寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

私立大学法人、約4割が赤字経営

「私立大学法人の約4割が赤字経営〜3期連続減収は 17.5%~」

 

こちらは帝国データバンクによる

「私立大学を運営する 498 法人の経営実態調査」における目次です。

 

特別企画:私立大学を運営する 498 法人の経営実態調査

 

こちらの資料の冒頭を引用します。

 文部科学省によると、

私立大学で入学定員充足率が 100%以上の大学数の割合は、

1996 年度には 96.2%を占めたが、

少子化を背景に 2017 年度には 60.6%へと大きく落ち込んでいる。

私立大学では、収入の 77%を学生納付金が占め、

国立大学の 12%を大きく上回っており、

学生数の減少が「収入高」や「損益」へ大きな影響を及ぼす。

少子化により厳しい経営環境に置かれている私立大学について

経営状況の動向を注視する必要性が高まっている。

 

 とのことで、まさに2018年問題に直面しているのではないでしょうか。

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3期連続赤字の大学法人は84法人あり、損益動向が判明した422法人中の約20%を占めます。

地域別では人口減少が進む、北海道や九州では50%を超える法人が赤字となっています。

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一般的に2期連続で黄色信号、3期連続の赤字は赤信号と言われます。

3期連続の赤字となると、中小企業においては銀行に相手をされなくなってしまうことが多いです。

学校という特質上、企業と比較し、資金繰りに影響が出るまでには時間がかかると思いますが、それでも何期も赤字が続けばそのうち立ち行かなくなるでしょう。

 

既に定員割れを起こしている私立大学は39.4%と、

赤字経営となっている法人数とほぼ同じ割合となっています。

今後は学生数の減少に伴い、大学の規模の縮小や統合、再編などが加速度的に進むのかもしれません。

各校の将来設計の重要性が高まっています。

 

(文責:長森)

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子ども食堂、全国2286カ所に急増

子どもたちにとっての「食」の重要性については、

このブログでも時々記させていただいています。

自分の身体は、自分が食べたものでできている、

というフレーズはどこかの食品メーカーのキャッチフレーズだったでしょうか、

そのことを最近特に強く感じます。

 

私は子供の頃、好き嫌いがとても激しかったのですが、

朝食を含め、食事を抜いたことはおそらく一度もなかったと記憶しています。

両親と祖父母に心から感謝ですよね。

 

ところが近年は食事が不十分な子どもたちも多い、とのこと。

そんな中で、各地に「子ども食堂」ができてきました。

当初、この取組をお聞きした時にとても素敵だな、と感じたのを思い出します。

あれから何年が経ったのでしょうか、先月こんな記事が掲載されました。

毎日新聞より。

 

mainichi.jp

 

記事の一部を引用させていただきます。

地域の子どもたちに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」が全国2286カ所で開かれているとの調査結果を、運営者の団体「こども食堂安心・安全向上委員会」が3日発表した。子ども食堂の名が使われ出したのは5~6年前からで、ここ数年で爆発的に広がったとみられる。ただ、地域差も大きく、同委員会は「各小学校区ごとに1カ所の開設が望ましく、官民挙げての取り組みが必要だ」と訴える。

子ども食堂」という名称には明確な定義がないとのことで、

今回の調査ではどんな活動をもって子ども食堂としているのかは

回答する側に委ねられたようです。

それでも全国で2,000カ所を超えるとは…と驚きました。

地域としてはやはり人口の多い都市部に多いようなのですが、

子どもの貧困率が高い沖縄や北海道でも多くなっているようです。

善意の輪が広がっている、ということに関しては喜ばしいのですが、

一方でそれだけ子どもたちの食が脅かされているということでもあるだけに、

複雑な気持ちになってしまいます。

 

今後に向けた課題についても、記事に記載があります。

資金繰りが厳しく、食中毒や事故に備えた保険に加入していない食堂が多いという課題も浮かんだ。同委員会は3日から、全国200カ所の子ども食堂の保険料を工面するため、インターネットで寄付を募る「クラウドファンディング」を始めた。

食は安全第一。

そのために必要な資金が集まることを願っています。

 

さて、ひるがえって私学はどうでしょうか。

食に対する各校の捉え方は、決して前向きとは言えないように感じます。

学食の利用時間制限、買い食いの禁止、自販機の利用禁止…等、

食をめぐっては「制約」が先に立つ印象です。

むしろ、食のあり方を積極的に考えるような取組が増えるといいのにな、

と思っているのですが…多忙な学校現場には酷な話かもしれません。

ただ、食は命の原点ですから、

教育の大切な一要素として、

子どもたちも大人たちもそのことに向き合う場面が増えることを

心から願っています。

 

