寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

小中一貫した教育課程の編成・実施に関する事例集

公立校が「私立化」している、と言われることがあります。

そのひとつが「一貫校化」ではないでしょうか。

 

少子化等による学校の統廃合とも相まって、

公立の小中一貫校が増えているようです。

そして、文部科学省からこんな情報提供がなされています。

 

小中一貫した教育課程の編成・実施に関する事例集:文部科学省

 

公立校の事例集ではありますが、

その工夫は私学でも当然活用できるものでしょう。

すべてを読み切れてはいませんが、

それぞれの小中一貫校の実例が要約レベルで掲載されていて、

ポイントが記されているので読みやすいです。

以下、各事例の特徴だけを抜粋しておきます。

 

事例 1 教科等の系統性・連続性を踏まえた学習指導 【系統図や指導計画の作成・活用】

事例 2 教育課程の特例の活用 【小中一貫教科等の設定】

事例 3 教科等を横断した学習指導に関する工夫 【授業における指導】

事例 4 教科等を横断した学習指導に関する工夫 【学習方略・学習スキルに関する指導】

事例 5 教科等を横断した学習指導に関する工夫 【個別指導や家庭学習に関する指導】

事例 6 学年段階の区切りの柔軟な設定 【保幼小連携で小中一貫教育の基盤を強化する】

事例 7 小学校高学年における教科担任制、乗り入れ指導~小学校高学年における教科担任制

事例 8 小学校高学年における教科担任制、乗り入れ指導~相互乗り入れ指導

事例 9 多様な異学年交流の設定 【教科等における共同学習】

事例 10 特別支援教育の充実 【学習環境への継続的な配慮】

事例 11 人間関係や相互の評価を固定化させない工夫 【固定化を回避する工夫】

小規模校もあれば、児童生徒数が結構多い事例もあります。

地域もまちまちですので、まずは近隣の学校の事例をご覧になってもいいでしょう。 

 

ちなみに、このレポートを拝見して、

小中一貫を実施する場合の学年のまとまりは

小1~4でいったん区切るケースが多いように感じました。

近年の発達段階を意識しているのでしょうね。

もちろん、6-3のまま実施されている事例も複数ありますが。

ぜひご参考になさってください。

 

(文責:吉田)

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学校経営情報2018年2月号発行のお知らせ

本日より2月に突入です。

 

「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」

と言われるようにあっという間に1月が過ぎてしまいました。

 

本年度もあとわずかとなりました。

残された今年度の残り少ない日も月日の過ぎる早さに負けず、

しっかりと走り抜けたいと思います。

 

さて、弊社の学校経営情報2018年2月号を発行いたしましたので、是非ご一読いただければと思います。

データはホームページよりダウンロードできるようになっております。

 

学校経営情報2018年2月号発行のお知らせ

 

 

◆概要

①School Manegement Review

      先生の仕事の「仕分け」

②学校法人インタビュー 教えて、事務長先生!

      ~第5回 前編~

③コミュニケーションのツボ

      ~第11回 適切なリーダーシップスタイル~

 

大好評の連載企画「学校法人インタビュー 教えて、事務長先生!」が第5回を迎えました。

 

2月号では関西学院千里国際キャンパス

キャンパス副長のルイス,スティーブン様へのインタビュー前編を掲載しております。

 

関西学院千里国際中等部・高等部(SIS)と関西学院大阪インターナショナルスクール(OIS)が1つのキャンパスに併存する特別な環境での特別なお話が満載です。

 

是非、ご覧ください。

 

では、2月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:長森)

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私学共済制度の在り方等に関する調査研究協力者会議

文部科学省HPにこのような記事が出ていました。

 

私学共済制度の在り方等に関する調査研究協力者会議(第2回) 議事要旨:文部科学省

 

昨年11月に開催された会議ですので、既にかなりの時間が経過しています。

議事録も数行のみ、配布資料も題名しか記載されておらず、

その詳細を知ることもできません。

 

この会議は2017年4月から開始されたもので、その主旨は以下の通りです。

 

私学共済制度全般に関する諸課題に対応するため、その在り方及び関連する諸制度等について調査研究を行う。

 

…かなりざっくりしていますね。

 

想像するに、年金全体についての制度、財源が将来を見据え

かなり厳しさを増す中で、私学共済もその制度設計や運用について

再検討が必要になった、といったところでしょうか。

国内に存在している各種の年金制度を一本化していこうという流れの中で、

私学共済も一定の影響を受けることになるのでしょうね。

 

年金の話題を聞くと、私が同時に思い浮かべるのが「退職金」のことです。

 

