寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

幼児教育、高等教育の無償化・負担軽減について

今年も残すところあとわずかとなりました。

12月に入り、益々寒さが厳しくなってきましたね。

私も急な寒暖差で少し咳が出てしまいました。

 

さて、12月に入ると様々なところで今年を振り返るイベントがあります。

師走の風物詩、新語・流行語大賞の発表が12月1日にあり、

2017年の年間大賞は「インスタ映え」と「忖度」となりました。

 受賞語一覧は以下からご覧いただけます。

第34回 2017年 新語・流行語大賞受賞語

 

トップテンの中にはJアラート、ひふみんなど今年を表す言葉が入っていましたね。

また、今回のノミネート語一覧はこちら。

第34回 2017年 ノミネート語

 

ノミネート語の中で気になった「人生100年時代」について、少しご紹介いたします。

人生100年時代は人生100年時代構想会議がもととなった言葉です。

人生100年時代構想会議は、

人生100年時代を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインに係る検討を行うため、人生100年時代構想会議を開催する。

という趣旨のもと開催されています。

議長は安倍晋三首相です。

9月11日に第1回会議が開かれ、11月30日で第3回開催となっています。

 

10月27日に開催された第2回人生100年時代構想会議では、

幼児教育、高等教育の無償化・負担軽減について会議されました。

この中で安倍首相は次のように述べています。

広く国民が利用している3歳から5歳児の幼稚園、

保育園については、全面無償化いたします。

また0歳から2歳児についても、

待機児童の解消を進めるとともに、

所得の低い世帯について無償化を行います。

格差の固定化を防ぐため、どんなに貧しい家庭に育っても

意欲さえあれば専修学校、大学に進学できる社会へと改革します。

所得が低い家庭の子供たち、真に必要な子供たちに限って

高等教育の無償化を実現します。

授業料の減免措置の拡充と併せ、

必要な生活費を全て賄えるよう、

給付型奨学金の支給額を大幅に増やしてまいります。

待機児童解消を目指す子育て安心プランを前倒しをし、

2020年度までに
32万人分の受皿整備を進めてまいります。

その前に、既に目標を大幅に上回る59万人分を整備した後に

20年度までに更に追加で、

32万人分を整備していくということになります。

 

それぞれの施策をまとめると

  1. 幼児教育の無償化(3歳から5歳)
  2. 高等教育の無償化・負担軽減
  3. 給付型奨学金の拡充
  4. 待機児童の解消

となるかと思います。

これらが実施されると、年間2兆円規模の大胆な政策となります。

また、財源は消費税増税分と産業界から3,000億円程度の支援で賄うとのことです。

 

一方、私立高校の授業料実質無償化については、

支援対象、財源をめぐる調整が続いており、結論は先送りとなってしまいました。

ちなみに、今朝の日本経済新聞では私立高実質無償化決定、と報道されています。

財源の手当はまだ済んではいないようですが…

 

これらは今後、11月実施の会議と併せて中間発表が取り纏められる予定となっています。

 

いずれにせよ、人生100年をより豊かにする制度設計であって欲しいと願います。

 

(文責:長森)

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賃金引上げ等の実態に関する調査

厚生労働省HPに統計資料が掲載されました。

 

www.mhlw.go.jp

 

最新の賃上げ状況について、ざっと概要を見ておくことにしましょう。

 

1 賃金の改定の実施状況

全企業における平成29年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む。)

「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は87.8%(前年86.7%)

「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.2%(同0.8%)

「賃金の改定を実施しない」は6.3%(同7.1%)

前年よりも賃金水準は上昇しているようです。

ちなみに、「教育,学習支援業」では、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は84.7%(前年83.6%)で、全業種平均をやや下回っていますね。

 

2 賃金の改定額及び改定率

平成29年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業及び賃金の改定を実施しない企業について、賃金の改定状況(9~12月予定を含む。)をみると、

・「1人平均賃金の改定額」は5,627円(前年5,176円)

・「1人平均賃金の改定率」は2.0%(同1.9%)

同改定状況について企業規模別にみると、「1人平均賃金の改定額」は、

・5,000人以上の企業で6,896円(同5,683円)

・1,000~4,999人で5,186円(同5,434円)

・300~999人で5,916円(同5,319円)

・100~299人で4,847円(同4,482円)

念のため、「賃金改定」は定期昇給とベースアップの両方を含んでいますので、その前提でご確認くださいね。

 

定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況

(1) 定期昇給制度の有無及び実施状況

平成29年中に賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業について、管理職の定期昇給(以下「定昇」という。)制度の有無をみると、

・「定昇制度あり」が75.9%(前年73.9%)

・「定昇制度なし」が21.9%(同24.1%)

「定昇制度あり」の定昇の実施状況をみると、

・「行った・行う」が69.0%(同68.1%)

・「行わなかった・行わない」が6.3%(同5.0%)

一方、一般職では、

・「定昇制度あり」が82.8%(同82.2%)

・「定昇制度なし」が14.9%(同16.1%)

