寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

パラスポーツで多様性を学ぶ

2020年は東京オリンピックパラリンピックが開催されますね。

開催が決定したときには、「2020年なんてまだまだ先やなあ・・・」なんて思っていたのですが、気付けばあと3年後です。年月が過ぎていくのは本当に早いですね・・・。

開催に向けて何かと課題が多そうですが、やるからには素晴らしい大会にしていただきたいものです。

 

ところで、オリンピックと比べ、パラリンピックの競技種目にはあまり馴染みがありませんよね。でも、最近は学校で障害者スポーツを体験する授業を扱う取り組みが広がっているようです。

 

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6月上旬、大阪府箕面市の市立西南小学校。3年生の児童が初めて車いすバスケットボールに挑んだ。なかなか前に進めなかったり、その場でぐるぐる回ったり――。車いすの操作に苦戦しつつも、シュートが決まると体育館に大歓声が響いた。「難しいけど楽しかった」「またやりたい」。児童らは興奮した様子だった。
 90分間の授業は、日本財団パラリンピックサポートセンター(東京・港)のプログラム「あすチャレ!School」の一幕だ。パラスポーツの啓発だけでなく、「他者が抱える問題を自分のこととして捉える」「勇気を持って挑戦することの素晴らしさを学ぶ」などを目的に、昨年度始まった。
 車いすバスケのほか、目隠しをした選手が鈴の入ったボールを転がしてゴールを狙う「ゴールボール」などを取り上げる。初年度は20都府県の小・中・高校116校で実施。今年度は250校での開催を目指す。
 講師を務めるのはトップレベルの競技者ら。西南小では2000年のシドニーパラリンピックで日本代表チームのキャプテンを務めた根木慎志さん(52)が、3年生122人を対象に授業を行った。
 授業の終盤、「苦手なことも得意なことも、一生懸命取り組むのが大切なんだ」と語りかけた根木さん。「違いを認め合うことが、全ての人々が輝ける社会への一歩になる」と力を込めた。女子児童(9)は「初めて車いすバスケを目の前で見られて楽しかった。これからは苦手な水泳を頑張りたい」と笑顔を見せた。
 これまで障害について学ぶ授業は、座学や施設見学などが多かった。西南小の桑野啓子校長は「実際にやってみることで、子供は誰にもできること、できないことがあると理解したのではないか」と話す。

 

パラスポーツの啓発だけではないところがこの取り組みの大きなポイントですね。

 

引用文最後の校長先生の言葉にあるように、座学ではなかなか実感が湧かないことも、実際に体験してみれば一瞬で理解できることってたくさんありますよね。

この取り組みはその典型的な良い例ではないでしょうか。

 

多様性を理解することは非常に重要ですが、一方でとても難しいことだと思います。

このような授業がどんどん広がり、子ども達に多様性を肌で感じてもらい、頭だけではなく体で理解してくれたらなあと思います。

 

(文責:木村)

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英語教育改善プラン

このブログでもたびたびお伝えしている英語教育に関する様々な話題。

実際のところ、どのような改善がなされているのか?

そのような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本日は、その名ずばりのこんなページをご紹介します。

文部科学省HPより。

 

平成29年度英語教育改善プラン:文部科学省

 

このページには、都道府県ごとの目標と取組内容が掲載されています。

ただし、都道府県全体が一覧になっているわけではないので、

それぞれのリンクを個別に見ていくことにはなるのですが。

そしてもちろん、対象は公立校。

私学の皆様方には、所在する都道府県の取組がどんな状況なのか、

ご確認いただくのがよいのではないでしょうか。

 

例えば、大阪府のページを開きますと…

①求められる英語力を有する英語担当教員の全英語担当教員に占める割合
・中学校 H27:27.8%→H28:29.2%(47.9%)
・高等学校 H27:47.7%→H28:60.7%(81.2%)

②求められる英語力を有する生徒の全生徒に占める割合(中3、高3)
・中学校 H27:28.9%→H28:34.0%(41.7%)
・高等学校 H27:31.2%→H28:35.0%(47.3%)

③「CAN-DO リスト」の形式で技能別に設定した学習到達目標の整備状況
○設定
・中学校 H27:30.2%→H28:81.8%(100%)
・高等学校 H27:8.5%→H28:88.7%(90.5%)
○達成状況の把握
・中学校 H27:19.4%→H28:39.3%(25.0%)
・高等学校 H27:3.8%→H28:35.8%(46.0%)

④授業における、生徒の英語による言語活動時間の占める割合
・中学校 H27:48.7%→H28:60.8%(79.5%)
・高等学校 H27:35.5%→H28:35.3%(55.1%)

と書かれています。

ん?青色の斜体で書かれた数値は何?

