寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

学校施設の維持管理に関するフォローアップ調査の結果及び維持管理の徹底について

学校は夏休みの期間に入りました。

子どもたちにとっては楽しみが多い時期、かもしれませんが、

学校関係者にとってはまた違った意味を持つ時期でもあります。

そのひとつの側面が「施設整備」。

子どもたちが活動している時期にはなかなか手を入れられない、

校舎や敷地の不具合を修繕するために夏休みを活用する、

というのは学校にとっての一般的なタイムスケジュールです。

 

御校でもこの時期いろんな工事が進んでいるかもしれませんが、

先日、こんな情報が文科省HPに掲載されました。

 

学校施設の維持管理に関するフォローアップ調査の結果及び維持管理の徹底について:文部科学省

 

これは文科省担当課の課長通知なのですが、まず本通知の前提として、

次のことが書かれています(筆者が一部加工しています)。

学校施設の管理者は,建築基準法及び消防法の規定に基づき,学校の施設・設備について,定期的な点検を実施し,当該点検の結果,是正が必要と判断された項目がある場合には,当該項目を是正し,学校施設を常に健全な状態に維持するように努めることとされています。 しかしながら,学校施設の維持管理について,一部の府県の市町村を検査対象として行われた平成26年度会計実地検査の結果,平成27年10月26日に会計検査院から文部科学省に対して改善処置要求がなされ,要是正項目が早期に是正されていない市町村が明示されました。

そしてその後、その是正が進んだかどうか、について調査した結果が

このたび公表された、というわけです。

 

上記会計検査院の検査から2年以上が経過した時点での調査結果は…

・消防法の規定に基づく点検に係る要是正項目の4割弱が未是正

建築基準法の規定に基づく点検に係る要是正項目に至っては6割強が未是正

・要是正項目のうち,消防法点検では2割弱,建築基準法点検では5割弱について,是正時期が未定

と、驚くべき結果になっています。

 

この結果を受け、通知には以下のように書かれています。

要是正項目を未是正のまま放置することは,教育活動を行うための機能的な施設環境に支障を来すだけでなく,安全性の面でも常に事故発生のリスクを抱えることとなりますので,学校施設の管理者の責任は重大であるとの認識が必要です。
学校施設の維持管理の徹底については,これまでも繰り返しお願いしてきたところですが,学校施設の管理者におかれては,(中略)建築基準法点検及び消防法点検等を実施するとともに,点検の結果是正が必要とされた場合には,危険度の高いものから順に早期に是正していくことが重要であり,遅くとも当該要是正項目の次回点検までの間に全ての是正を完了させるようお願いします。

この調査対象はあくまでも公立校ですが、

学校の安全が脅かされている実情があることに大いに不安を感じます。

私学、そして御校は決してこのようなことがないようにと願います。

 

今回の通知の冒頭に書かれた学校施設の意義について再確認して、

本日のブログを閉じたいと思います。

学校施設は,児童生徒等の学習・生活の場であるとともに,非常災害時には避難所として地域住民の避難生活の拠点としての役割も担うものであるため,日常のみならず災害時においても十分な安全性・機能性を有することが求められます。

 

(文責:吉田)

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学校経営情報2017年8月号発行のお知らせ

 

8月が始まり、いよいよ夏本番ですね。

毎日うだるような暑さが続いていますが、みなさん体調管理は大丈夫でしょうか?

暑さに弱い私は早くも夏バテ気味なのですが、なぜだか食欲と体重が落ちることはなく、体重計にのるたびに自分に滅入ってしまう今日この頃です・・・。

 

さて、弊社の学校経営情報2017年8月号を発行いたしましたので、是非ご一読いただければと思います。

データはホームページよりダウンロードできるようになっております。

 

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◆概要

①School Manegement Review

      教師の日?

②夏休み特別企画!