(文責:吉田)

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【セミナー】学校における働き方改革と実践のポイント ~長時間労働を是正するための7つの段取力~

5月に入りました。

今年のゴールデンウィークはまずまず天候にも恵まれるようですね。

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、来たる5月16日(水)に、弊社主催セミナーを大阪・梅田にて実施いたします。

 

「学校における働き方改革と実践のポイント

 ~長時間労働を是正するための7つの段取力」

 

日時 :2018年5月16日(水) 14:00~17:00(開場13:30)

受講料:5,000円(消費税込)

会場 :梅田パシフィックビル6F NSEリアルエステート梅田店

(※下記リンクからお申込みいただけます。)

www.ysmc.co.jp

 

 

このセミナーでは、 

  • 学校法人において、実際のところ働き方はどうなっているのか?
  • 学校現場の多忙さの要因とは?その対処法は?
  • 時間に制約がある中で、質の高い仕事を行う際のポイントとは?

といった、学校や幼稚園の業務特性を踏まえ、

限られた時間で成果を上げるための方策について考えます。

 

他校の現状や働き方を「変える方法」を皆さんと一緒に考察し、

「学校における働き方改革」を実現したいと考えております。

 

お席にはまだ少し余裕がございますので、この機会に、ぜひご参加ください。

 

(文責:長森)

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4人中3人が仕事よりもプライベート優先、2018年度「新入社員意識調査」

日本能率協会(JMA)が2018年4月12日に発表した

2018年度「新入社員意識調査」によると、

仕事よりプライベートを優先したいとする新入社員が

75%を超える結果となりました。

 

 

https://www.atpress.ne.jp/releases/154239/img_154239_5.jpg

 

なかなか衝撃的な数字ではないでしょうか。

しかも、ゆとり世代が新入社員だった4年前・6年前の過去2回の調査と比較すると、

プライベートを優先する志向が、より高まっています。

 

https://www.atpress.ne.jp/releases/154239/img_154239_13.jpg

 

 

この調査からも分かるように、これまでの価値観とは大きく変わってきました。

 

ひと昔前では、24時間働けますか?、なんて今では信じられないCMがあったくらい

モーレツ社員が沢山いたのですが、働き方改革が叫ばれる昨今、

これまで通りでは人材確保がさらに難しくなっていくでしょう。

 

ただ、働き方改革を推し進める学校法人にとっては悪いことばかりでもないように思います。

プライベートに配慮した職場づくりが提供できれば、

教員を希望する若者を十分確保できるチャンスとも捉えることができます。

 

プライベートに関する調査結果以外でも、

「おっ」と感じたものがありました。

日本の競争力についての質問では、若者の多くが

日本の将来をポジティブに捉えていることも分かりました。

 

https://www.atpress.ne.jp/releases/154239/img_154239_2.jpg

 

ちょっと前までは、自分に自信が持てないや、将来が不安である、といった声が多数を占めていたと思うのですが、日本の将来は明るいと考えている若者が増えていることは、とても前向きな話題ですね。

 

このように、急激に変わる社会情勢とともに、若者の価値観も大きく変化しています。

寝食を忘れて仕事に没頭することもあれば、家族のためにワークライフバランスを重視する。

そんな様々な要望を満たすことができる学校であれば、

人材確保に心配が要らなくなるでしょう。

多様な価値観を満たすそんな職場環境を実現するためには、

すぐには実現できなくても、「働き方改革」を実行することが必要です。

 

(文責:長森)

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スクールカウンセラー実践活動事例集

先日、学生時代の仲間たちと久しぶりの再会を果たしました。

私が所属していたサークルの同期メンバーは、

その多くが関西を離れてしまい、 すぐに集まれるのは10人未満。

その時に集まったのは5人でしたが、私自身は

ずいぶん久しぶりの顔も多く、懐かしさを感じながらも

ほんの数分で当時の空気感を取り戻しました。

 

そして、そんな仲間の一人は現在、

スクールソーシャルワーカーとして某市に所属していることを知りました。

昨今の社会構造の中で、子どもたちは様々に苦しんでいる…

その最前線にいることの大変さを味わいながらも、

友人は大きなやりがいを感じているようでした。

 

子どもたちの学習環境整備という観点はもちろん、

教職員の勤務環境を整える意味においても、

学校におけるカウンセラーの存在は重要性が高いように思います。 

そして、良し悪しは別として、私学においても

スクールカウンセラーの活躍の機会が増えている印象があります。

文科省HPにその事例集が掲載されていましたので、ご紹介いたします。

 