と思われた方もいると思いますが、実はこれ、富山県のH28の数値。

たまたま開いた富山県のレポートに書かれたものを、

大阪府の数値の横に並べてみました。

こうやってご覧いただきますと、

自治体ごとでもかなり差があることがお分かりいただけると思います。

 

そしてそれよりも重要なのは、H27とH28の数値が

各自治体において比較され、さらには各年度に目標も設定されている、

という点です。

再び大阪府のレポートを見てみますと、こんな記述があります。

 

Ⅱ.目標達成までの具体的なてだて

Ⅱ-1 中学校

教育庁と市町村教委の連携による取組み

(本文略)

○民間業者と連携した「授業改善推進リーダー研修」の実施

教育庁は民間業者に委託した年間5回の連続研修を実施し、生徒のスピーキング力向上のための教員の指導力を育成する。

○研修協力校の取組みの普及

(本文略)

Ⅱ-2 高等学校

○「英語教育推進リーダー」養成研修の実施
教育庁は、民間業者に委託した夏季集中研修を含む年間5回の連続研修を実施し、府内の次世代の英語教育を推進するリーダー教員を育成する。
・受講者は、研修で学んだ内容を含んだ公開研究授業を実施するなどして自校での実践に生かし、各校での普及を図る。

 

このように、公立校においてはいろいろな面でPDCAサイクルを意識した活動、

つまり「目標設定」→「実践」→「評価」→「ふりかえり」を循環させ、

向上を図る取組がなされるようになってきたと感じます。 

 

さて、御校はいかがでしょうか。

日々の活動に目標を持つこと、ぜひ意識していただければと思います。

 

(文責:吉田)

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たった2割??

一般企業では社員の出退勤の時間を何らかの方法で記録することはごく当たり前のことですが、学校現場ではそれは決して当たり前ではないことが文部科学省の調査で改めて浮き彫りとなりました。

 

www.nikkei.com

 

文部科学省は11日、公立小中学校の勤務管理の実態を調べた結果を公表した。教員の退勤時刻について、校務支援システムなどのICT(情報通信技術)やタイムカードを使って管理する学校は2割強にとどまった。管理職の点呼や目視、出勤簿への押印などで対応する学校が6割を占め、教員の勤務時間が正確に把握されにくい実態が浮かんだ。

 教員の働き方改革について議論する同日の中央教育審議会の特別部会で公表した。調査は全国の小中各400校で実施。教員の平均勤務時間が小中とも1日11時間超だったとの速報結果を4月に公表しており、今回は勤務時間管理の状況などをまとめた。

 教員の退勤時間をタイムカードで記録しているのは小学校10%、中学校13%。ICTを利用しているのは小学校17%、中学校13%だった。一方、報告や点呼、目視で管理職が退勤を確認しているのは小学校で62%、中学校は58%を占めた。「特に何も行っていない」という回答も小学校11%、中学校14%あった。

 出勤時間の管理方法も同様に点呼や目視が多く、正確に把握しやすいICTやタイムカードの利用が少なかった。

 部会では教員の働き方改革に向けた検討課題を提示。勤務時間管理の改善策のほか、学校が担うべき業務を明確にすることや、ICT活用に向けた方策などが挙がった。

 

一般企業での勤務経験しかない私にとって、勤怠管理を行わないということには強い違和感を覚えずにはいられません。

「幼稚園や学校の教員に勤務時間の管理は馴染まない」というご意見もあるかと思いますが、昨今大きな話題となっている教員の長時間労働を是正するうえで、まずは現状の労働時間を正確に把握することは絶対に必要です。