      2017年学校経営セミナー 前半プレイバック

③コミュニケーションのツボ

      ~第5回 アクティブ・リスニング~

 

今年度より連載を開始いたしました大好評企画「学校法人インタビュー 教えて、事務長先生!」ですが、今月はお休みをいただき、「夏休み特別企画!2017年学校経営セミナー 前半プレイバック」と題しまして、弊社の2017年度学校経営セミナー(4月~6月開催分)のふりかえり記事を掲載しておりますので、ぜひご一読下さい。

 

 

では、8月も素敵なひと月になりますように。

 

(文責:木村)

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労働基準監督署による監督指導の実施結果

厚生労働省は、平成28年4月から平成29年3月までに、長時間労働が疑われる事業場に対して実施した、労働基準監督署による監督指導の実施結果を7月26日に公表しました。


なお、この監督指導は、月80時間を超える時間外・休日労働が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死等に関する労災請求があった事業場が対象となっています。

 

www.mhlw.go.jp

 

23,915の事業所に監督指導を実施し、66%にあたる15,790もの事業所で労働基準関係法令違反が認められたとのことです。

ちなみに、労働基準関係法令違反が認められた15,790の事業所のうち、違法な時間外労働があったのが65.0%にあたる10,272の事業所でした。昨今、長時間労働が社会問題化していますが、是正への道は険しいようです。

 

さて、この監督指導は業種別の結果も公表されています。

学校や幼稚園が含まれていると思われる「教育・研究業」への監督指導ですが、実施数は936(全体の3.9%)と非常に少なくなっています。

ただ、その中で労働基準関係法令違反があったのは581(62.0%)となっており、全体と同程度の水準という結果です。

 

また、別の調査では、タイムカードやICT等により労働時間を記録している学校は全体の2割程度に留まっているという結果もありました。

大切な命に関わることですから、長時間労働は絶対に是正しなければいけませんが、そのためにも、まずは実態を正しく把握する必要があります。

 

実態を正確に把握し、長時間労働の原因を突き止め、効果的な改善策を講じる。

全ての職場から長時間労働を撲滅していただきたいと切に願います。

 

 

(文責:木村)

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弊社主催セミナーのご案内

早いもので、もう7月が終わろうとしていますね。

毎日が過ぎていくのを本当に早く感じます。

年齢のせいでしょうか・・・

いや、毎日が充実しているからです!!

ということにしておきましょう・・・

 

私のどうでもいい話はさておき、弊社主催セミナー「学校経営を取り巻く課題の総点検」の開催がいよいよ来週に迫ってまいりました。

 

www.ysmc.co.jp

 

日 程:8月4日(金) 15:00~17:00

受講料:2,000円

会 場:梅田パシフィックビル6階 

    (大阪市営地下鉄 谷町線 東梅田駅 7番出口 徒歩約1分)

 

具体的なデータに基づき、社会情勢を踏まえながら、学校を取り巻く課題についてご説明いたします。

受講料はリーズナブルな2,000円、2時間の短期集中コース、会場は駅チカと、お気軽に参加していただけるセミナーですので、お時間に余裕がございましたらぜひご参加下さい。

 

(文責:木村)

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将来構想部会

久しぶりに文科省の審議会での情報を共有させていただきます。

将来構想部会(第9期~)(第2回) 配付資料:文部科学省

 

その名も「将来構想部会」。

上記リンクは第2回開催分が掲載されているページですが、

その議題も「我が国の高等教育に関する将来構想について」となっています。

まずはこの部会に諮問された内容を見てみましょう。

上記リンクの「資料1」に掲載されているものを転載(ただし一部加工)いたします。

 

第4次産業構造革命などの産業構造の変化に加え、2040年に18歳人口が大幅に減少することが想定される。
(中略)

1.各高等教育機関の強化に向け早急に取り組むべき方策
 各高等教育機関の強化に向け、以下の事項を中心に検討
・学修に関する評価の厳格化
・社会人学生の受入れ
・他機関と連携した教育の高度化

2.学修の質の向上に向けた制度等の在り方
・「学位プログラム」の位置付け、学生と教員の比率の改善ICTの効果的な利活用について、設置基準、設置審査、認証評価、情報公開の在り方を含め総合的・抜本的に検討
・学位等の国際的通用性の確保、外国人留学生の受入れ・日本人学生の海外留学の促進、社会に出た者が何度でも学び直せる環境の整備、高等教育機関間あるいは企業等との間での教員・学生の流動性の向上