「定昇制度あり」の定昇の実施状況をみると、

・「行った・行う」が77.5%(同78.4%)

・「行わなかった・行わない」が5.0%(同3.3%)

私学においてはほとんどが定昇制度あり、だと思うのですが、

一般企業においては規模の大きめの企業に限っても、

2割程度が定昇制度を持っていないことが分かります。

そして、景気がいいと言われている昨今ではありますが、

定昇の制度があっても実施したのは全体の7~8割弱、という状況です。

 

5 賃金の改定事情

平成29年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、

「企業の業績」が55.0%(前年51.4%)

「労働力の確保・定着」が8.7%(同11.0%)

「世間相場」が5.1%(同4.2%)

企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多くなっている。

業績重視、が圧倒的です。当然と言えば当然、ではありますが…

 

以上、概要のみ確認してまいりましたがいかがでしょうか。

将来を見据えた賃金制度について、御校でもぜひご検討ください。

 

(文責:吉田)

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学校経営情報2017年12月号発行のお知らせ

本日より12月に突入です。

寒さがひとしお身にしみるころとなり、季節は冬に移ろうとしていますね。

 

わたくしごとではありますが、

先日、訪問先にて素晴らしい紅葉を見ることができました。

なかなかお目にかかれない景色でしたので思わず携帯で

撮ってしまいました。

f:id:ysconsult:20171130102507j:plain

 

燃えるような紅葉が眼下に広がり、最高の気分となりました。

 

 

さて、弊社の学校経営情報2017年12月号を発行いたしましたので、是非ご一読いただければと思います。

データはホームページよりダウンロードできるようになっております。

 

www.ysmc.co.jp


 

◆概要

①School Manegement Review

      校長「引っ張る」系、教員は長時間労働

②学校法人インタビュー 教えて、事務長先生!

      ~第4回 後編~

③コミュニケーションのツボ

      ~第9回 ゴールデンルールとプラチナルール~

 

 

今年度の連載企画「学校法人インタビュー 教えて、事務長先生!」が第4回後編を迎えました。

12月号は神戸女学院中等部・高等学部事務長の門田様へのインタビュー後編を掲載しております。

事務長として日々心掛けておられることなどをお伺いしておりますので、御校の経営の一助になれば幸いです。

是非、ご覧ください。

 

では、12月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:長森)

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公立中制服「安くできる」

朝日新聞にこんな記事が掲載されていました。

 

www.asahi.com

(全文読むには会員登録が必要です。ご容赦ください)

 

公立中学の制服の価格は上昇傾向にあるとのこと。

全国平均値は10年前との比較で男女とも5千円ほど高額になっているそうです。

その金額は3万2千~3万3千円。

家計にとっては結構な出費ですよね。

 

今回の記事では、公正取引委員会が書面調査を実施した結果として、

「制服が安くなっている実例」

を把握できた模様。

記事にはこう書かれています。

 

 たとえば、価格交渉などで学校側が価格の決定に関わっている場合、関わっていない場合に比べ、男子生徒のブレザーが約2千円安い約3万1千円だった。ただ、学校側が関わっていたのは全体の3割未満。5割以上は、販売店やメーカーが単独か、または協議して決めていたという。

 また、自治体が管内にある複数の学校の制服を同じ仕様にしていれば、仕様を共通化していない自治体に比べ、女子生徒のブレザーの場合で約8500円安い約2万4千円になっていた。

 

そりゃそうですよね、という結論です。

発注側がある程度の力を持っていれば価格は下がる方向に動きます。

また、規模の経済が働けば単価は同じく、下がりやすくなりますよね。

 

公立校をめぐるニュースではありますが、

私学も同様のことが言えるでしょう。

つまり…

公取委幹部は「学校は制服を指定しながら、購入するのは保護者なので、学校側に『1円でも安くする』というインセンティブ(動機付け)が働きにくかった。メーカーや販売店の競争を生むことで、保護者の経済的な負担を軽くしてほしい」と語る。

 ということです。

 

私学にとって、事業としての収入になるのは授業料や入学金など、

限られた項目のものだけです。

これは会計ルールに従った区分ですから、動かしようがありません。

 

しかし、保護者はそれ以外にも、PTA会費や同窓会費など、

学校の収入にならないたくさんの項目についても、

同じように支出しているわけです。

保護者の支出、という括り方をすると、制服も入学金も、

同じ財布から出ていくことになりますよね。

 

ですから、学校としてはそこに想いを致さねばなりません。

保護者負担を少しでも軽減するために、

納付金以外の支出を盲点にしないことが大切だと感じました。

 

(文責:吉田)

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人手不足に対する企業の動向調査より

有効求人倍率の上昇により失業率が低下している一方、様々な業界で人手不足が深刻化しています。

このほど、株式会社帝国データバンクが、「人手不足に対する企業の動向調査(2017年10月)」の結果を公表しましたが、人手不足の深刻さを物語る結果となっています。

 

www.tdb.co.jp

 

調査結果の要旨は次のとおりです。

 

