寝ても覚めても学校のこと。~学校経営の経営課題(人事・財務・募集・施設などなど)について考えるブログ~

大阪の学校経営コンサル会社/株式会社ワイズコンサルティングが、学校経営に関する情報を収集し発信するブログです。

パワハラが起こりやすい職場の特徴

パワハラ、セクハラ、モラハラアカハラ、マタハラ・・・

 

最近は〇〇ハラスメントという言葉を聞かない日がないくらい、ハラスメントという言葉が一般的に使われるようになりましたね。

 

ハラスメントとは直訳で「人を困らせること」という意味です。もちろんそのようなことをしてはいけませんが、様々なハラスメントが実際にあちらこちらで巻き起こっていることを考えると、それだけ他人を困らせる人が多いということでしょうか。

 

職場でのハラスメントの代表格(?)と言えばパワハラだと私は勝手に思っていますが、本日は企業のパワハラに関する調査結果のご紹介です。

 

corp.en-japan.com

 

この調査は、エン・ジャパン株式会社が企業の人事担当者を対象に「パワハラ」についてアンケート調査を行ない、203社から回答を得た結果です。

 

まず、社内のパワハラを把握している企業はどのくらいあるのでしょうか。驚愕の結果は以下のとおりです。

  • 把握している     7%
  • だいたい把握している 38%
  • あまり把握していない 32%
  • 把握していない    12%
  • わからない      11%

 なんとなんと、45%の企業がパワハラを把握(認識)しているとのことでした。ただし、これはあくまで把握している企業の割合ですので、実際にはそれ以上の企業でパワハラが起こっている可能性があります。非常に恐ろしい結果です。

 

次に、実際にどのようなパワハラが行われているのかの結果は以下のとおりです。

  • 精神的な攻撃      76%
  • 過大な要求       24%
  • 人間関係からの切り離し 19%
  • プライバシーの侵害   11%
  • 身体的な攻撃       8%

圧倒的に「精神的な攻撃」が多くなっています。パワハラをしている側の人間はそのような意図はないのかも知れませんが、受け取る側がそのように感じていれば立派なパワハラです。 

 

では、パワハラが起こってることで職場にどのような影響を与えたのでしょうか。結果は以下のとおりです。

  • 職場の雰囲気が悪化した   62%
  • 退職者が出た        37%
  • メンタル不調の社員が増えた 30%
  • 職場の生産性が悪化した   20%
  • 休職者が出た         9%

どれも当たり前の結果ですね。このようなことで退職者や休職者を発生させてしまうことはあってはいけないことですし、そのような職場には社員は間違いなく定着しないでしょう。そして何より、ネットやSNSで情報が不特定多数の人に即時に拡散されるような時代ですから、企業イメージの低下も免れないどころか、ステークホルダーからの信頼が失墜してしまうおそれもあり、企業(組織)の存続に大きく影響するレベルのことだと思います。

 

最後に、パワハラが起きる部署の特徴として以下が挙げられています。

  • 上司と部下のコミュニケーションが少ない 37%
  • 失敗が許されない(許容度が低い)    20%
  • 他部署や外部との交流が少ない      19%
  • 残業が多い               16%
  • 休みが取り辛い             15%

上司と部下のコミュニケーションが少ないことが最も割合が高くなっています。職場に限らずコミュニケーションの重要性は言うまでもありませんが、職場においてコミュニケーションが希薄な場合には、このような悲劇が起こる可能性が高まるということが言えると思います。

 

とはいえ、様々な考えや価値観を持った多くの人が集まる職場ですので、全ての人達と円滑にコミュニケーションをとることは難しいでしょう。特に、パワハラをする側であると思われる上司の立場になると、多くの部下と日常的にコミュニケーションをとることはなお難しいことです。

ただ、会話をすることだけがコミュニケーションではありません。笑顔で元気よく挨拶をしたり、気持ちよく返事をすることなどもコミュニケーションの一種ですし、そのようなことは誰もが簡単にできるはずです。特に、上司である立場の人から積極的にそのような行動をするだけでも職場の雰囲気は変わるのではないでしょうか。

職場の全員が気持ちよく働き、チームとして大きな成果を残すことができるよう、誰もが今すぐいつでも簡単にできることは確実に実行して、笑顔溢れる職場を作りたいですね。

 

