寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

国公立学校施設における維持管理点検状況調査の結果について

子どもたちの安全が何より重視される、学校現場。

施設の維持や整備は非常に重要な課題ですね。

そこで本日は施設の点検状況に関する結果報告を見てみましょう。

文科省HPより。

 

国公立学校施設における維持管理点検状況調査の結果について:文部科学省

 

まずは本調査の対象を見ておきましょう。

・全国の公立学校(幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)の施設
・全国の国立学校(大学、大学共同利用機関法人及び高等専門学校)の各主要団地内の施設

というわけで、公立対象の調査ですので、私学の情報は入っていない点につきご留意ください。

この調査、以下のような経緯で実施されたようです。

○ 公立学校施設は、その約7割について、建築基準法第12条第1項及び第2項の規定に基づき、定期的な点検を実施することが学校施設の所有者等に対して義務付けられている。また、法定点検が義務付けられていない学校も含むすべての学校施設の所有者等は、同法第8条第1項の規定に基づき、建築物を常時適法な状態に維持するように努めなければならないこととされている。

○ 一部の公立学校において上記法定点検を実施していないことなどが会計検査院の行った調査により指摘されたことを受け、平成28年5月25日の参議院本会議において公立学校施設の不適切な維持管理に関して警告決議がなされた。

○ これらの状況を踏まえ、文部科学省において、全国の国公立学校施設における法定点検の実施状況等を調査した。

 

まずは学校施設は原則として定期点検が義務付けられていることを押さえておかねばなりません。

文科省の別ページにこういうことも記載されています。

学校施設の維持管理の徹底について(通知):文部科学省

本論とは少し外れますが、点検の義務付けに関する内容もしっかりチェックしておきましょう(上記HPより一部加工し抜粋)。

1.建築基準法に基づく法定点検の実施について

(1)点検の義務づけがある学校
建築基準法第12条第1項の規定により、学校の用途に供する部分の床面積の合計が100平方メートルを超える建築物であって、特定行政庁が指定するものの管理者は、有資格者による建築物の調査を定期に実施し、その結果を特定行政庁に報告することが義務づけられています。(以下略) 

(2)点検の義務づけがない学校
上記(1)以外の学校の管理者は、建築基準法点検が義務づけられていませんが、学校施設を含む全ての建築物の管理者は、同法第8条第1項の規定により、建築物を常時適法な状態に維持するよう努めることが義務づけられています。そのため、建築基準法点検の義務づけがない学校施設の管理者におかれても、当該学校施設について、劣化等により是正の必要が生じている箇所を把握するとともに、当該箇所を早期に是正することで常に適法な状態を維持することが重要であることから、平成20年国土交通省告示第282号を参考として、有資格者による専門的な点検を定期に実施するようお願いします。

2.消防法に基づく法定点検の実施について

消防法第17条第1項及び第17条の3の3の規定により、全ての学校の管理者は、消防用設備等が消火、避難等の消防活動に必要な性能を有するように設置するとともに、消防用設備等又は特殊消防用設備等について、有資格者等による点検を定期に実施し、その結果を消防長又は消防署長に報告することが義務づけられています。
このため、全ての学校の管理者におかれては、同法の定めを遵守し、確実に点検を実施してください。

 

さて、先ほどの記事に戻りましょう。

公立学校施設においては、全体の7割が定期点検の法定義務があるとのこと。

安全最優先、のはずの学校施設ですが、多忙な日常に追われると点検の優先順位が下がってしまうこともあるかもしれません。

私学においても人員配置上、管財の専門担当者を置いておられないケースも少なくないように思いますので、点検については十分留意すべきことではないでしょうか。 

 

さて、気になる今回の結果ですが、以下の通りとなっています。

・公立学校
法定点検の実施義務がある学校:
99.99%が「点検を実施」又は「点検を実施する見込み」
※残りの0.01%(3校)はすべて平成30年度までに廃校等の予定。
法定点検の実施義務がない学校:
40.0%が「点検を実施」又は「点検を実施する見込み」

・国立学校
法定点検の実施義務がある主要団地:
100%が「点検を実施」又は「点検を実施する見込み」
法定点検の実施義務がない主要団地:
82.4%が「点検を実施」又は「点検を実施する見込み」

