寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

部活動指導員に関する省令改正

文部科学省からの情報発信を多く掲載する本ブログですが、その外局にあたるスポーツ庁の情報はほとんど採り上げたことがないような…

そこで、というわけではありませんが、本日はスポーツ庁からの情報をお届けします。

 

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知):スポーツ庁

 

上記タイトルを読んだだけでは何のことかわからないのですが、その概要は以下の通りです。

(文章は上記ページより抜粋、太字は筆者が加工しています)

今回の改正は,中学校,義務教育学校の後期課程,高等学校,中等教育学校並びに特別支援学校の中等部及び高等部(以下「学校」という。)におけるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する部活動指導員について,その名称及び職務等を明らかにすることにより,学校における部活動の指導体制の充実が図られるようにするものです。

要するに、中・高における部活動指導員に関する省令の改正ということです。

なお、この内容は私学にも当然適用があります。

そして、施行期日は今年の4月1日となっています。つまり、あと10日足らずですね。

 

ページに記載のある「留意事項」について抜粋し、特に留意すべきところを赤文字にしてみましたのでご参考にどうぞ。

1 部活動指導員の職務

(1)部活動指導員は,学校の教育計画に基づき生徒の自主的,自発的な参加により行われるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)である部活動において,校長の監督を受け,技術的な指導に従事すること。

(2)部活動指導員の職務は,部活動に係る以下のものが考えられること。なお,部活動指導員が置かれる場合であっても,これらの職務を教諭等が行うことを妨げるものではないこと。
・実技指導
・安全・障害予防に関する知識・技能の指導
・学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
・用具・施設の点検・管理
・部活動の管理運営(会計管理等)
・保護者等への連絡
年間・月間指導計画の作成
部活動指導員が作成する場合は,学校教育の一環である部活動と教育課程との関連を図るためなど必要に応じ教諭等と連携して作成し,校長の承認を得ること。
生徒指導に係る対応
部活動指導員は,部活動中,日常的な生徒指導に係る対応を行うこと。いじめ暴力行為等の事案が発生した場合等には,速やかに教諭等に連絡し,教諭等とともに学校として組織的に対応を行うこと。
事故が発生した場合の現場対応
部活動指導員は,事故が発生した場合は,応急手当,救急車の要請,医療機関への搬送,保護者への連絡等を行い,必ず教諭等へ報告すること。特に,重大な事故が発生した場合には,学校全体で協力して対応する必要があるため,直ちに教諭等に連絡すること。

(3)校長は,部活動指導員に部活動の顧問を命じることができること。また,教諭等の顧問を置かず,部活動指導員のみを顧問とする場合は,当該部活動を担当する教諭等を指定し,上記(2)にあるように年間・月間指導計画の作成,生徒指導,事故が発生した場合の対応等の必要な職務に当たらせること。

(4)部活動指導員は,当該部活動の顧問である教諭等や上記(3)の部活動を担当する教諭等と,日常的に指導内容や生徒の様子,事故が発生した場合の対応等について情報共有を行うなど,連携を十分に図ること。

2 部活動指導員に係る規則等の整備

学校の設置者は,部活動指導員に係る規則等を整備すること。当該規則等には,部活動指導員の身分,任用,職務,勤務形態,報酬や費用弁償,災害補償,服務及び解職に関する事項等必要な事項を定めること。
なお,災害補償については,地方公共団体において部活動指導員を非常勤職員として任用する場合,労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第3条第2項により,労働者災害補償保険の適用となることに留意すること。

3 部活動指導員の任用

部活動指導員の任用に当たっては,指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能のみならず,学校教育に関する十分な理解を有する者とすること。

4 部活動指導員に対する研修

学校の設置者及び学校は,「運動部活動での指導のガイドライン」(平成25年5月)等を踏まえ,部活動指導員に対し,事前に研修を行うほか,その後も定期的に研修を行うこと。研修においては,部活動が学校教育の一環であること等部活動の位置付けや部活動が生徒の学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであること等教育的意義のほか,学校全体や各部の活動の目標や方針を熟知すること,生徒の発達の段階に応じた科学的な指導を行うこと,安全の確保や事故発生後の対応を適切に行うこと,生徒の人格を傷つける言動や体罰が禁止されていること,服務(部活動指導員が校長の監督を受けることや生徒,保護者等の信頼を損なうような行為の禁止等)を遵守すること等について,十分に理解させること。