平成28年度スクールカウンセラー実践活動事例集:文部科学省

 

本資料には各都道府県の取組概要が同じフォーマットで記載されており、

公立校の事例のみが掲載されていますが、

【3】スクールカウンセラー等の活用事例

【4】成果と今後の課題

の2項目については、 私学においても十分参考になると感じました。

ここでは内容の詳細には触れませんが、子どもたちが苦しんでいる事案が

赤裸々に記載されていますので、ぜひ本資料をご一読いただければと思います。

 

それにしても、このレポートを読んでいると、

カウンセリングが必要な事例がこれほどまでに多いこと、

そしてこれほどまでに深刻な内容であることが分かります。

スクールカウンセラーのお仕事の重みを感じるとともに、

1件でもこれらの事案が減っていくことを願わずにいられません。 

  

 (文責:吉田)

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受験年齢要件の緩和進む、公立学校教員採用試験

4月になり、2019年卒採用の内定を出す企業も増えています。

今年も売り手市場が続いており、採用に悩む企業が多い中、

一般企業同様、教職員確保が難しい学校法人も多いのではないでしょうか。

 

実際、教職員試験採用試験の受験年限を引き上げる自治体が増えています。

www.sakigake.jp

www.asahi.com

(会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

文部科学省でも、各都道府県・指定都市教育委員会が実施した

公立学校教員採用選考試験に実施方法について、例年調査を行っており、

平成30年度採用選考の実施方法が取りまとめられています。

 

平成30年度公立学校教員採用選考試験の実施方法について:文部科学省

 

調査結果によると、受験年齢制限なしとした県市は32県市(前年は28県市)に拡大とあります。

確かに、受験年齢制限なしとしている県市は毎年拡大しており、

平成29年度は28県市、平成28年度は25県市、平成27年度は21県市で、

近年、3~4県市ずつの増加となっています。

 

これだけ受験年齢要件の緩和が進むということは、

それだけ採用が年々難しくなっていることの表れだと考えられます。

しかし、年齢要件を緩和したものの、受験者数の増加に至っていない自治体もあり、

人材確保はなかなか解決に至らない問題なのだと感じます。

 

私立学校においても、公立学校同様、人材確保が難しくなっていることと思います。

受験年齢要件のみで解決する問題ではないかもしれませんが、

まずは受験要件の緩和を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:長森)

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セミナーをふりかえって

先週金曜日、弊社主催セミナーを開催いたしました。

 

2018年度最初の学校経営セミナー、タイトルは

「経営者と管理職のための学校法人会

 ~学校の決算書のポイントを知ろう~」。

新年度の多用な時期、ご参加いただく皆様には

お忙しい合間を縫って…になりはしないか、

と心配したのですが、お申込は数日前に定員に達し、

HPでも「満員御礼」を表示させていただきました。

(お申込みいただけなかった皆様、申し訳ございませんでした)

 

 

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(当日の風景です)

 

「決算書を読む」となると構えてしまう方も多いと思いますが、

それほど高い技術が必要なわけではありません。

 

今回のセミナーでは決算書の構造と特徴を踏まえたうえで、

決算書を読み、分析する際に留意する点について考える機会を持ちました。

架空法人の決算書をお配りし、グループごとにその分析を行い、

さらには経営課題を抽出していただきました。

 

 

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(グループワーク、盛り上がっております)

 

今回のセミナーでは、会計情報を経営に活かすために、

管理会計・意志決定会計という考え方についてもご紹介いたしました。

経営課題を抽出するのに必要なことは「目標設定」。

目標と現状の間にあるものこそが「課題」であり、

その意味においては、課題は達成すべき目標に向かうために存在するものです。

教職員の採用、施設整備等、学校法人において投資案件はいろいろありますので、

それぞれの案件について検討する際に会計情報をうまく活用していただけるよう、

そのポイントをお伝えしたところです。

 

堅いテーマでのセミナーでしたが、アンケートには

・学校の経理の特徴をつかめたのは大きな収穫でした。

・予算、決算の際、理事会のプレゼンテーションで活用してみたい。

・分析資料がとても参考になる。自学園でも活用します。

といったご感想をお書きいただき、ホッとしています。

 

次回は5月16日(水)、「働き方改革」をテーマに実施予定です。

受講をご希望の方はお早めにお申込みくださいね。

 

(文責:吉田)

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