  1.  正社員が不足している企業は 49.1%と 5 割近くに達した。3 カ月前(2017 年 7 月)から 3.7ポイント増、1 年前(2016 年 10 月)から 7.3 ポイント増加した。正社員の人手不足は、2006年 5 月の調査開始以降で過去最高を更新した。業種別では「情報サービス」が 70.9%と 7 割を超え、トップとなった。以下、「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」など6 業種が 6 割台となった。不足企業が 60%以上の業種は 3 カ月前より増加し、企業の人手不足感は一段と深刻度を増している。規模別では、大企業ほど不足感が高く、大企業の積極的な採用活動が中小企業の人材確保に大きな影響を与える要因になっている。
  2. 非正社員では企業の 31.9%が不足していると感じている(3 カ月前比 2.5 ポイント増、1 年前比4.7 ポイント増)。業種別では「飲食店」「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」などで高い。上位 10 業種中 5 業種が小売や個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。正社員と同様に、規模の大きい企業ほど不足感が強くなっているなか、「中小企業」の不足感も一段の高まりを見せている。

 

半数近くの企業で正社員の不足を感じているようです。

このまま少子高齢化が進み、労働力人口が減少することを考えると、「働き手の奪い合い」とも言えるこの状況から脱却ことができるのかと不安になります。

 

このような状況が続けば、一般企業だけでなく、学校や幼稚園においても今後は教職員の確保がより一層困難になることも十分に考えられます。

特に、教員の長時間労働は話題になることが多く、そのような労働環境が改善されないようでは「魅力のない職業」となってしまい、志望する若者が減少してしまうおそれもあります。

 

そのような事態を招かないためにも、学校や幼稚園の教職員は「魅力のある職業」であり続けてほしいと思います。

そのためにも、特に長時間労働の問題については抜本的な改善が早急に求められます。

 

(文責:木村)

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たびレジのご紹介

本日はちょこっと情報提供を。

 

近年は修学旅行と言えば海外、というケースも多くなってきました。

そして、短期留学を含めると、海外へ渡航する学生・生徒もまた

珍しい存在ではありません。

 

加えてここ最近は「グローバル」「インターナショナル」を

教育の柱、あるいは学校の特色とするケースもかなり多く、

各校におかれましては、海外での研鑽を積むことについて

積極的に捉えたい、という意向が強くなっているものと思われます。

 

一方で、海外渡航の際に気になるのが相手国の安全度です。

 

すでにご存知とは思いますが、外務省は渡航の安全を図るため、

 たびレジというサービスを提供しています。

www.ezairyu.mofa.go.jp

 

他国での様々な軍事的事象も頻発する中で、

海外渡航をするかどうか、その判断が難しい昨今。

このたびレジは保護者の皆さんへの説明の際にも一定の材料になることから、

お付き合いのある学校法人さんではこの情報を活用されていることが多いようです。

もし、ご登録がまだという方がいらっしゃいましたら、

この機会にいかがでしょうか。

 

実際には、国内で流れるニュースを見ていると

背筋が凍りそうな危険を感じる国であっても、

実際に住んでいる人たちはそれほどの危険を感じていないケースもあったりと、

情報の受け取り方や使い方には難しさも伴うようです。

ついては、たびレジを含め、情報をどのように取り扱うか、

という点については各校でしっかりと議論しておいていただきたいところです。

 

ただ、本来は相手国と自国が信頼関係を深め、

情報に頼らずとも安全かつ自由に渡航できるのが一番、ですよね。

そんな日がいつか来ることを願いつつ、子どもたちが経験を積み、

たくましく成長してくれるために情報とうまく付き合っていきたいものです。

 

(文責:吉田)

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人口動態統計速報(平成29年9月分)より

厚生労働省が11月21日に人口動態統計速報(平成29年9月分)を公表しました。

急速な少子化が進む中、私学の皆様にとっては出生数が最も気になるところかと思いますので、本日は直近の出生数の推移について取り上げます。

 

www.mhlw.go.jp

 

平成29年9月の全国の出生数は84,412人となっており、前年同月の87,772人よりも3,360人も減少しています。

また、平成29年1月から9月までの全国の出生数は732,346人となっており、前年同期間の762,116人よりも29,770人も減少しています。

平成28年は出生者数が統計開始以来初めて100万人を割ったことで大きな話題となりましたが、このまま推移すれば今年も過去最低を更新する可能性が非常に大きく、かなり心配な状況です。

 

現在の中高生が全国で120万人前後であることを考えると、私学にとっては非常に厳しい未来が待っていることになります。

今後、段階的に子どもの人口が確実に減っていく中で、これまでどおりの経営では立ち行かなくなることが大いに考えられます。

将来の学校規模の確定や人件費を中心とした収支構造改革など、今すぐに対応しなければ手遅れになってしまいかねない課題が山積です。

 

これまでの常識が全く通用しない時代を迎えます。

将来の生徒たちのために今何をすべきかをしっかりと考え行動に移していただくことを切願いたします。

 

(文責:木村)

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