5 生徒の事故への対応(略)

6 適切な練習時間や休養日の設定

学校の設置者及び学校は,部活動指導員による指導を行う場合であっても,適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は,生徒における様々な無理や弊害を生むことから,「平成28年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果の取扱い及び活用について」(平成29年1月6日付け28ス庁第540号)も踏まえ,練習時間や休養日を適切に設定すること。なお,文部科学省においては,平成29年度に部活動に関する総合的な実態調査等を行い,平成30年3月末を目途に,スポーツ医・科学の観点や学校生活等への影響を考慮した練習時間や休養日の設定を含む「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」を策定することとしていること。

7 生徒,保護者及び地域に対する理解の促進

学校の設置者及び学校は,部活動に対する生徒や保護者,地域の関心が高いことから,部活動指導員の配置に当たっては,事前に情報提供を行うなど,生徒や保護者等の理解を得るよう努めること。また,学校の設置者は,部活動指導員の確保に資するため,地域の体育協会,スポーツ団体及びスポーツクラブ等との連携を積極的に図ること。

私学では部活動指導員に指導を依頼するケースが決して少なくないように思います。

そして、今後は教職員の長時間労働対策のひとつとして、役割分担を進めていく必要性も高まると感じています。

そのような中で、今回の省令改正は部活動指導員の位置づけとその職務内容を考える際のひとつの基準になるように思われます。

 

上記内容を確認するに、特に留意すべきは「規則の整備」と「組織的連携体制の整備」ではないでしょうか。

個人的な実感としては、部活動指導員のための学内規則の整備が進んでいる学校はそれほど多くないように思います。

また、部活動指導員と教員や管理職との連携についても、それが十分に図られているかどうか、一度確認が必要でしょう。

 

そしてもっと根本的な課題として、「学校として部活動の位置づけをどうするか」という点が挙げられます。

上記改正の中にも「練習時間・休養日の適切な設定」について言及があります。

限られた時間をどのように使うか。

部活動は特にその選択肢として大きな地位を占めることが多くあります。

この機会に学内でのご議論をいただき、方向性を明らかにされてはいかがでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較- (勉強編)

国立青少年教育振興機構が3月13日、日本・アメリカ・中国・韓国の4か国を比較した「高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書」を公開しました。

 

その中から本日は「勉強について」の調査結果をご紹介いたします。

 

www.niye.go.jp

 

まずは勉強時間に関する結果です。

「平日に学校の宿題をする時間はどのくらいですか」という質問に対し、「しない」と回答した割合は以下のとおりです。

 

日本:11.2%

韓国:8.4%

米国:5.1%

中国:2.2%

 

次に、「平日に学校の授業と宿題以外に、どのくらい勉強しますか」という質問に対し、「しない」と回答した割合が以下のとおりです。

 

日本:24.2%

米国:17.7%

韓国:9.8%

中国:7.6%

 

残念なことに、どちらの質問とも日本が最も高い割合となっています。つまり、日常的に勉強をする習慣が身に付いていない高校生の割合は日本が最も高いことを表しているということになります(ここでは、私の高校時代のことは棚に上げておきます・・・)

 

さて、日常的に勉強をしない割合が4か国の中で最も高い日本の高校生たちですが、どのような勉強の仕方をしているのでしょうか。

 

勉強の仕方で以下の12項目にあてはまる項目を挙げる(複数回答可)という質問に対して、日本の高校生の回答率が最も高かったのはどれでしょうか??

 

  • 試験前にまとめて勉強する
  • できるだけ暗記しようとする
  • 自分で整理しながら勉強する
  • 問題集をたくさん練習する
  • できるだけ自分で考えようとする
  • 教えられたとおりに勉強する
  • 毎日こつこつと勉強する
  • 問題意識を持ち、聞いたり調べたりする
  • 参考書をたくさん読む
  • 勉強したものを実際に応用してみる
  • 方法や課程より結果がわかればいいと思う
  • 教わったほかの方法でもやってみる

 

何となく予想がつきそうですが、最も回答率が高かったのは「試験前にまとめて勉強する」で69.3%でした。なお、4か国中で最も高い回答率でした。

 