法定点検の実施義務がある学校についてはすべてが点検を実施していることが分かりましたが、これはまあ、当たり前ですよね。

ちなみに私学は…統計が見当たらないので何とも言えませんが、100%であると信じたいところです。

一方、法定点検の実施義務がない学校になると率がぐんと落ちるところが非常に気になります。

学校という施設の特質を考えれば、法定の義務があろうがなかろうが、定期点検は最低限必要なものではないでしょうか。

しかも、別紙資料によれば都道府県ごとにその率に大きな高低差があります。

例えば近畿地方では兵庫県を除いて、中国地方では島根県を除いて、その率は非常に低い水準にとどまっています。

 

言われなければやらない、というのでは子どもたちにも示しがつきませんよね。

求められるか求められないかにかかわらず、安全確保のためにまずは「危険を予防する」、そのために点検を重視するという姿勢が学校には必要なのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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第52回学生生活実態調査より

私が大学生だったのは今からもう20年も前のことですが、当時の私は将来のことなどあまり考えることもなく、アルバイトや遊ぶことだけに没頭する典型的な「ダメ学生」でした。試験前以外に勉強した記憶はほとんどありませんが、単位だけは要領よく取得できていました(笑)

せっかく大学に通っていたのに、何であの頃もっと真剣に勉強しておかなかったんだーっ!と今になって後悔することが頻繁にありますが、所詮は後の祭りですね・・・。

 

そんな私のダメ学生話はさておき、このほど、全国大学生活協同組合連合会が、「第52回学生生活実態調査」の概要を公表しました。

 

さて、イマドキの大学生の実態はどのようになっているのでしょうか。

 

www.univcoop.or.jp

 

調査の概要は以下のとおりです。

  • 調査実施時期:2016年10〜11月
  • 調査対象:全国の国公立および私立大学の学部学生
  • 回収数:10,155(30大学・回収率33.1%)
  • 調査項目の概要:属性、住まい、大学生活(登下校時刻・サークル・就職など)、日常生活(生活時間・悩み・政治への関心など)、経済生活(暮らし向き・アルバイト・奨学金・1ヶ月の生活費・半年間の特別費など)、大学生協について(店舗の評価・活動の認知)、大学生協や大学への意見

 

まずはアルバイトについての調査結果の概要です。

 

  • 調査時のアルバイト就労率は71.9%(自宅生78.4%・下宿生66.8%)で、データがある08年以降最も高く、この半年間のアルバイト就労率も77.5%(自宅生81.4%・下宿生74.3%)と高い就労率であった。
  • アルバイトの1週間の就労時間は平均時間12.5時間で、10時間以上15時間未満が18.4%、20時間以上も13.9%を占める。
  • また夜10時から朝5時までの深夜時間帯にも20.7%(就労者を100として28.8%)がアルバイトしており、その平均日数は1週間のうち2.2日であった。
  • 半年間のアルバイト収入の用途は「旅行・レジャー」24.3%、「生活費のゆとり」22.3%、「生活費の維持」19.2%のほか「貯金」も17.7%(自宅生22.6%・下宿生13.5%)と高い。

 

ほとんどの学生が何らかのアルバイトをしており、就労率、収入金額は前年よりも増加基調にあるようです。

家庭の経済事情によりアルバイトで学費を稼ぐケースもあるかと思いますが、収入の用途の上位を見る限りでは娯楽や生活の足しにするケースが多いようですね。「旅行・レジャー」の範囲が広すぎるので詳しい用途はわかりませんが、せっかく自分で稼いだお金なので、旅に出るなり教養を身に付けるなり、是非とも有意義に使っていただきたいものです。

ただ、あくまで学生ですので、私のようなことにならないように、学業に支障を来さない程度にしていただきたいものです。

 

次に、読書時間と勉強時間に関する調査結果の概要です。

 