それは、教員の勤務実態を管理しなければいけないといった趣旨ではなく、まずはどの教員がどの業務にどれくらいの時間を費やしているのかをきっちりと把握しないことには現状の分析を十分に行うことができません。

そのような状態で長時間労働を是正するための改善策を打ち出したとしても、それが的外れなものになってしまい、何の効果も生じない可能性があるからです。

 

労働時間を正確に把握するための手段はデジタルでもアナログでも構わないのですが、教員の長時間労働を効果的に是正するためにも、まずは労働時間をしっかりと記録することが絶対に必要であると思います。

 

(文責:木村)

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平成29年度公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査結果

校舎の耐震化が言われ始めてから、結構な年月が過ぎました。

その進捗やいかに。

というわけで、最新統計をチェックしておきましょう。

文科省HPより。

 

公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査の結果について:文部科学省

 

まずは構造体の耐震化について、その進捗を見ておきましょう。

学校種ごとに、H27→H28→H29の耐震化率を示します。

・小中学校 95.6%→98.1%→98.8%

・幼稚園 86.7%→91.0%→92.9%

・高等学校 93.7%→96.4%→97.9%

このように、すでにほとんどの公立校において

構造体の耐震化が終わっています。

これまでは幼稚園の率が低くなっていましたが、

これもこの数年でかなり上がりましたね。 

 

そして、構造体以外はどうかと言えば、

屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策についての

対策実施率は97.1%。

こちらもほとんどが済んでいるようです。

 

私学でも近年は耐震化工事が済んだ学校がほとんど、

という印象を私自身も持っていますが、非構造部材は…?

という点に若干の疑問があります。

学校にとって安全は最優先課題。

財政上の問題、あるいは工事期間の問題をクリアして、

一日も早い耐震化の完了が求められます。

 

(文責:吉田)

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学校プールの事故

7月も中旬を迎え、いよいよ夏本番です。

私は泳ぐのが好きなので、子どもの頃は夏場のプールの授業がとても楽しかったことを今でも記憶しています。

ただ、学校のプールでは毎年様々な事故が発生しており、中には後遺症が残るような大怪我を負う事例も複数発生しています。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

水泳の季節。学校で相次ぐプールでの飛び込み事故をどう防ぐか。

 6月11日朝9時過ぎ。東京都江東区の辰巳国際水泳場で東京都高校春季水泳大会の競技に先立ち、参加選手、指導者約2500人に向け、安全対策に関する映像が流された。

 スタート時の飛び込みでプールの底に頭を打ったことによる脊髄(せきずい)損傷が多く発生▽入水角度が水平から30度以上になると頭は水深1メートルに達することから、「前方に飛び出すことで入水角度を下げる」ことが重要――。イラストや動画でそんな説明がなされ、「一生、車いすの生活になります。自分の人生が変わるだけでなく、家族や周囲への負担も大きくなります」という言葉が流れた。

 日本スポーツ振興センターによると、2005~15年の間に、小中高校の授業や部活動での飛び込みで後遺症が残った事故は約30件発生した。昨年も、東京都立高の3年男子生徒が水泳授業中に首を骨折したほか、鳥取県の小学校で6年の女子児童が放課後の水泳の課外授業で、頸髄(けいずい)損傷のけがを負った。

 東京都高校体育連盟水泳専門部の井口成明さんが昨年、名古屋大大学院の内田良准教授と共同で、東京都の中高の水泳部員約2千人に調査したところ、35%が「体の一部をプールの底に打ったことがある」、10%が「頭や顔を打ったことがある」と答えた。

 指導上の対策として、井口さんは「前方に飛び出せ」という声かけを強調する。入水角度は水平に近づき、頭から底に落ちる危険が小さくなるからだ。入水後に手首を返して指を上に向け、自然と体を浮かせる技術習得も大事だという。

 目標物を使うのは危険という。東京の事故は、高さ約1メートルのところに構えたデッキブラシを越えるよう指示していた。鳥取の事故でも、水面のフラフープに向かって飛び込むよう教えていた。井口さんは「いずれも落下角度が垂直に近づくだけでなく、目標物に視線が集中し、危険の感知能力が下がる」と説明する