試験前の一夜漬けは今も昔も変わらないのか・・・と何とも切ない気持ちになってしまうような結果ですが、切ない気持ちになるような結果はまだまだ続きます。

 

上記12項目のうち、以下の項目の回答率は4か国の中で最も低い結果となっていました。

 

  • 自分で整理しながら勉強する
  • できるだけ自分で考えようとする
  • 教えられたとおりに勉強する
  • 参考書をたくさん読む
  • 勉強したものを実際に応用してみる
  • 教わったことをほかの方法でもやってみる

 

あくまで上記結果からの推測ですが、テストのために仕方なく短期的に知識を詰め込んではいるものの、それが何の役に立つのかがよくわかっておらず、その活用の仕方もわからないと感じている高校生が多いのではないでしょうか。

 

ついつい、大学受験のためであったり、就職に有利になるためと目先のことを考えがちになるのですが、まずは勉強することの目的を生徒達に日々しっかりと伝え続けていくことが大切なのではないかと感じます。

 

生徒達の興味や好奇心をかきたてるような取り組みこそが今の日本にとっていかに重要であるかを、この調査結果から読み取ることができるのではないでしょうか。

 

 

(文責:木村)

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労働経済動向調査の概況

人材の採用、学校にとっては大きな課題です。

ただ、それは学校に限ったものではなく、多くの業界で同様の現象が起きているようです。

本日は「労働経済動向調査」の直近の結果についてご紹介いたします。

厚生労働省HPより。

 

労働経済動向調査(平成29年2月)の概況|厚生労働省

 

まずは一番気になる、労働者の過不足感について見てみましょう。

最初は「正社員等労働者」について。

平成29年2月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.をみると、調査産業計で38ポイントと23期連続して不足超過となった。全ての産業で不足超過となった。特に「医療,福祉」、「運輸業,郵便業」、「建設業」で人手不足を感じている事業所の割合が多い。

ちなみに、最も不足感の大きい医療・福祉分野のD.I.は47となっています。

ここでのD.I.は『労働者数について、調査日現在の状況で「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値』であり、具体的には不足が50%、過剰が3%、差引47%というデータとなっています。

では「パートタイム労働者」はどうでしょうか。

平成29年2月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.をみると、調査産業計で32ポイントと30期連続して不足超過となった。全ての産業で不足超過となった。特に「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「卸売業,小売業」、「生活関連サービス業,娯楽業」で人手不足を感じている事業所の割合が多い。

というわけで、雇用形態を問わず、労働者不足の状態になっています。

ちなみに最多の宿泊業等のD.I.は56。大きな値ですね。

 

さらに、未充足求人についてのこんなデータもあります。

平成29年2月1日現在の未充足求人がある事業所の割合は調査産業計で53%、産業別にみると、「サービス業(他に分類されないもの)」(71%)、「医療,福祉」(69%)、「宿泊業,飲食サービス業」(63%)、「運輸業,郵便業」(60%)、「卸売業,小売業」(51%)で50%を超えている。

本調査全体を通じ、産業別分類においては「教育業」の括りが存在していませんので私学がどうなのかはわかりませんが、業界を問わず、人手不足が深刻な状況になっていることは間違いなさそうです。

 

これだけ労働者が不足しているとなると、さぞかし時間外労働が延びているのでは…と思ったのですが、この調査ではこのことについてもちゃんと聞いてくれています。

所定外労働時間判断D.I.(平成29年1~3月期実績見込)は、調査産業計0ポイント、建設業1ポイント、製造業2ポイント、卸売業,小売業マイナス10ポイント、医療,福祉2ポイント、サービス業(他に分類されないもの)3ポイントとなった。
所定外労働時間判断D.I.(平成29年4~6月期見込)は、調査産業計3ポイント、建設業0ポイント、製造業1ポイント、卸売業,小売業4ポイント、医療,福祉マイナス2ポイント、サービス業(他に分類されないもの)3ポイントとなった。

ここでのD.I.は「当該期を前期と比べて「増加」と回答した事業所の割合から「減少」と回答した事業所の割合を差し引いた値」を示しています。

よって、プラスであれば前期比増、マイナスならその逆、つまり前期より減っているということを表しています。

プラスの値が小さく、マイナスの値すら存在していますね。

この状況下で円滑な採用を目指すとなると、労働条件の改善、特に時間外労働の削減は避けて通れない、というところでしょうか。

人手は足りないわ、労働時間は伸ばせないわ…経営者サイドからすると、何とも悩ましい状況ですね。

 