  • 1日の読書時間は平均24.4分、有額平均48.6分と、前年からそれぞれ-4.4分と-4.3分となった。
  • 1日の読書時間が「0」は49.1%(文系43.9%・理系50.2%・医歯薬61.6%)と、前年から3.9ポイント増加し、「0」が40%台になった13年以降3年間で8.6ポイント増となった。
  • 04年以降常に2割以上存在した「60分以上」も19.1%まで減少した。
  • 男女別には男子の平均時間が28.0分(有額52.5分)、女子20.3分(有額43.4分)。男女の読書傾向は平均時間が06年、「0分」は08年に逆転している。平均時間の男女差は7.7分と04年以降最も大きくなった
  • アルバイト就労の有無でみると、就労している学生の平均読書時間が22.1分に対して、就労していない学生は30.6分とやや長い傾向がある。
  • また大学の予習・復習・論文など大学の勉強時間は1日52.8分で前年から-2.3分となった。文系37.0分、理系62.9分、医歯薬系71.5分。いずれも2年連続減少となった。
  • 勉強時間もアルバイト就労者の平均時間が短い傾向が見られ、就労者は全体で13.4分、医歯薬系では22.2分短い。
  • さらに、就労時間が長い傾向がある奨学金受給者の勉強時間は1日47.8分(文系34.3分・理系60.6分・医歯薬系60.7分)と短い。
  • スマートフォンの1日の利用時間の平均は161.5分(前年+5.6分)、有額平均163.6分(前年+3.8分)。利用時間「0」は1.3%(前年2.3%)に過ぎず、ほぼ全員が利用している。

 

元「ダメ学生」の私が偉そうに言える立場ではありませんが、読書時間、勉強時間ともに減少傾向にあります。また、アルバイトをしている学生は更に時間が短い傾向もあるようです。

そして何より、全体の半数近くの学生が全く読書をしないという結果には大変驚きました。さらに、スマホの利用時間の平均が161分(=2時間41分)ということにも驚きです。スマホ電子書籍を閲覧していることも考えられなくはないですが、おそらく友人とのLINEやSNS、ゲームでその時間のほとんどを費やしているのではないでしょうか。

 

大学生活って何なんだろうかと考えさせられる結果ですが、自分の過去の経験を踏まえると、将来の自分の人生を見据えた上での目的や目標がないと、ただなんとなく毎日を過ごしてしまうことになってしまうんだろうなあと感じてしまいます。

 

大学に進学する以外にも様々な進路はありますが、大学進学を目指す場合には大学に入学すること自体がゴールとならないよう、小学校や中学校、高校の頃から様々なことに興味を持ち、様々な経験をし、しっかりと夢を描き、実現に向けて主体的に行動することができる、そんな学生生活を送っていただきたいと思います。また、学校においてもそのような面で生徒達をしっかりとサポートすることができればいいなと感じます。

 

(文責:木村)

 

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会議あるある

どのような組織においても何らかの会議は必ずあると思います。報告や連絡、意思決定、アイデア収集など、会議の目的にはいくつか種類がありますが、それらの会議に参加することに何らかのストレスを感じることはないでしょうか。

 

参加者が会議にストレスを感じる例として以下のようなケースが挙げられます。

  • 会議の回数が多い
  • 内容がマンネリ
  • 時間通りに始まらない
  • 時間通りに終わらない
  • 話が脱線する
  • あちらこちらで私語をする
  • 発言者が決まっている
  • 途中退席者が多い
  • 意見が出ない
  • 何も決まらない
  • そもそも目的があいまい    などなど

 

ただでさえ他の業務で忙しいのに、会議がこのような状態だと、参加者だけでなく組織全体のモチベーションが下がってしまいますね。

 

では、どんな会議が理想的かというと、おそらく以下のような事が挙げられるのではないでしょうか。

  • 会議の目的とゴールが決まっており、参加者全員に共有されている
  • 事前にプログラム、時間、参加者が決定している
  • 事前に資料が配布されている
  • 役割が明確になっている
  • 参加者は事前に資料に目を通した上である程度の意見を持つ
  • 定刻前には参加者全員が揃っている
  • 途中退席者がいない
  • 参加者が積極的に意見する
  • 話が脱線しそうになっても司会が軌道修正する
  • 決定事項が明確である
  • 全ての議題の結論が出た上で時間通りに終了する
  • そもそもムダな会議はしない            などなど

 

挙げ出したらキリがないくらいですが、多くの参加者の貴重な時間が割かれるわけですから、少しでも理想に近づけ、有意義な会議にしたいものです。

開催しようとしている会議はそもそも必要なのかをまずは検討しなければいけませんが、開催する会議の目的を明確にすること、参加者全員がその会議に集中できる環境を整備することをしっかりと考える必要があると思います。

 

なお、弊社が毎月発行しております「学校経営情報」に、効果的な会議にするためのちょっとしたコツを毎月ご紹介しております(2016年度のみ)。バックナンバーも含めて弊社ホームページ(NEWS&TOPICS)からダウンロードしてご覧いただけますので、自組織の会議の進め方に問題を感じておられる方は是非とも参考にしていただければ幸いです。

