調査からは少し時間が経っていますが、
私学においても押さえておくべき内容を含んでおりますので、
今回はこのデータをご紹介しましょう。
文部科学省HPより。
平成28年度「英語教育実施状況調査」の結果について:文部科学省
調査時点は2016年12月。
調査対象は公立校となっています。
英語教育に力点が置かれ始めてから数年が経過する中で、
公立校の英語教育がどんなふうに変わってきているかを
知ることができそうな調査結果となっています。
学校種別に調査結果が掲載されていますが、
ここでは以下の資料から、中高の概要を抜粋してみます。
平成28年度「英語教育実施状況調査」(中学・高等学校関係)
まずは教員の英語力について。
○高校の英語担当教員のうち、CEFR B2レベル(英検準1級等)以上を取得した割合 62.2%(平成27年度 57.3%)
○中学校の英語担当教員のうち、CEFR B2レベル(英検準1級等)以上を取得した割合 32.0%(平成27年度 30.2%)
中学では約2ポイントの伸び、
高校に至ってはこの1年で5ポイント近い増加となっています。
この資料にはこんなことも書かれています。
(参考)昨年度より、10%程度以上上昇した教育委員会の取組例
・校長会・教頭会及び指導主事の学校訪問を通じて管理職に対して、現状を周知するとともに、所属教員の資格・検定試験の受験を奨励
・教員の指導力向上だけなく、英語力の向上に向けた集中研修講座の実施
・国の委託事業の一環で実施している英語指導力向上研修の受講者を対象に資格・検定試験の受験を促すとともに、検定料を助成している
研修受講と検定試験受験の促進が功を奏しているようです。
自治体ごとの競争をあおりたいのか、ご丁寧にこんなことまで掲載されています。
【高等学校教員の英語力の上昇率が高い教育委員会の例
大阪府(13.3ポイント増)、佐賀県(12.7ポイント増)、熊本県(11.0ポイント増)、青森県(9.0ポイント増)
【中学校教員の英語力の上昇率が高い教育委員会の例】
北九州市(11.4ポイント増)、札幌市(11.2ポイント増)、岡山市(10.5ポイント増)、奈良県(9.3ポイント増)
御校では教員の英語力強化のために、
何らかの施策を実行されているでしょうか。
公立校は着々と進めているようですが…
続いて、生徒の英語力についても調査結果が掲載されています。
○高校3年生のうち、英検準2級以上を取得又は相当の英語力を有する生徒の割合 36.4%(平成27年度 34.3%)
○中学3年生のうち、英検3級以上を取得又は相当の英語力を有する生徒の割合 36.1%(平成27年度 36.6%)
(参考)生徒の英語力が10%程度以上上昇した教育委員会の取組例
・生徒の英語力を評価し、指導改善に生かすために、外部試験を導入
・定期試験を改善したり、パフォーマンステストを導入したりするなど、生徒の英語力もきめ細かく把握するよう、市町村教育員会を指導
・英語研修重点校における教員の研修・指導改善の成果を研修重点校以外の学校に普及する取組により、各学校の指導力向上を図っている
【高校3年生の英語力の上昇率の高い教育委員会の例】
沖縄県(14.4ポイント増)、神奈川県(12.4ポイント増)、富山県(8.2ポイント増)
【中学3年生の英語力の上昇率が高い教育委員会の例】
奈良県(13.9ポイント増)、北九州市(13.8ポイント増)、大阪市(12.3ポイント増)、熊本市(8.6ポイント増)
生徒については、見える形での能力向上は教員よりも劣りますが、
それでも都道府県によっては10ポイント以上の増加もあるようですね。
伸び率の高い自治体は教員と生徒で完全一致しているわけではない、
というのも興味深いところではあります。
日本全国、公立校はここ数年で体制や教育内容に
大きなテコ入れがなされている印象があります。
英語教育もそのひとつですよね。
では御校は…いかがでしょうか。
(繰り返しになってしまい恐縮ですが…大切な視点ですのでご容赦ください)
私学が公立校に張り合う必要はない、と私は思いますが、
特色を際立たせ、その看板に偽りない教育を実践するのが
私学として重要ですよね。
もし、御校が英語教育を目玉に据えているなら、
上記のような公立校の状況を踏まえつつ、
より御校らしい形での英語教育の実践に努めていただきたいと思います。
もちろん、他の特色をお持ちの学校では
そちらをしっかり補強するべきです。
これがやりたい!と思って御校を選んだ子供たちに、
それを実現させてあげられる学校であっていただきたいと願っております。
(文責:吉田)
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