 

さて私学の雇用状況に戻ってみましょう。

御校での人手不足感はいかがでしょうか。

そしてその解消のための手立ては何か講じていらっしゃいますでしょうか。

私は2つのことが頭をよぎりました。

 

1つは人を育てるということ。

優秀な人材を外部から調達する、という考えは今後ますます難しくなっていくことでしょう。

今こそ学内で人を育てるという意識、そしてそのためのしくみを整えることが大切だと感じます。

 

もう1つは、長時間労働を是正すること。

他の業界はすでにいろいろと手を打ってきています。

ところが学校では、まだまだ長時間労働を「避けられないもの」と考えがちな風潮があるように思います。

教職員採用におけるライバルはもはや「他校」ではなく、「他業種」かもしれないという意識を持つべきでしょう。

そのうえで、業種に縛られることなく、労働環境の改善を進めていくことが採用競争力を高めることになるのではないでしょうか。

 

ちなみに、地域別の人手不足感も本調査結果に掲載されています。

が、日本全国、どの地域も同程度の不足感になっています。

全国の私学の皆さん、適切な方法でこの状況を乗り切ってまいりましょう。

 

(文責:吉田)

 

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新入社員を迎える心構え

4月がもうすぐそこまでやってきました。

4月といえば、幼稚園では入園式、学校では入学式、企業では入社式です。新しい人生のスタートを迎える皆さんには、是非とも新たな舞台で思いっきり楽しんで、思いっきり頑張っていただきたいものです。

一方で、新しい人生をスタートさせる人々がいれば、そんな彼らを迎える側の人々もいるわけです。企業の場合は先輩社員、学校や幼稚園の場合は先輩教職員がそれに該当するわけですが、迎え入れる側にも心構えが必要です。

 

www.nikkei.com

(会員限定記事の為、一部しかご覧いただけません。ご容赦下さい。)

 

この人手不足の折に入社、入職してくる新入社員や新入教職員ですが、迎える側が対応を誤ってしまうと、彼らの意欲を低下させ、最悪の場合には離職にも繋がりかねません。

 

ちなみに、記事によると、今どきの新入社員の特徴として以下のように挙げられています。

 

一見、優等生が多い。遅刻、居眠り、忘れ物などはほとんどしない。研修で課題を与えられてもそつなくこなし勉強熱心。予習も復習もやってくる。人当たりも良く、あいさつもできる。

 

と、何やら頼もしそうな感じですが、その反面、心配な面もあるそうです。

 

他人の目を気にし、常に自分がどう見られているかを意識する。横並び意識も強く、同期と同じことができているか気になる。だから一人だけ目立つことは極端に嫌がる。失敗を恐れるため新しいことに挑戦しない。

 

基本的なビジネスマナーの一つに「ホウレンソウ」がある。報告、連絡、相談だが、最近の新入社員はこれができない。

 

情報化社会で育った彼らは周囲に聞かず、まずインターネットで検索する。答えが出ないとあきらめる傾向がある。

 

新しいことに挑戦せず、ホウレンソウもないままシレーっと諦めている・・・となるとかなりやっかいですね・・・。

もちろん、最近の新入社員が全員がそうとは思いませんし、個人的にはこれまでもこのようなタイプの新入社員は少なからずいたと思うのですが、とにかくこのような新入社員が増えてきているというのであれば、迎え入れる側はより一層の努力と忍耐が必要となります。

 

とはいえ、迎え入れる側にも我慢の限界があります。時には叱る事が必要な場面もあるでしょう(私も新入社員時代はよく怒られていましたし・・・)。

 

そんな叱る時の心構えが「かりてきたねこ」だそうです。

 

か ・・・ 感情的にならない

り ・・・ 理由を話す

て ・・・ 手短に

き ・・・ キャラクター(性格や人格)に触れない

た ・・・ 他人と比較しない

ね ・・・ 根に持たない

こ ・・・ 個別に叱る

 