 

(文責:木村)

 

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「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 最終まとめ

本日ご紹介する記事が発表されたのは昨年末。

遅くなってしまいましたが、これからのことを考えると無視できない内容ですのでこのタイミングになってしまいましたがご紹介します。

(すでにご承知だとは思いますが…)

文科省HPより。

 

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 最終まとめ:文部科学省

 

いよいよ現実になってきた感のあるデジタル教科書。

上記ページには、審議結果の報告書とともに、概要版も掲載されています。

報告全体はそれなりのボリュームですので、以下、概要版の中からいくつかの項目を抜粋します(赤文字は筆者が加工しております。ご容赦ください)。

 

まずは「デジタル教科書」が指す内容とその範囲について。

・ 教科書は、基礎的・基本的な教育内容の履修を保障するために、原則、その全てを学習することが必要であり、質を確保するために検定が行われている
・ 現行制度上、本格的な実証研究を行うことは不可能であることから、デジタル教科書の使用による効果・影響について、客観的・定量的な検証は困難
◇ 紙の教科書とデジタル教科書の学習内容(コンテンツ)は同一であることが必要
◇ 紙の教科書を基本としながら、デジタル教科書により学びの充実が期待される教科の一部(単元等)の学習に当たって、紙の教科書に代えて使用することにより、「使用義務」の履行を認める特別の教材としてデジタル教科書を位置付けることが適当=「併用制
◇ 紙の教科書等による学習が困難な障害のある児童生徒のうち、デジタル教科書の使用による学習が効果的である児童生徒に対しては、より積極的な使用を可能とすることが望ましい
※ 紙の教科書とデジタル教科書のいずれかを選択して使用する「選択制」の仕組みの導入については、教育上の効果や健康面への影響等に関する調査研究等の結果等を見極めながら、デジタル教科書の導入後、一定の期間を経た後に改めて検討を行うことが適当

紙とデジタル、両方を併用する形でのスタートとなりそうですね。

 

次に、「デジタル教科書の基本的な在り方」について。

教科書検定制度との関係>
○ デジタル教科書の学習内容は紙の教科書と同一であることから、改めて検定を経る必要はないとすることが適当。紙の教科書との同一性については、発行者の責任において確保されるべきであり、当面は、デジタル教科書の制作者は紙の教科書を制作する発行者のみとすることが適当。
○ 動画や音声等については、学習効果が期待されるものの、部分的な修正が困難であることや、可変性があり膨大な情報量の内容について検定を経ることが必ずしも適当ではないことから、検定を要しない教材として位置付けることが適当。
教科用図書検定調査審議会等において、URLやQRコード等の検定上の取扱いについて、専門的な見地から審議を行うことが必要。
<学習内容の特性への配慮>
○ 導入を一部の教科に限定したり、使い方に差異を設けるといったことを現時点において決定することは必ずしも適当ではないが、教科・単元等の学習内容の特性に配慮しつつ、発行者の創意工夫をいかし、教育委員会や学校における使用の参考となるようなガイドラインを国が策定することが必要。
<教科書無償制度との関係>
○ 紙の教科書のみを使用する児童生徒との公平性の観点や、紙の教科書を基本とする使用形態等から、紙の教科書とデジタル教科書の双方を無償措置の対象とすることは直ちには困難。周辺環境の整備状況も踏まえつつ、使用を希望する地方自治体等において、全ての児童生徒が家計の状況に関わらず支障なく使用できるよう、必要な経済的支援を含めて積極的な取組が必要。
○ 障害のある児童生徒に一層積極的な使用を認める場合には、法令上の措置も含めて検討することが必要。
○ 中長期的には、普及・定着の状況も勘案しながら、制度面の検討と併せて、紙の教科書とデジタル教科書のいずれか一方又はその双方を、無償措置の対象とすることを検討することが望ましい。

使う側にとって一番気になる費用負担の問題。

完全無償、とはいかないようですね。

導入のための大きな課題と言えそうです。

 