 

やはり飛び込みによる事故が多いようですが、後遺症が残るレベルの事故が年間に3件ものペースで発生していることに驚きました。

これには授業だけでなく部活動による事故も含まれているようですが、何事もまずは安全を最優先に考えなければいけません。

特に、誤った指導や行き過ぎた指導により生徒に後遺症が残るような大けがをさせることは絶対に許されないことだと思います。

 

また、記事中には、中高の水泳部員の45%が体の一部をプールの底で打ったことがあるとの調査結果も記載されています。

いわゆる「ヒヤリハット」ですね。

たまたま大怪我に至っていないだけで、それだけ潜在的な危険は多いということが言えると思います。

 

「これまでの指導で何も起こっていないから大丈夫だろう」とか「うちの学校に限ってそんな事故は起こらないだろう」という過信は禁物です。

生徒達の安全を守るのも学校の大きな使命ですので、学校全体として十分に注意をしていただきたいと思います。

 

(文責:木村)

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平成28年度文部科学白書の公表について

毎年恒例のことながら、最近はブログで採り上げることが減っていたかも…

との反省を込めて、今年度はお届けいたします。

白書の公表です。

今何かと話題の文科省HPより。

 

平成28年度文部科学白書の公表について:文部科学省

 

目次に大きな変化がないのもまた毎年のことではあるのですが、

白書には特集記事が必ず掲載されています。

今回は、オリンピック関連がそのひとつとなっています。

2020年、気づけばそんなに遠い話ではないんですよね。

ただ、学校経営との関連性から言えば重要性は高くありません。

 

もう一つの特集記事は「子供たちの未来を育む豊かな体験活動の充実」。

こちらのほうは学校特色化と相まって、

各私学でも健闘や研究の余地がある内容ではないでしょうか。

白書概要版にはこんな記載がなされています。

子供たちの体験活動に関する実態調査

 自然体験・生活体験などの体験が豊富な子供,生活習慣が身についている子供は自己肯定感,道徳観・正義感が高い傾向。
 子供の頃の自然体験,お手伝い,友達との遊び,地域での活動などの体験が豊富な人は,大人になってからの人間関係能力,自尊感情,意欲・関心などの資質・能力が高い傾向。
 子供の頃の体験が豊富な保護者の子供は体験が豊かな傾向。
 保護者が子供のしつけをしっかりしているほど子供の自己肯定感,道徳観・正義感が高い傾向。
 保護者が子供に積極的に体験の機会を与えていたり,子供に生活習慣を身につけさせることに力を入れているほど,子供のコミュニケーションスキルや礼儀・マナースキルが高い傾向。

 

体験活動の推進体制について

 学校教育における体験活動の推進
 地域と学校の連携・協働による放課後や土曜日等の学習・体験活動
 家庭における体験活動

生活・文化体験活動

 読書活動の推進
⇒学校,地域での取組のほか,コラムではビブリオバトルについて紹介
 子供のスポーツ機会の充実
⇒学校では,平成29年4月から「部活動指導員」を導入し,部活動の指導体制を改善。地域では「スポーツ施設のストック適正化ガイドライン」を29年3月に策定するなど,環境整備を実施。
 子供たちの文化芸術体験活動の推進
文化庁により,「文化芸術による子供の育成事業」,「伝統文化親子教室事業」,「全国高等学校総合文化祭」などの事業を実施。

自然体験活動

 「健全育成のための体験活動推進事業」などにより,学校による宿泊体験活動の取組等の支援。
 地域では,「体験活動推進プロジェクト」の実施,「子供と自然をつなぐ地域プラットフォーム」を形成する取組の支援を通し,体験活動を推進。
国立青少年教育振興機構は,全国28の国立青少年教育施設において総合的な体験活動の機会を提供。「早寝早起き朝ごはん」国民運動,「体験の風をおこそう」運動を推進するほか,「子供の貧困対策に関する大綱」に基づき,経済的に困難な状況にある子供を対象とした事業を実施。

社会体験活動

 学校現場における職場体験,インターンシップの普及,促進を実施。
国立青少年教育振興機構は,「ミクロネシア諸島自然体験交流事業」を実施。

 