どれも冷静に考えれば当たり前のことばかりなのですが、叱るような場面での冷静でなかなか冷静にはなれませんので、ついつい「かりてきたねこ」と真逆のことをやってしまいがちではないでしょうか。

 

新入社員に対して過度に気を遣うがあまりに叱るに叱れないなんてことになると本末転倒ですから、大切な人材を大切に扱うという意味では時には叱ることも必要な場面があるでしょうし、そんな時には「かりてきたねこ」をしっかりと意識したいですね。

 

また、これらは新入社員を迎えるときの心構えとしての紹介でしたが、新入社員に対してだけではなく、また年齢も関係なく、部下を持つ方が部下に対して指導をする場合にもこれらは意識しなければいけないことだろうと感じます。

 

 

(文責:木村)

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平成28年度学校法人の運営等に関する協議会

学校法人さんとのお付き合いも今年で丸10年が経過しました。

その中で、自らの勉強のため、そして各校への情報提供のためということでいろいろと資料を訪ねることを続けてくると、毎年必ず確認する資料、というものだけでも結構な量になります。

本日はその中のひとつをご紹介しましょう。

文科省HPより。

 

平成28年度学校法人の運営等に関する協議会:文部科学省

 

例年1月末ごろに開催されている「学校法人の運営等に関する協議会」。

誰のための会なのかはよく分かりませんが、この会では文部科学省の各部局担当者による所管事項説明が行われているようです。

そしてその当日資料が掲載されているのが上記ページです。

これらの資料、結構なボリュームにはなるものの、その時点で何が教育行政のトピックになっているのかを知るのに役に立ちます。

 

ただ、ページをご覧いただいてお分かりになる通り、資料の表題がすべて「説明資料」という名前になっていて、どんな資料なのかは開いてのお楽しみ、という形式が取られています。

というわけで、毎年いちいちリンクを開いては、あ、これはこんな内容なんだ、というふうに確認する必要があるわけです。

これは非常に面倒です。。。

私学関係者の皆様はこの時期大変ご多忙でもありますので、本ブログでは資料の内容を表題に示して、ご興味のあるものを開いていただけるようにしてみたいと思います。

 

高等教育局大学振興課

高大接続改革(3つのポリシー)/スタッフ・ディベロップメントに関する省令改正/大学・大学院入学資格の見直し/スーパーグローバル大学創生支援事業/卓越大学院プログラム構想推進委託事業/大学入学希望者学力評価テストプレテストの実施/基礎研究医養成活性化プログラム

 

高等教育局学生・留学生課

大学等奨学金事業の充実

 

高等教育局高大接続改革プロジェクトチーム

高大接続改革の動向について(高等学校教育の改革)

高大接続改革の動向について(大学教育の改革・大学入学者選抜の改革)

 

高等教育局高等教育企画課新たな高等教育機関プロジェクトチーム

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について

 

高等教育局私学部私学行政課

私立大学等の振興に関する検討会議/平成29年度文部科学関係税制改正要望事項の結果/近年の大学等の設置認可等の動向と寄附行為認可の審査等における指摘について/最近の私学共済制度をめぐる主な動向

 

高等教育局私学部私学助成課

平成29年度私立学校関係政府予算案等について

 

高等教育局私学部参事官

私立学校の経営状況について/学校法人運営調査委員制度の概要/監事機能の充実強化について/平成27年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について/学校法人の届出・証明等の概要

いくつかの資料はお互いの情報が重なってしまっていますが(部局間調整はなされないのでしょうか)、一応それぞれのテーマで括られていますのでご活用いただければ幸いです。

 

ちなみに個人的には最後に掲載した資料が一番興味深く感じます。

私学の経営支援を行っている弊社ですから当たり前かもしれませんが。。。

この資料を見ながら、入学者の確保、ひいては収入の確保が今後の大きな課題であることを再認識しています。

もうすぐ新年度。

今こそ計画経営が必要です。

 

(文責:吉田)

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「長時間労働」に関するアンケート調査

昨今話題の「長時間労働問題」については当ブログでもよく取り上げていますが、東京商工リサーチが全国1万2,519社を対象に長時間労働に関するアンケートを実施しました。

 

www.tsr-net.co.jp

 

まず、残業の実態についてです。

 