現在、私学は雇用している教職員に対する退職金を、

外部団体への積立・運用によって賄っているケースが多いですよね。

そして、多くの私学では退職金水準は決して低くなく、

金額や支給率の観点から見た場合には上場企業並みのものが

制度上担保されている、ということが多いように思います。

 

一方で、それだけの退職金支払が法人経営を圧迫している事例も

少なからず目にします。

退職金は既往の労働に対する対価の一部であるとの説明がなされることも多く、

急にその金額や支給率を減じることは労働者保護の観点から困難である、

との判断がなされることも。

つまり、退職金の支給水準が世間水準に比して高くても、

それを急に引き下げることはなかなかできない、ということになります。

 

そして、そのお金は外部団体への積立によって賄っているとすれば、

仮にその外部団体の資金運用がうまくいかなかった場合、

例えば掛金の増加や支払額の削減など、

学校法人にとって好ましくない事情が発生することになります。

 

あまり想像したくないことではありますが、

退職金を払う時期が近づいてからこのようなことが起これば、

たちまち学校の財政は行き詰ってしまう、かもしれません。

退職金は資金繰りに大きな影響を及ぼすほどの金額水準ですから、

予めその資金計画を綿密に立てておかねばならないでしょう。

 

御校ではそのような備えはなされていますか?

学校法人が中長期を見据えて最低限計画すべきことは

・投資(修繕)計画…施設設備関連の投資を「いつ」「いくら」見込むのか

・資金計画…上記投資に加え人件費、特に退職金に係る資金繰りに問題はないか

の2つでしょう。

 

私学共済もその一つではありますが、

退職金を含め、積立(運用)先である外部団体の経営状態も把握しながら、

自法人の中長期の資金計画を立案頂ければと思います。

 

(文責:吉田)

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私学助成金 経営悪化や教育の質が低評価で減額

文部科学省は、私立大学などを運営する学校法人への私学助成金について、

5年程度連続して赤字経営となった場合などに減額する仕組みを

平成30年度から導入する方針を固めたとのことです。

 

www3.nhk.or.jp

 

日本私立学校振興・共済事業団の入学志願動向調査によると、

2017年度に定員割れとなった私立大学は、前年度から28校減少したものの、

229校にのぼり、私立大学全体の39.4%を占めています。

約4割の私立大学が学生を集められない状況なのです。

 

皆さまもご存知の通り2018年度問題として取り上げられている生徒数の減少が、

私学助成金にまで影響を与えているようです。

 

これは何も大学に限ったことではなく、

大阪府では3年連続定員割れした府立高校を再編対象にした

大阪府立学校条例が2014年度に制定され、

2016年度には府立4高校が統廃合される決定を下されています。

 

厳しく、そして寂しい選択ではありますが、

自治体が自ら経営難の学校を閉鎖する時代になりました。

 

これから更に少子化が加速度的に進む中で、

それぞれの学校が生き残るためには何ができるのか、

真剣に実行する時期に来ていると思います。

 

例えば、今後を見据え、

今いる生徒が本当に満足できる教育を提供できているのか、

生徒、保護者が喜びを感じられる行事を実施できているのか、

そういったアンケートを取ることも一つではないでしょうか。

 

文部科学省も、赤字が続いても

学生による評価を導入して授業の改善に取り組むなど

教育の質が高いと評価できる場合には

私学助成金の減額としない方向で調整を進める方針です。

 

何事も地道な積み重ねで未来が変わると思います。

今できることを精一杯取り組むことで

地域に根ざす学校経営を目指してみてはいかがでしょう。

 

(文責:長森)

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平成29年度学校給食週間

情報提供が遅れてしまいました…

先週から、学校給食週間が始まっていました(明日まで)。

そして、先週水曜日にはこんなイベントがあったようです。

 

平成29年度学校給食週間~「学校給食フェア」~昼食会の御案内:文部科学省

 

給食の昼食会とは…なんと魅力的なのでしょう。

場所は文部科学省1階職員食堂。

そして気になる献立は、奈良県の学校給食を基にしたメニューとのこと。

HPにはこんな説明が付されていました。

奈良のちらし寿司は、奈良県の特産物である奈良漬けをアクセントに使ったちらし寿司です。三輪素麺の産地である奈良では、冬場に温かい汁物として「にゅうめん」がよく食べられています。番茶にゅうめんは番茶でだしを取り、香り豊かなにゅうめんを味わうことができます。

いかにも美味しそう!です。

きっと当日も好評だったことでしょう。

 