私の勝手な印象ではありますが、この分野においては

私学が現状において一歩、二歩先を進んでいるような気がします。

ただ、大きな課題はやはり部活動、でしょうか。

スポーツの機会確保の必要性が言われるのとは裏腹に、

部活動のあり方はこれまでと比べると「制約」の方向へと進む気配。

教育活動の一環として、適切な水準を模索し続けねばなりませんね。

 

白書は外部環境を知ることができるとともに、

各種の事例を通じて自校のあり方をふりかえるきっかけを作ってくれます。

刊行は今月下旬とのことです。

ぜひご一読ください。

 

(文責:吉田)

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先生は高校2年生

私の学生時代の授業といえば、先生が教壇に立って教科書に沿って一方的に教えるという形式が当たり前でしたが、アクティブラーニングを始め、最近は様々な形式の授業を取り入れる学校が多くなっています。

 

本日は、高校2年生が先生となり中学1年生に対して行った授業のご紹介です。

 

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神奈川県鎌倉市鎌倉女学院中学校・高校で7月6日、情報モラルをテーマにした中高合同の公開授業が行われた。高校2年生が中学校1年生にスマートフォンSNSの注意点を教えた。スマホを使った疑似体験や身近な事例を用いた劇などを織り交ぜ、中高生双方に深い学びが展開された。

疑似体験では、高2がLINEの使い方について説明した後、中1に1台ずつ実物のスマホを配布。「体育祭の練習」という状況設定で、LINEのグループトークを行わせた。その際、生徒それぞれに「練習に出た人」「出なかった人」などの役割を演じさせ、「体育祭の朝練に出なかった人に『逆ギレ』してください」といった指示に従い、中1は次々にコメントを投稿。あっという間にコメントがエスカレートし、言い争いに発展していった。

同校の球技大会で、他クラスを中傷する内容を投稿した実際例を扱った活動では、その状況を再現劇で上演。その後、「この投稿で問題なのはどこだと思いますか」といったポイントを振り返るクイズを出題。何がいけなかったのか、どうすればよかったのかを考えさせた。

中1からは、「ひとつの発言で大変なことになってしまった。怖いと思った」「文字によるコメントは言い方がきつく感じる」といった感想が聞かれた。

授業後の意見交換会では、参観したタレントのスマイリーキクチさんが「ネットの危険はいろいろあるが、大人が教えるよりも子供同士で教え合うほうが伝わる。ぜひ他校でも実践してほしい」と授業を参観した感想を述べた。スマイリーキクチさんは、高校生にインターネットのマナーについて講演しているという。

指導した佐藤正二教諭は「高2には、なるべく場を盛り上げるのを意識すると良いと伝えた。4年目の実践となる今年は、学校で実際に起きた事例など、子供たちにとって身近でリアルな題材が多く取り入れられた。難しい面もあるが、情報モラルを指導する上では、リアリティを伴わなければ自分事として考えてくれない」と語った。

また「教えたほうの高2が、自身のSNSの使い方について向き合うようになったと実感している。年齢が近い先輩が教えて、SNSのトラブルを身近な問題として捉えるようになるだけでなく、人に教える行為そのものに大きな効果があるようだ」とも。

同教諭は今後、近隣の小学校と連携し、小学生に高校生が情報モラルを教える授業に、新たに取り組むという。

 

非常に興味深い授業ですね。

今回、この授業で扱ったテーマはSNSということで、本来であれば先生役を務めた高校2年生にこそ教えなければいけない内容だと思いますが、そんな彼らが先生役をしたことで、ただ知識を教わるよりも非常に大きな効果があったようです。

授業をするにあたっては大変な準備があったかと思いますが、やはり他人に物事を教えるということは、自分自身に知識として定着させる上で大変有効な手段であるともいえそうです。

 

また、この授業を行った鎌倉女学院中学・高等学校は中高一貫の学校ですが、その特色を十分に活かした取り組みであるとも思います。

このような授業の形式は様々なテーマに応用することができそうですので、各校にとって非常に参考になる事例なのではないかと感じました。

 

(文責:木村)

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