残業の有無について、「恒常的にある」が7,095社(構成比57.3%)で6割近くを占めた。次いで、「時々ある」が4,504社(同36.4%)、「ない」と「させない」は764社(同6.1%)と1割未満にとどまった。
 「残業がある」は、全体の93.8%にのぼり、規模を問わずほとんどの企業で残業が行われている実態が浮き彫りになった。
 企業規模別では、大企業(2,898社)では「恒常的にある」が2,021社(構成比69.7%)、「時々ある」が825社(同28.4%)で、「残業がある」は2,846社(同98.2%)に及んだ。
 中小企業等(9,465社)は、「恒常的にある」が5,074社(構成比53.6%)、「時々ある」が3,679社(同38.8%)で、「残業がある」は8,753社(同92.4%)で、中小企業等の方が残業のある比率は5.8ポイント低かった。

 

具体的にどの程度の残業が発生しているのかまではわかりませんが、ほとんどの企業では残業自体が当たり前になっているようです。

 

では、どのような理由で残業が恒常的に発生してしまっているのでしょうか。

 

残業の理由は、トップが「取引先への納期や発注量に対応するため」が6,170(構成比37.6%)で約4割を占めた。次いで、「仕事量に対して人手が不足している」が4,058(同24.7%)、「仕事量に対して時間が不足している」が3,463(同21.1%)、「日常的なことなので特に理由はない」が1,213(同7.3%)、「不明」が68(同0.4%)の順。取引先との関係で避けがたい状態が浮き彫りとなった。
 「その他」では、「突発的な事態への対応」(人材派遣業)、「季節業務対応」(会計事務所)、「動物を扱う仕事のため」(酪農業)、「現場作業や顧客への対応のため」(建設業)など、自社都合では避けられない事情もある。
 また、「実質的に残業代が給料の一部になっている」(鍛造業)など、残業代が生活費に織り込まれているケースも見受けられ、賃金引上げとの兼ね合いに広がっている。
 大企業では、「仕事量に対して人手が不足している」は1,254(構成比30.0%)、「取引先への納期や発注量に対応するため」が1,202(同28.8%)、「仕事量に対して時間が不足している」が1,032(同24.7%)で、この3項目が上位に並んだ。
 中小企業等では、最多が「取引先への納期や発注量に対応するため」の4,968(同40.6%)。次いで、「仕事量に対して人手が不足している」が2,804(同22.9%)、「仕事量に対して時間が不足している」が2,431(同19.8%)で、上位を占めた。中小企業等は、取引先との関係による理由が大企業を11.8ポイント上回り、納期(工期)を守り、受注先との取引関係を維持するために残業が増える構造的な課題が浮かび上がっている。

 

企業は顧客や取引先があって成り立ちますから、1位の取引先対応については自社の努力だけでは確かに限界がありますね。また、2位の人手不足については、昨今はどの業界の企業にとっても非常に悩ましい問題です。先日、ある外食企業の経営者の方とお話しする機会があったのですが、現場(店舗)の人手不足はますます深刻化していると仰っておられました。

 

残業が恒常的に発生することには構造的な問題が大きく絡んでいるようですが、だからといってこのまま放置しておくわけにはいきません。

79.7%の企業が残業を減らす何らかの努力を行っていると回答しており、主な取り組みとして以下が挙げられています。

 

残業削減に取り組んでいる施策は、トップは「仕事の効率向上のための指導」が7,123(構成比37.8%)で約4割を占めた。次いで、「仕事の実態に合わせた人員配置の見直し」が5,621(同29.8%)、「ノー残業デーの設定」が2,981(同15.8%)、「勤務体系や役職等の変更」が1,545(同8.2%)、「労働組合等との協定見直し」が356(同1.8%)、「削減度合いに応じたインセンティブ支給」が171(同0.9%)の順。効率化の施策が中心だった。
 規模別では、「仕事の効率向上のための指導」が(大企業1,759・構成比34.7%、中小企業等5,364・構成比38.9%)、 「仕事の実態に合わせた人員配置の見直し」が(同1,300・同25.6%、同4,321・同31.3%)、「ノー残業デーの設定」が(同1,253・同24.7%、同1,728・同12.5% )と、上位は規模に関係なく同じ回答が並んだ。
 しかし、「ノー残業デーの設定」は規模により構成比に約2倍の開きがあり、人手不足で余裕の乏しい中小企業等ではノー残業デーの設定は困難な実態を示している。