そして、私学にとって気になるのはデジタル教科書を取り巻く「環境の整備」です。

<求められるICT環境の整備>
(情報端末)
○ デジタル教科書の使用形態に鑑みれば、個々の使用の場面において、児童生徒一人一人に対してデジタル教科書が用意されていることが必要
○ 情報端末の規格や機能の標準化等に加え、児童生徒の使いやすさやアクセシビリティの確保、相互互換性、価格の低廉化、児童生徒への影響等の観点について検討することが必要。
(ネットワーク環境)
○ 導入段階においては、ネットワーク環境を利用しなくてもデジタル教科書を使用できる形態とすることが適当。
○ インターネット環境に接続する場合には、各教育委員会や学校において、接続管理やフィルタリング等の対策を講じるとともに、児童生徒に対する十分な指導を行うことが必要。
<デジタル教科書の効果的な活用のための条件整備>
○ 紙の教科書と併用したデジタル教科書の使い方やデジタル教材を使用するための方針を明確化し、教員等の実践を通じた知見を学校全体として共有することが重要であり、研修等を通じて、ICT活用指導力を含めた教員の指導力向上のための取組の充実が必要。
○ デジタル教科書を円滑に使用することができるよう、トラブルに速やかに対応できるサポート体制等の環境整備が重要。

さて御校では、デジタル教材を活用できる教育環境を整備できているでしょうか。

お付き合いのある学校では、すでにICTの環境整備が進み、独自ツールの積極活用が図られているケースもある一方で、ICTを用いない旧来の形式での授業がなされているケースもあり、私学間においてもその差は広がっているという印象を受けます。

将来に向けた投資をどのタイミングで実行できるか。

中長期の計画立案とその実現が必要ですね。

 

(文責:吉田)

 

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サラリーマン川柳2016より

第一生命保険が毎年恒例のサラリーマン川柳コンクールの入選作100句を発表しました。

 

event.dai-ichi-life.co.jp

 

毎年、思わずクスっと笑ってしまうものや哀愁漂うもの、わが身に置き換えて激しく同意してしまうものなど、その時々の世相を反映した様々な作品が選ばれていてとても面白いのですが、今年は「働き方」にちなんだ作品が多いように感じます。

「働き方」や「職場」に関する作品の中から、私のお気に入りをご紹介したいと思います。

 

  • 効率化 提案するため 日々残業
  • 会議する 準備のために また会議
  • ちゃんとやれ それじゃわからん ちゃんと言え
  • ノー残業 居なくなるのは 上司だけ
  • 残業は するなこれだけ やっておけ
  • 口ほどに その手動けば 早帰り
  • 見て学べ? どうりで部下が 育たない

 

どれも「職場あるある」のような作品ばかりですが、最初の二つの作品は何とも本末転倒な状況ですね。ただ、このような経験に心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

学校現場においても、長時間労働是正に向けた動きが始まりつつありますが、業務の効率化を図ることは最も大きな課題の1つだと言えるでしょう。ただ、この川柳のように残業してまで効率化の取り組みの提案を検討しているようでは、効率化への道は険しいですね・・・。

 

新たな職場で働き始めた頃、「なんでこんな非効率なことをやってるんだろう」、「こんなことやって、なんか意味あるのかな?」、「もっと違う方法でやればもっと楽にできるのに・・・」などと思ったことはありませんか?

 

ただ、同じ職場に長く勤めていると、どれもこれも当たり前のことになってしまい、どれだけ非効率なことであろうと、あまり意味をなさないことであろうと、特に疑問を持たなくなってしまいがちです。(もちろん、私もその一人です。)

 

そのような状況では、「さあ、効率化に向けた取り組みを考えるぞ!」と意気込んだところで、余程のアイディアマンではない限り、おそらく良いアイディアは浮かんでこないでしょう。

 

やはり、日頃から様々なことを観察し、「これでいいのかな?」「もっと良い方法はないかな?」と常に疑問を持つことを習慣化することが、業務の効率化を図る上では大切なことだと思います。

 

学校においても、過去の習慣を引きづったまま今日に至っている業務はたくさんあるのではないでしょうか。

これまでの経験をリセットして、新しい目で観察してみることで、新たな気付きや発見がきっとあると思います。

 

(文責:木村)

 

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高卒予定者と教員養成大学の就職率について

そろそろ年度末。

進学率や就職率が気になる時期ですね。

というわけで、本日は就職率の話題をお届けします。

まずは高卒予定者の内定状況について、文科省HPより。

 

平成29年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(平成28年12月末現在)に関する調査について:文部科学省

 