(文責:木村)

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時間割の工夫

先日、新しい学習指導要領が発表されましたね。

新聞紙面でも大々的に採り上げられていて、少々面食らったところもあるのですが、学歴のみならず教育内容そのものへの関心というのはそれなりに高いということなのでしょうか。

 

さて本日は、教育内容を実現するための「時間割」についての話題です。

こんな資料が文科省HPにアップされています。

小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方に関する検討会議 報告書:文部科学省

 

「カリキュラム・マネジメント」という横文字を使っておられますが、読んでみると、要するに時間割のことだと分かります。

時間割のことがなぜ論点になっているか、という点については後にしまして(勘のいい方はすでにお分かりかもしれませんが)、ここでは「小学校での1コマ当たりの時間は何分がいいのでしょうか?」という問いを考えてみましょう。

 

レポートから抜粋してみます。

45分という時間は、児童の集中力や学習の持続、指導内容のまとまりという点からも実施しやすい時間として、児童の発達の段階や実態を踏まえた、教員の指導の工夫の結果を基に定められてきたものである。現行学習指導要領では、一単位時間は45分で換算することとしつつ、実際に一授業に充てる時間の設定は、各学校において適切に定めることができるものとされているものの、最新の調査によっても、ほとんどの小学校(99.72%)において、一授業の標準は45分に設定されているところである。

自分自身の経験をふりかえっても、またこれまでのいくつかの学校のお話を聞く中においても、小学校の授業時間は1コマ45分というのが「当たり前」に近い感覚です。

 

ところが、このレポートにはこんなことも書かれています。

特に小学校段階の学習においては、児童の学習規律の確立が学習の基盤となる。時間割は、学校における児童の生活時間を効果的に配分し、日々の生活や学習のリズムを作り上げていく効果も持つものである。日常的な生活や学習のリズムが身につくよう、なるべく恒常的な時間割であることが望まれる。
○ また、各教室には、発達障害も含めた多様な学習ニーズを抱えた児童が存在することを踏まえれば、時間的な見通しが立てやすい時間割が望ましい。
○ 一方で、児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けては、その時々の児童の学びの実態や学習内容に対応した、弾力的な時間割の設定が望ましいとも考えられる。1.(2)で見たような、朝や昼、放課後などの15分程度を、短時間の授業時間として教科の学習に充てたり、土曜日に実施される授業において、45分を超えた長時間授業の設定を弾力的に行ったりする様々な工夫は、児童の実態や学習内容を踏まえつつ、学びの質を高めるための創意工夫の一例であると捉えることができる。
○ 時間割編成に当たっては、生活や学習のリズムを確立するための恒常性と、児童の実態や学習内容に応じて学びの質を高めるための弾力性のバランスを考えながら、児童や学校、地域の実態に応じた編成を行っていくことが求められる。

 中盤から雰囲気が変わってきましたね。

そう、45分という時間設定が望ましいとする前段の引用部は一定程度踏まえつつも、45分以外の設定を「けしからん」というのではなく、「創意工夫の一例」としてむしろ推奨しているように見えます。

確かにいろんな児童がいて、いろんなケースがあるでしょうから、必ずしも45分でなくとも、それこそ「実態に合わせて創意工夫する」こともあっていいのでしょうね。

 

このレポートはその後、こんな内容へと進んでいきます。

新しい教育課程における時間割編成については、中学年からの外国語活動及び高学年からの教科としての外国語科の導入に伴う授業時数の増にどのように対応していくか、ということが喫緊の課題となっている。

(1)考えられる選択肢

○ 新しい学習指導要領の方向性や、各小学校における時間割の現状を踏まえつつ、3.(1)及び(2)において整理した基本的な考え方に基づき、今後中学年及び高学年でそれぞれ年間35単位時間増となる授業時数を確保しながら時間割を編成していくに当たり、取り得る選択肢としては以下のような例が考えられる。

①年間授業日数を増加させて時間割を編成(内容省略)

②週当たりの授業時数を増加させて時間割を編成(同上)

②-2 45分授業のコマを週一つ増やして設定(同上)

③年間授業日数の増と週当たり授業時数の増を組み合わせて時間割を編成(同上)

