に関する検討会議 議論のまとめ」(中略)等において,経営指導の充実の必要性に関する提言がされてきたところです。
 経営指導の具体的な充実方策については,学校法人運営調査委員会及び大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の下に設置された学校法人制度改善検討小委員会において議論いただいてきたところであり,その内容を踏まえ,平成31年度からの学校法人運営調査においては,下記のとおり経営指導の充実を図ります(後略)。

要するに、各学校法人の状況を報告してもらうための調査が学校法人運営調査で、

その内容によっては文科省が「行政指導」しますよ、

ということのようです。

ここ数年の方向性であった「規制強化」の流れに沿ったものだと感じます。


さて、どんな指導がなされるのでしょうか。

その前に、指導が入るかどうかの「基準」について確認しておきましょう。

指標値は以下の2つです。

(1)貸借対照表の「運用資産-外部負債」が直近決算でマイナス

(2)事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近3か年連続マイナス

ちなみに、

運用資産=特定資産・有価証券(流・固)・現金預金の合計

外部負債=借入金(短・長)・学校債・未払金(長期含む)・手形債務の合計

ですので、ご確認ください。

さて、御校はいかがでしょうか。

上記2指標に該当するようであれば、指導が入る以前に、

経営の継続という観点から黄信号が灯っていることに留意が必要です。

 

そして、学校法人運営調査はすべての法人が対象ではなく、

経営が厳しい学校を抽出してなされているようです。

こんなふうに書かれています。

毎年度行う学校法人運営調査の対象法人については,学校法人運営調査委員会において,財務状況,定員充足状況,過去の調査状況等を総合的に勘案して決定しているが,平成31年度からは,前回の学校法人運営調査から長期間未実施で経営指導強化指標に該当する学校法人も対象とすること。

 

少し長くなってしまいました。

ではどんな指導が…

という点については、日を改めてお届けします。

 

(文責:吉田)

 

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主幹教諭、100人増員へ

各省庁からの概算要求が出そろい、

これから次年度予算の検討や調整が本格的に始まっていきますね。

文科省の予算はどうなるのでしょうか。

本日はこの話題を採り上げてみます。日本経済新聞より。

www.nikkei.com

(有料会員限定記事です。ご容赦ください)

 

文部科学省は30日、公立の小中学校で学級担任を持たず、校長や副校長、教頭ら管理職を補佐する「主幹教諭」を2019年度に100人増員する方針を固めた。同年度予算の概算要求に盛り込んだ。長時間労働が問題になっている教員の働き方改革の一環。管理職を補佐し、仕事の効率化で中心的な役割を果たす。


この根拠になっているのは2016年に調査した学校の勤務実態で、

副校長や教頭の多忙さが指摘されていました。

今回の案では、学級担任を持たずに管理職を補佐することが想定されており、

まさに学校管理の一端を担うことが期待されているようです。

 

 

ただ、これはあくまでも公立校の話。私学はどうでしょうか。

 

私が関わらせていただいている各校におかれては、

ともすると管理職冷遇ともいえるような体制や

仕組みが採られているケースがあります。

 

例えば役員の報酬が一般教職員よりも低額であるケース。

さらには企画部門への人員配置や予算配分を教職員サイドから拒否されるケースも。

学校経営の重要性や責任の重さが学内で十分に理解されていないことがうかがえます。

 

公立校でも管理職が特に忙しいとなれば、

私学においてはおそらくそれ以上のことが起きているのでしょう。

なぜなら、私学は公立校にはない「経営」の要素が多分に入ってくるからです。

管理職の業務が適切に進められるように、人員配置や役割分担を再考すべきなのは

むしろ私学のほうかもしれません。

御校での議論が深まっていくことを願っております。

 

(文責:吉田)

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休日は一家で夕食

学校関係者の皆様、夕食はどこで誰と過ごされますか?

興味深いアンケート結果が発表されました。

日本経済新聞より。

www.nikkei.com

 

夫婦共働きが増える中、休みの日に家族全員で夕食を取る家庭が7割に上り、平日には難しいだんらんの機会を休日に取ろうとしている傾向が、大手玩具メーカーバンダイの調査で分かった。

 

私が知る限り、私学でお勤めの皆様は退勤時刻が遅い方も多く、

そうなるとご家庭でお子さんと夕食、というのが難しいケースも

あるのではないか、と思ってしまいます。

平日には難しくても休日には家族でだんらんを…

というお気持ちはとても素敵ですね。

 

一方、この調査では「子供の食事で意識していること」も聞かれていて、

・ 食事中のマナー(35.1%)

・ 栄養バランス(32.1%)

のほかに、

・ 食事中にテレビを見せない(18.8%)

スマートフォンを使わせない(17.3%)

も回答が多かったようです。

 

最近少々気になるのは、食事中の「大人」のマナー。

ひとりで食事をしている大人の多くはスマートフォンを見ながら、

あるいはいじりながら食事をされているように思います。

(そんなことが気になる私はやはり家族との食事の機会が少ないんでしょうね…)