国立、公立、私立の高等学校(全日制・定時制)を対象としたこの調査。

リンク先ページに記された「調査結果の概要」を見ておきましょう。

(1)就職内定率(全体)
就職内定率(就職希望者に対する就職内定者の割合)は、90.9%で、前年同期から0.9ポイント上昇。
※12月末時点における就職内定率としては、7年連続で前年同期を上回った。

(2)男女別
男子:92.0%(前年同期比 0.5ポイント増)
女子:89.2%(前年同期比 1.4ポイント増)

(3)学科別
就職内定率の高い順に、「工業」96.6%、「情報」94.4%、「商業」94.1%、「農業」93.3%、「福祉」92.8%、 「水産」91.6%、「家庭」90.3%、「総合学科」89.9%、「看護」89.0%、「普通」84.7%
※「その他」の学科は除く。また、「看護」に関する学科は看護師5年一貫課程が主となるため、5年課程5年次 の就職内定率を示している。

(4)都道府県別
内定率の高い県:富山県 97.2%、福井県 96.0%、秋田県 95.8%、岩手県 95.6%、島根県 95.5%
内定率の低い県:沖縄県 67.0%、東京都 82.9%、神奈川県 83.8%、大阪府 84.9%、高知県 85.9%

(5)被災3県の就職内定率
岩手県 95.6%(前年同期比 0.2ポイント増)
宮城県 92.4%(前年同期比 1.4ポイント増)
福島県 95.4%(前年同期比 0.4ポイント減)

より詳細なPDFデータも同じページに付いているのですが、ここのところの就職率の上昇はグラフで見るとなおのこと明らかです。

ただそれでも、都道府県別にみると下落している地域もあります。

ちなみにわがふるさと富山県は、内定率の高い県として上記にも登場していますが、前年同期比ではその率は下がっています。

そして、就職先が県内・県外の別も掲載されていますが、例えば東京では圧倒的多数が県内就職であるのに対し、宮崎県では両者の数字は似通っているなど、就職環境の違いも見て取れます。

全員が希望の就職を果たせることを願いたいと思います。

 

 

もうひとつ文科省より、こちらも学校関係者には大いに気になる記事でしょう。

国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)の平成28年3月卒業者の就職状況等に係る報道発表資料の訂正について:文部科学省

 

訂正記事ですが、ここには調査結果自体も掲載されています。

教員就職率は定義上、2種類があるようですが、以下の通り、いずれの率も下がっています。

・教員就職率(卒業者から進学者及び保育士を除く)67.4%(前年比1.3ポイント減少)
・教員就職率(卒業者のうち教員就職者)58.9%(前年比1.6ポイント減少)

実は教員養成大学の卒業生自体は前年より165人増加しています。

その中で教員就職率が減っているということは…

そうです、他に流れているのです。

大学院進学者が93人増加しているのはさておいたとしても、教員や保育士以外の就職は147人増。率にすると6.7%も増えています。

教員就職者数は73人の減少ですから、看過できない状況です。

 

昨日の日経新聞には、各大学が若手研究者の育成に励みだしたという記事が掲載されていました。

教育機関は、教員なしには成立しません。

教員そのものの育成に本腰を入れるべき時がやってきたのではないでしょうか。

 

(文責:吉田)

 

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寝る子は育つ!

夜の9時前後、大手の有名進学塾が集まる駅周辺で、塾帰りと思われる小学生達を見かけることがよくあります。朝から学校に行った後にも関わらずこんな遅い時間まで塾で勉強するなんて凄いなあと思いつつ、この小学生達は毎晩何時に寝ているのだろうと疑問に思います。

難関校に狭き門を突破するためにはそれくらいの努力は当たり前なのかも知れませんが、子どもの体を考えると望ましいことではないと感じてしまいます。

 

そこで、本日は子どもの睡眠時間に関する記事のご紹介です。

 

toyokeizai.net

 

『基礎講座 睡眠改善学』によると、小学生の睡眠と学力の関係を調べると、成績が上位の子ほど早い時刻に寝ていることがわかります。主要4科目(国語、算数、理科、社会)で平均95点以上を取った子が寝る時間は9時前が41%、9時台が28%、10時台が22%、11時台が14%、12時台が0%でした。そして3年生と6年生では就寝時刻が遅くなればなるほど、テストの平均点が低くなることもわかりました。

また広島県教育委員会が2003年に行った「『基礎・基本』定着状況調査報告書」でも、似たような結果が出ています。小学5年生を対象に国語と算数の試験結果と睡眠時間について調査しました。その結果、睡眠時間が5時間以下だと国語が51.9点、算数が53.9点。5時間以上から6時間未満の場合、国語が61.8点、算数が65.8点。睡眠時間が9時間以上10時間未満だとそれぞれ70.3点、73.7点でした。