 

上位には、業務効率化に関する指導と人員の適正配置が挙げられています。

ここで重要なのは、現状の把握とあるべき姿の設定をしていないと、どちらも大きな成果は期待できないということです。

組織の業務効率を図ろうにも、現状のどこに問題があって、どうすれば理想の姿に近づけることができるかが明確になっていないと、見当違いな取り組みによって組織にさらなる混乱をもたらしかねませんし、残業時間がより増加してしまうおそれもあります。

また、そのような状況でノー残業を導入すれば、見えない残業=持ち帰り残業が増えることは目に見えています。

 

これらは企業だけでなく、学校や幼稚園においても同じことが言えるのではないでしょうか。

現在地を知る(職場の現状を正確に把握する)、目的地を設定する(あるべき姿を明確にする)、まずはこの二つの作業をしなければ、何に取り組むべきかが明確になりませんし、何も改善されないままいたずらに時間だけが過ぎていくかも知れません。

 

管理職以上の方々がいかに組織全体を俯瞰的に観察できるか、また、固定概念を取り払っていかにあるべき姿を明確にすることができるか、これらが重要ではないかと感じます。

 

(文責:木村)

 

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平成28年度 教職員団体への加入状況に関する調査結果について

毎年このブログで紹介している内容を今年もまた。

文科省HPより。

 

平成28年度 教職員団体への加入状況に関する調査結果について:文部科学省

 

公立学校の教職員を対象とした調査結果です。

調査日は平成28年10月1日現在となっています。

HPには非常に端的に結果が記載されていますので、そちらを見ておきましょう。

 

教職員全体の加入状況

○ 教職員団体全体の加入率は、昭和51年以降41年連続の低下

→ 加入率 35.2%(前年度36.3%) 前年度比 マイナス1.1ポイント

○ 日本教職員組合日教組)への加入率は、昭和52年以降40年連続の低下

→ 加入率 23.6%(前年度24.2%) 前年度比 マイナス0.6ポイント

 

新採用教職員の加入状況

○ 教職員団体全体の新採用教職員の加入率は、昨年度と同率

→ 加入率 24.3%(前年度24.3%) 前年度比 プラスマイナス0.0ポイント

○ 日教組への新採用教職員の加入率は、昨年度に比べ低下。

→ 加入率 18.6%(前年度18.8%) 前年度比 マイナス0.2ポイント

以前は組合が強いと言われた公立教職員ですが、今や加入率は3人に1人となっており、新規採用者に限ると4人に1人を切っている状況です。

このこと自体の良し悪しを論じることはできませんが、少なくとも労働組合というものの存在感は小さくなってきていることは間違いないでしょう。

労働者として、職場環境の改善、あるいは処遇の改善を求める動きは以前に比べて小さくなっているのかもしれませんね。

それだけ労働環境は整っているケースが多い、とも言えるのかもしれません。

公立校はともかく、私学においては世間の同規模の企業と比べると、処遇の水準は高いケースが多いことは、私自身も肌で感じているところではあります。

 

ただ、学校における教職員はサービスの最前線に立つ方々です。

これらの方々が十分満足を得ずにその最前線に立つことは、サービス低下、すなわち学校で行われる教育活動の低下につながる恐れがあります。

ここが人事制度改革の難しいところと言えるでしょう。

 

経営上は、人件費水準を一定レベルにとどめたい。

ただ、教育の質に悪影響を及ぼしてはならない。

このせめぎあいの中で、人事制度の議論を進めていかねばならない…そんな私学が昨今多く存在しているように思います。

 

私がそのようなことに関わる中で確実に言えることがあるとすれば、それは「改善は『思い立ったが吉日』である」ということです。

人事制度を変えるには気の遠くなるような時間が必要です。

評価制度を導入するにも、給与制度を変えるにも、ましてや退職金制度を変えるにはそれは長い時間がかかるものです。

だからこそ、スタートを早める必要があります。

経営に影響が及び始めてから着手すれば、それは「痛みを伴う変化」にならざるを得ません。

緩やかな改善を果たすためにも、労使が力を寄せ合い、「学校の永続」という双方のメリットになるただひとつの目的に向けて進んでいただければと願っております。

 

(文責:吉田)

 

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