最近の給食では、「地元食材」を使うことで

自分が居住している地域のことを知るきっかけにしているようですね。

テレビ番組でも各地の独特の食文化について触れるものが

たくさんあるようにも感じます。

ただ、私学と公立校を比べた際に、地域のことを学ぶという観点は

公立校の方がやや強いのかな、とも思うのですがいかがでしょうか。

 

グローカル、という言葉もあるように、

グローバルとローカルのいずれもバランスよく学び、

またそれぞれに配慮できる人材というのは魅力的だと感じます。

「グローバル」に特色を見出す私学はかなり多くあるように思いますが、

同時にローカル、地元にも目を向けた教育がなされると

子どもたちの視野はますます広がるのではないでしょうか。

そして、そのひとつのきっかけとして、

「食」は非常に重要な要素だとも思うのです。

 

(文責:吉田)

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学校における働き方改革に関する緊急対策について

「働き方改革」は今や日本でもっとも有名なキャッチコピーになったかもしれません。

昨年末、文科省からこんな記事が出てまいりました。

 

学校における働き方改革に関する緊急対策について:文部科学省

 

リンク先にはこのようなことが書かれています。

12月22日(金曜日)に開催された中央教育審議会において、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」が取りまとめられました。
 当該「中間まとめ」においては、学校・教師が担う業務の明確化を通じた役割分担と業務の適正化等の観点から、取り組むべき具体的な方策が示されたところであり、これを踏まえ、文部科学省として「学校における働き方改革に関する緊急対策」を取りまとめましたので、お知らせいたします。

役割分担については以前このブログでも採り上げさせていただきました。

その時の内容とそれほど変わりないように思いますが、

今回も具体的方策に言及がなされていますので、

仮に御校でも何らかの取り組みを、とお考えであれば、

本資料が役に立つこともあると思われます。

 

ただ、公立校が前提となっているために、

私学が自らのために活用しようとすると少々工夫が必要なことも。

例えば【登下校に関する対応】では、

○ 通学路における安全確保を効果的に行うため,地方公共団体等が中心となって,学校,関係機関,地域の連携を一層強化する体制を構築する取組を進める。

と書かれていますが、地方公共団体が中心になることは私学の場合、

難しいかもしれません。

地域の協力体制をいかに作っていくか、

日頃の活動を含めた取り組みが必要と言えそうです。

 

ちなみに、本資料に平成30年度予算で措置要求しているものが

一覧になっていましたので以下に掲載しておきます。

f:id:ysconsult:20180116091639p:plain

 

近年、学校に必要とされるコストはかなり増えてきているように感じます。

お金の適正配分にも留意しながら、私学経営をご継続ください。

 

(文責:吉田)

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配当の伸び率、賃金を上回る

 厚生労働省が発表した2017年11月の有効求人倍率が、1974年1月以来43年10カ月ぶりの高水準で、企業の求人が増加していることがニュースになっておりました。

今は売り手市場で、日本の産業界では人手不足が深刻ですが、そんな産業界の動きをご紹介いたします。

www.nikkei.com

(有料会員限定記事となっております。ご容赦ください)

 

記事の冒頭を引用します。

成果主義を前提に賃上げに踏み切るべきだ」。

フィデリティ投信の三瓶裕喜氏は2017年、ヤマトホールディングスなど複数の企業幹部にこう訴えた。企業が優秀な人材を集められなければ「持続的な成長に疑問符がつく。企業の労働環境の改善を促したい」と考えたからだ。

記事によると、05年度から株主配当の伸びが従業員給与の伸びを上回るようになり、給与は90年代から横ばいとなっているとのことです。

これは、海外投資家を中心に配当基準を欧米並みに引き上げる声が強まったために従業員給与よりも配当金を優先させた結果によるものです。

配当は業績不振になれば無配当となる可能性もありますので、配当と賃金を比較すること自体、難しいのかもしれませんが…。

 

学習院大学の宮川努教授によると、

企業が給与や福利厚生を除いた、研修など人材投資にあてた費用は12年にピークの91年の2割弱まで減った。今後も人材投資を怠れば、取り返しがつかなくなる。

とあります。

 

学校経営においても、優秀な先生を雇い入れることや、教職員のレベルアップのために研修を行う事は、将来の発展を実現するためには欠かせない事です。

今後、人口減少は更に進むため、募集や生徒、児童確保には大きな不安が付きまといます。そのような中で、新たな投資を行う事は難しいかもしれません。

ただ、現状のまま経営を進めてしまってはこれ以上良くなることはありません。

優秀な先生を雇い、施設設備の更新を行う事で、

御校の新たな魅力を引き出す。

持続可能な学校経営のためにも、「減らす」だけでなく「増やす」ことを考えてみてはいかがでしょうか。

 

(文責:長森)

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