 ああ、なるほどね、とうなづいた方もいらっしゃることでしょう。

このたびの学習指導要領では小学校での時数増が大きなテーマになっています。

その時間をどうやって確保するのか、その解決方法を記したのがこのレポートだった、ということです。

学校教職員の業務過多をいかに解消していくか、という観点でまとめたものなのでは、と期待して読んでみた私は、苦笑いする結果になりました。

 

学校はますます忙しくなりそうです。

効果的な教育実現のため、時間割をいかに持つかということはもちろんですが、それに加えて、組織として教育活動を遂行する重要性はさらに高まったように思います。

いつも熱心に働いておられる教職員の皆さんに想いを致しつつ、特に私学は経営のしくみとして業務全体の時間割、スケジューリングを考える機会にしていただければと思います。

 

(文責:吉田)

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授業参観の目的

私には中学生の長女と小学生の長男がいますが、親にとって自分の子どもが学校でどのように過ごしているのかを自分の目で見ることができる絶好の機会が授業参観です。

私はこれまで可能な限り我が子の授業参観には行くようにしているのですが、毎回、一部の保護者たちには非常に不愉快な気持ちにさせられます。

それは、授業はそっちのけで、仲の良い保護者同士が廊下で談笑していることです。しかも、その人数が多いうえに声も大きい!

教室内で授業の様子を見ていても、廊下で談笑している保護者の大きな声が聞こえてくるレベルです。

井戸端会議なら家の近くでやってくれよ・・・と思うと同時に、この保護者達は何のためにわざわざ学校まで来たのだろうと不思議に思います。

 

そんな保護者の方々に是非とも見ていただきたい記事がありました。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

授業参観の3つの役割として、以下が挙げられています。

  1. 保護者に子どもたちの成長を感じてもらい、学校教育について関心をもってもらうということです。
  2. 担任の教員と保護者の信頼関係を深めるということです。子どもは学校だけ、家庭だけで育てるものではなく、学校と家庭、双方が力を合わせて育てるものです。多くの保護者が、「どんな先生が、どんなふうに自分の子どもに指導をしているのか」に注目していると思いますが、教員も「授業を通して自分という人間を保護者に知ってもらいたい」と考えています。
  3. 保護者どうしの親睦を深めるということです。多くの学校で、授業参観のあとに、保護者会や親睦会、レクリエーション大会などが行われ、保護者どうしの交流を図っています。

 

確かにそのとおりです。

我が子の様子はもちろん、先生がどのように授業を進めているのかも気になりますし、先生達も保護者にみられることによって、普段以上に良い緊張感を持って授業に臨むことができるのではないでしょうか。

ところが、一部の保護者は授業中に勝手に保護者どうしの親睦を深めるだけで、本来の授業参観の目的はどこへやら・・・といった感じです。さながら「学級崩壊」ならぬ「保護者崩壊」とでも呼びたくなるような光景です。

 

記事中にもあるとおり、子どもは学校だけ、家庭だけで育てるものではなく、学校と家庭が連携して育てるものですから、保護者が学校のことに無関心であっては困ります。

 

このようなことを保護者に対して理解を求め、すぐに行動を変えてもらうことは難しいでしょうが(授業中に保護者同士が大きな声でおしゃべりすること自体が問題外ですが・・・)、授業参観の目的については保護者の方々に理解を求め、学校教育にしっかりと関心を向けていただくよう、地道に伝え続けることが必要ですね。

 

 

(文責:木村)

 

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労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

長時間労働や残業過多はどの業界でも大きな問題になっています。

学校は特にそうだとも感じるのですが、他業界と比べて「労働時間」の概念が希薄であり、その議論が進展しているふうには見えません。

そこで、本日は厚生労働省から出されている「労働時間の把握」に関するガイドラインについて見てみましょう。

厚労省HPより。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

 

リンク先を開けていただくとお分かりになる通り、ここにはガイドラインの本文が掲載されているだけで、特段の説明はありません。

ひととおり読むのにそれほど時間もかかりませんので、そのまま読んでいただいてもいいのですが、以下、重要と思われるところに太字下線を付けましたので、ご確認をお願いします。

まずはガイドラインの趣旨から。

1 趣旨

労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している
しかしながら、現状をみると、労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの。以下同じ。)の不適正な運用等に伴い、同法に違反する過重な長時間労働や割増賃金の未払いといった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるところである。
このため、本ガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにする。