3.高等教育機関全体の規模も視野に入れた、地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方
 今後の高等教育全体の規模も視野にいれつつ、地域おける質の高い高等教育機会を確保するための抜本的な構造改革について検討
・既存の学部・学科等の構成や教育課程の見直しを促進するための方策
・高等教育機関間、高等教育機関と地方自治体・産業界との連携の強化に関する方策
・分野別・産業別の人材育成の需要の状況
国公私の設置者別の役割分担の在り方
国公私の設置者の枠を超えた連携・統合等の可能性
 ※大学の機能別分化の在り方

4.高等教育の改革を支える支援方策の在り方
・教育研究を支える基盤的経費、競争的資金の充実、その配分の在り方
・学生への経済的支援の充実など教育負担軽

(赤文字は筆者による修飾です。最後が切れてしまっていますが、文科省ページがこうなってしまっているので、そのまま掲載いたします)

 

ちょっと気になることを赤文字にしてみました。

特に最後のほうには「設置者の枠を超えた統合」という点にも言及があります。

 

今後、「子供たち」という国内市場は縮小の一途をたどります。

これは、数十年単位で動かすことのできない、確実な予測です。

そして、このことは誰しも知っていることなのですが、

その備え、あるいはそのような社会における事項の存在意義が

各校において十分検討されているかといえば…そうではないようにも思います。

 

建学の精神を中心に据え、これまで歩んできた御校が、

市場の縮小という外部環境の中でどのような存在感を示すのか。

やはりどう考えても、将来ビジョン、そして中長期の経営計画は必須です。

 

国策としての将来構想はすでに始まりました。

御校の将来構想…いつ始めますか?今でしょ。(古い…)

 

(文責:吉田)

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学校における働き方改革特別部会

文部科学省は、中央教育審議会の初等中等教育分科会に「学校における働き方改革特別部会」を設置し、7月11日に第一回目の部会を開催しました。

昨今メディア等で取り上げられることの多い教職員の業務負担軽減や働き方改革に向けて、学校と教職員が担うべきそれぞれの業務の在り方や、学校の組織運営体制について議論を重ねる予定とのことです。

 

学校における働き方改革特別部会:文部科学省

 

上記リンクには、非常に多くの当日配布資料が添付されていますが、その中に、『教員の働き方改革に関する関係団体・有識者ヒアリング結果』という資料があります。

32の団体・有識者に対して行ったヒアリング結果がまとめられた資料ですが、有識者としてこの部会に参加されている、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室 淑恵さんへのヒアリング結果の一部をご紹介いたします。

 