睡眠時間が5時間台から6時間台、6時間台から7時間台、7時間台から8時間台と長くなるにつれて、成績が上がることがわかりました。ただし10時間以上寝ると、成績が下がりました。この調査では、7時間以上10時間未満の睡眠時間が良い成績をとるためにはベストだったようです。

一方、2011年にバルセロナ自治大学が6~7歳の小学生142人を対象に行った調査では、平均睡眠時間が9~11時間の生徒の成績は、平均睡眠時間が9時間以下の生徒に比べて高いこともわかりました。同時に睡眠不足は、記憶力や認識力、モチベーションなどの低下にもつながることがわかったそうです。

こうした調査結果をまとめると、望ましい睡眠時間は8時間〜10時間未満、日本の小学生の平均起床時刻は6~7時なので、20時~21時の間に寝るのが学力を上げるには効果的と言えそうです。この時間に就寝すれば、9~11時間は眠れることになりますが、実際に小学生の平均就寝時間は22時台で、平均睡眠時間は8~9時間ほどです。

 

記事では小学生は20時~21時の間に寝るのが学力を上げるためには効果的と指摘していますが、大手進学塾に通い難関中学を目指す小学生達はまだ授業中か授業が終わる時間かと思われます。

そのような塾に通う小学生たちは、望ましい睡眠時間を下回るというハンデを背負いながらもおそらく優秀な成績をとっているであろうということを考えると、相当な勉強量であることは間違いなさそうです。(そこは私も見習いたいところです・・・)

 

そんなハードな毎日を過ごしている塾に通う小学生達だけでなく、テレビを見たりゲームをしたりで何となく夜更かしをして十分な睡眠時間を取ることができていない小学生も多いことだろうと思います。

 

私は毎晩23時までに就寝し翌朝6時には起床することを心がけていますが、夜に予定が入り就寝時間が少しでも遅くなってしまうと、翌日はなんだか体がだるく感じたり、眠気を感じたりします。

 

中年の私でさえそのように感じるのですから、小学生の場合には睡眠不足による疲労感はもっと大きいものでしょう。その実態がアンケートで浮き彫りになっています。

 

ここで興味深いアンケートがあります。前出の『基礎講座 睡眠改善学』で小学生の心身疲労状態を調査したアンケートによると、小学生が自覚している症状として1位「あくびが出る」20%強、2位「眠い」15%強、3位「横になりたい」15%、4位「目が疲れる」15%弱、5位「ちょっとしたことが思い出せない」15%弱、6位以下は「きちんとしていられない」「物事が気にかかる」「イライラする」など。まるで疲れたサラリーマンか、おじいちゃん、おばあちゃんからの訴えのようです。

では、これらの訴えの原因は何でしょうか? 1~4位の原因は主に眠気や睡眠不足からくるだるさです。日常の睡眠が不足していることを物語っています。5位以下は注意力、集中力のなさ、精神の不安定さが原因です。5位以下は、睡眠が足りないことにより、脳の前頭葉の働きが鈍ることにより起きる症状です。ということは実はすべては、十分な睡眠がとれれば、通常であればほとんどが解決しうる問題なのです。小学生がいかに睡眠不足なのかがわかりますね。

 

日常的に上記のような症状を自覚しているということですので、一定数の小学生が慢性的な睡眠不足に陥っているといえそうです。

 

最初の引用部分にもありましたが、睡眠不足は記憶力や認識力、モチベーションなどの低下にもつながることが指摘されています。

慢性的な睡眠不足の状態で勉強したとしても、モチベーション低下⇒集中力低下⇒ダラダラ⇒夜更かし⇒睡眠不足⇒モチベーション低下⇒・・・といった悪循環を招く結果になることが目に見えています。これは、大人が寝不足や疲労の蓄積した状態で仕事をするときにも同じことが当てはまるでしょう。

 

難関校へ合格するために貴重な睡眠時間を削って勉強することは、将来の夢をかなえるための重要なステップだと思います。

ただ、保護者だけでなく、大人は子ども達の心身の健全な発達のために睡眠の重要性を十分考慮した上でサポートすることが必要なのではないかと感じます。

 

 

(文責:木村)

 

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