私学は労働基準法の適用がありますから(公立校とのバランスは失していますが)、上記の通り、労働時間の管理義務が使用者や管理職に課されていることをまずは押さえておきましょう。

次に「労働時間」そのものの定義について。

3 労働時間の考え方

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。
そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。
ただし、これら以外の時間についても、使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間については労働時間として取り扱うこと。
なお、労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。
ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

学校でよく問題になるのが「教材研究」の時間ですが、上記の考え方からすると、それが使用者の指示によるものかどうかで大きく分かれそうです。

ただそれ以前に、学校におけるほとんどすべての業務が「使用者の指揮命令下に置かれている」という状況にあるような、それでいてそうでないような状況であることを何とかせねばなりませんね。

 

そしてここからが本題。

労働時間把握のためにどんなことをすべきか、という点です。

4 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

(1)始業・終業時刻の確認及び記録
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。

(2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

(3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
上記(2)の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。
ア 自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
エ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。
オ 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払
等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定
(いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

(4)賃金台帳の適正な調製
使用者は、労働基準法第 108 条及び同法施行規則第 54 条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこと。
また、賃金台帳にこれらの事項を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合は、同法第 120 条に基づき、30 万円以下の罰金に処されること。

(5)労働時間の記録に関する書類の保存
使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、3年間保存しなければならないこと。

(6)労働時間を管理する者の職務
事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。

(7)労働時間等設定改善委員会等の活用
使用者は、事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと。

ご覧いただいた通り、(3)の記述がやたらと充実していますね。

先般の電通での事件が強く影響しているように感じます。

自己申告「させられている」という状況を防ぐための措置なのでしょうが、実効性がどの程度あるのかは正直疑問ですね。。。

 

ただ、学校の場合はまず「労働時間を記録する」というところをきっちり実行することが最初の関門になるように思います。

タイムカードの導入もままならないなど、教職員の皆さんに労働時間を管理されることへの抵抗感が大きいケースも決して少なくないでしょう。

一方で、労働時間管理は事業経営上必須の事柄です。

まずはどんな方法が適切なのか、労使が知恵を出し合って決めてみてはいかがでしょうか。

時間外労働への対応はその次の話です。

社会的にも機運が高まっている今こそ、学校における環境整備のチャンスです。

 

(文責:吉田)

 

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魅力アップで生き残り

急速な少子化により公立高校の統廃合が進み、学校数はピークだった1987年の4191校から、2016年では3589校となっているようです。

 

昨今は都市部においても公立高校の統廃合は珍しいことではなくなりましたが、それでも都市部にはまだまだ多くの高校があり、生徒の通学が困難になるようなケースはほとんどないと思われます。ただ、過疎化が進む地域においては当然事情が異なります。

地域から高校がなくなれば、遠方の高校へ通学しなければいけなくなる若者が地域から流出してしまうおそれがあり、それは地域の衰退に直結することを意味します。

 

過疎化が進む地域では、そのような危機感から高校の特色づくりによって全国から生徒を集める取り組みを行い、生徒数を維持させて生き残りを図っているようです。

 

style.nikkei.com

 

以下は記事の引用です。

近年、公立高校が全国から生徒を募集する動きが出てきたのは、政策として地方創生が注目されるようになったこととも関連している。地元の高校がなくなれば地域が衰退してしまうという危機感を県や市町村が強く持つようになった。高校を維持する最大の大義名分は子どもたちに地元で教育を受ける機会を確保することだが、廃校となれば影響はそれだけにとどまらない。消費も減るし、高校生の通学のために鉄道やバスが維持されている地域が多いので交通網にも影響が出てくる。

 

 かつて市町村の間には、県立の高校にあまり関わってはならないという雰囲気があった。また県側でも高校再編を担当しているのは教育委員会なので、地域振興という観点が乏しかった。しかし近年はまず地元の市町村が危機感を持って高校の魅力向上に動き始め、県側でも知事などの主導により、教育委員会の枠を超えて対応を考えるようになってきた

 

 地域で公立高校のあり方を考えることは、住民にとっても町の将来像を考える絶好の機会となる。これまで市町村レベルの行政が深く関わることのなかった高校を町づくりの一環として組み込むことにつながり、地域の活性化につながる。高校生にとっても地域に目を向ける機会となり、ボランティア活動や地域行事へ参加するようになり、地域住民との交流の場が増える。高校生が地元に残ったり、将来戻ってきたりするきっかけとなる可能性もあるだろう。