 

食事は大切な教育の場、学びの場であると感じます。

今回の調査結果をひとつの気づきにして、

食事の時間がよりよいものになることを願っております。

 

(文責:吉田)

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リスク資産に投資

まずは昨日の台風21号で被害があった地域の皆様にお見舞い申し上げます。

実は私も自宅付近が暴風の直撃を受け、木や街灯が倒れ、

近所の信号機を含め昨日はずっと停電が続きました。

風の恐ろしさを感じた一日でした。

自然の脅威、覚えておきたいと思います。

 

さて本題。

国家財政、地方財政ともに心もとない将来見通し。

そのような中で、私学経営はどこまで補助金に頼ることができるのか、

甚だ不安な状況が見え隠れしています。

そのような経営環境の中で、資産運用の考え方を転換する私学が出てきました。

日本経済新聞より。

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

この記事のサブタイトルには

「学の独立」へ積極運用

と書かれています。

補助金頼みであるうちは、学の独立とは言えない。

どこからも口を出されない経営のためには、自律財政が必要である。

そんな強い決意が聞こえてきそうです。

 

私学の資産運用に関しては、過去の失敗例のほうが大きく採り上げられがちです。

確かに、納付金や補助金をリスク資産として運用し、万一大きな損失が出れば、

在籍する、あるいは将来在籍することになる子どもたちとそのご家庭に

多大な影響を及ぼしかねず、安易に採るべき選択肢とは思えません。

 

ただ一方で、この記事の中で筆者が述べているとおり、

私学にとって収入減を多様化させることは

経営リスクの分散を図るうえで非常に重要だと私も考えます。

 

 

早大のガバナンス体制を示す図を記事より引用させていただきました)

 

ついては、自学のガバナンスが重要であり、

明確な投資基準や運用基準を持つこと、

情報を適時適切に共有すること、

定期的に専門家による監査を受けることなど、

しっかりしたしくみを確立して実行することが肝要でしょう。

 

この事例を先例として、各私学が資産運用を本格化させるのか、

あるいは別の方法で収入確保を図るのか、注視したいと思います。

 

(文責:吉田)

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仕事のやりがいは何ですか?

仕事にやりがいは必要。

今も昔も、そのことに変わりはないようです。

ただ、何にやりがいを感じるか、という点は

時代によって変遷しているのかもしれません。

 

こんな調査結果が発表になりました。

corp.en-japan.com

 

この調査は、エン・ジャパン株式会社が運営する『エン転職』上で、

ユーザーを対象に「仕事のやりがいと楽しみ方」について

アンケートを実施したもので、9,297名から回答が得られています。

 

仕事のやりがいを感じるのはこんなとき、だそうです。

やはり、褒められる、認められるというのは大切なことなんですね。

無料のモチベーションアップ法であるこれらの声かけ、

学校現場でも意識しておく必要がありそうです。

 

もうひとつ、興味深かったのが「仕事を楽しむ上での工夫」についての回答です。

男女差があるんだなあ、と感じました。

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項目ごとの順位は変わりませんが、人間関係をより重視している女性、

自分にできることを増やす、意識することをより重視している男性、

という結果が垣間見えます。

こういったことを、雇用者側も少し意識してみてもいいかもしれませんね。

 

(文責:吉田)

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9月がスタートしました!

先週で8月も終わりましたね。

学校では2学期がスタートしました。

そして、各省庁から来年度予算の概算要求も出そろい、

すでに次の年の枠組み作りが始まろうとしています。

 

今年の夏は早めに始まり、しかも猛暑日が数多くありましたので、

夏の疲れも出る頃かもしれません。

各校では早速本格的な活動が始まっていることと思いますが、

普段からお忙しい皆様方におかれましてはくれぐれもご自愛ください。

 

さて来週末、弊社ではこんなセミナーを予定しております。

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学校における最重要経営資源である「人」にスポットを当て、

総額人件費という観点から課題抽出とその解決を試みます。

当日の資料は9割出来上がったのですが、

もちろん、当日までブラッシュアップを続けますので乞うご期待。

ちなみに、現時点ではこんな目次を想定しています。

 

1.人件費水準の「平均」と「標準」
 法人種別・学校種別にみた人件費水準の「平均」の変遷を確認します。
 加えて、あるべき人件費水準(=標準)についても考察します。

2.総額人件費管理の手法
 人件費には多くの要素が含まれています。
 その整理を行い、それぞれの要素におけるポイントを学びます。

3.人件費からみた経営課題と解決の方向性
 人件費にはいろいろな経営課題が潜んでいます。
 それらの経営課題を抽出し、その解決に向けての方向性を探ります。

 

定員20名の、こじんまりしたセミナーです。

残席が少なくなってまいりましたので、

ご興味のある方は早めのお申込をお願いいたします。

HPからお申込みの方はこちらからどうぞ↓

セミナー情報|株式会社 ワイズコンサルティング

 

それでは今月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:吉田)

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