  • 教員はルールを順守する意識が強く、児童生徒に説明する時の習慣で話が長い。お互いを慮るうちに結論が出ない会議を長時間やっていることが多い。教育委員会の調査等、外的な要因により業務が増えており、自分たちではコントロールできないと諦めている。
  • 教員の業務改善のコンサルティングを行ったとき、留守番電話を設置し、18時以降、業務に集中できる環境を整備したことが最も効果があった。短期的で横展開しやすいのも特徴である。保護者からも「決められた時間に対応してもらえる方が電話をしやすい」「教員の勤務時間を意識できる」という声があり、教員・保護者双方の満足度が高い。
  • 毎月1回、教員同士で校務の課題や改善について議論したり、業務の見える化を行う会議も効果がある。自分たちで考え、変えていくことに意味がある。変えられないと思っていたルールも話し合うことで変えられたり、短時間で多くのアイディアを出したり、議論できるようになるなどの小さな成功体験を積み重ね、「変えていける」という意識を持つようになる。教育委員会等の外部への働きかけや管理職を動かすことを考えるようになるという効果がある。
  • 教員の多くは勤務時間の把握をしておらず、把握手法もアナログである。学校にICTを使いこなす人材がいないことが課題であり、ICTに強い人材を加配措置すべき。その際、校長の直属のスタッフとして配置すべきであり、単純に事務員として配置すると既存の業務のやり方をそのままICT化し、業務改善に繋がらない。ICTスキルの高い人材を雇いやすいよう週に3~4日程度の短時間勤務で雇い、勤務管理システムの導入、長時間勤務の要因分析、業務のICT化、教員からのICTに関する相談対応、保護者への連絡のペーパーレス化をしてもらうと良い。短時間勤務であれば出産を機に退職したICTスキルの高い人材を確保できる。留守番電話やICT化のための仕組みなどは、学校ごとに違うものを導入しても教職員が異動のたびに使い方を覚える必要がでたりトータルでの導入費用も高くつく。国や都道府県等まとまった単位で同じものを導入することで、コストを抑えつつ教職員が使いやすい仕組みを入れることが有効であると考える
  • 管理職である校長・教頭と教員の距離が遠いため、意思伝達や指示が届きにくい。学校の組織体制の階層を無くしてはどうか。例えば、小学校であれば校長の下に1年生と6年生の担任、副校長の下に2年生と3年生の担任、教務主任の下に4年生と5年生の担任をチームとして編成し、管理職が担当する学年を明確にし、フラットな組織体制にすれば勤務管理や業務改善の会議を開催しやすい。コミュニケーションの頻度が高まり、情報伝達や相談がタイムリーに行える。

 

「学校に勤務したこともない人に内部のことなんてわからないよ・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、学校や一般企業を問わず、外部の目というものは新鮮で新たな気付きをもたらしてくれることも多くあります。

ただ、それを受け入れる素直な気持ちがなければ、その後の改善にはつながりませんが・・・

 

例えば、上記引用文の1点目にある会議の内容や、5点目の組織構造については、学校の内部にいるとそれが当たり前と感じてしまっているようなことなのではないでしょうか。

当然、学校特有の事情も多くあることとは思いますが、 慣習や前例に捉われてしまっていては改革は進みません。これは一般企業はもちろん、個人にも当てはまることです。

 

とにかく、学校組織の在り方が大きな転換点を迎えていることは間違いありません。

教職員の皆さんには新しい視点と素直な気持ちを持っていただき、より良い学校組織へと変革していただきたいと心から願うばかりです。 

 

(文責:木村)

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無期雇用転換、働く人どうなる

先日の日本経済新聞に、こんな記事が掲載されました。

 

www.nikkei.com

 

この記事、全文を読むには会員登録が必要となっております。

ご容赦ください。

 

さて学校でも無期雇用転換への対応が着々と進んでいることと思いますが、

世間の状況はご存知でしょうか。

この記事はQ&A形式になっているのですが、

無期転換ルールについての簡単な説明に続けて、

こんな質問がなされています。

 

「Q 無期になれば、給与や待遇はよくなるのか。」

 

この点、法律においては待遇を好転させることは求められておらず、

雇用主の判断に任せられています。

上記リンクにもグラフが見えているかもしれませんが、

求人広告大手・アイデムさんが今年3月、

従業員数30人以上の企業担当者約550人に調査した結果、

契約社員が無期雇用に転換した場合の処遇については

『賃金を「変えない」』という回答が44.5%と最多だったとのこと。

一方、『正社員に近づける』は44%。僅差ですね。

 

私学の場合、いわゆる常勤教職員さんは専任教職員さんとは

異なる給与額であることが圧倒的に多いように思います。

そしてこのたびの無期雇用転換が常勤制度に影響を及ぼすことも考えられ、

その際には「無期雇用の常勤」という、

新たな職枠が出現することも考えられます。

 

期限付雇用者という意味においては、常勤教職員に限らず、

非常勤教職員さんについても、同様の着眼点で準備を進める必要があるでしょう。

 

人材採用が困難を極める昨今、

労務をめぐる制度も毎年のように変化しており、

担当部署の方々には大きな負荷がかかっていると思いますが、

早めに入念な準備をお願いいたします。

 

(文責:吉田)

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