 

過疎化が進む地域では、地域の強い危機感がこのような取り組みへと動かしたようです。逆を言えば、危機感がなければ、何もせずにただ廃校となっていた可能性が高いということでしょう。

都市部においても、少子化の進行が加速することにより学校間での生徒の獲得競争が激化することが予想され、その結果、学校の統廃合が進むことや経営が立ち行かなくなる学校も出てくることが十分に考えられます。

そのような波に飲み込まれないためにも、学校全体として目の前にある危機をしっかりと認識し、少しでも早いタイミングで魅力ある学校作りに着手する必要があるでしょう。

 

(文責:木村)

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2017年度学校経営セミナーのご案内

弊社では2017年度も学校経営セミナーを開催いたします。

弊社ホームページに開催セミナーの一覧を掲載しており、画面から参加のお申込みも可能ですので、是非ともご覧いただければ幸いです。

 

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2017年度の学校経営セミナーは『「ひと」を活かし、「しくみ」を活かす』をテーマとして、経営力の強化にお役立ていただけることはもちろん、ご参加いただく皆様方どおしのつながりを構築できるよう工夫してまいりますので、是非ご参加下さい!

 

 

(文責:木村)

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学校図書館の整備充実

御校の学校図書館、活用されていますでしょうか。

 

先日もある公立校の学校図書館を視察させていただいたのですが、蔵書の豊かさとともに、陳列や配置の工夫、そして目を引くPOP等、図書館司書の頑張りが伝わってくるような素敵な図書館でした。

このように、図書館の充実に力を注ぐ学校がある一方で、図書館そのものの組織的な位置づけがそれほど高くないというケースもたびたび見かけます。

教育機関において、「自学自習」「調査」「研究」の拠点となり得る図書館は、活用次第で学校の目玉施設にすることもできるのではないでしょうか。

御校での図書館の存在感、いかがでしょうか。

 

さて、こんな通知が出されました。

文部科学省HPより。

 

学校図書館の整備充実について(通知):文部科学省

 

通知文の冒頭にはこんなことが書かれています。

文部科学省では,学校図書館の運営に係る基本的な視点や学校司書の資格・養成等の在り方等について検討するため,「学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議」を設置し,本年10月に「これからの学校図書館の整備充実について(報告)」(以下「本報告」という。)(別添参考資料)を取りまとめていただいたところです。
このたび,本報告を踏まえ,文部科学省として,別添のとおり「学校図書館ガイドライン」(別添1)及び「学校司書のモデルカリキュラム」(別添2)を定めましたので,お知らせします。

ということで、ガイドラインが定められたとのこと、どんなことが書かれているのでしょうか。

リンクを貼っておきます。 

別添1「学校図書館ガイドライン」:文部科学省

 

時間のない方のために…目次はこんな感じです。

(1)学校図書館の目的・機能
(2)学校図書館の運営
(3)学校図書館の利活用
(4)学校図書館に携わる教職員等
(5)学校図書館における図書館資料
(6)学校図書館の施設
(7)学校図書館の評価

目次をざっと見て、学校で見聞きしている現状と照らし合わせると、特に重要だと感じるのは(3)(4)あたりのような気がします。

というわけで、まずは(3)を見てみましょう。 

下線は筆者が付けております。

 

(3)学校図書館の利活用

 学校図書館は,児童生徒の興味・関心等に応じて,自発的・主体的に読書や学習を行う場であるとともに,読書等を介して創造的な活動を行う場である。このため,学校図書館は児童生徒が落ち着いて読書を行うことができる,安らぎのある環境知的好奇心を醸成する開かれた学びの場としての環境を整えるよう努めることが望ましい。
 学校図書館は,児童生徒の学校内外での読書活動や学習活動,教職員の教育活動等を支援するため,図書等の館内・館外貸出しなど資料の提供を積極的に行うよう努めることが望ましい。また,学校図書館に所蔵していない必要な資料がある場合には,公共図書館や他の学校の学校図書館との相互貸借を行うよう努めることが望ましい。
学校は,学習指導要領等を踏まえ,各教科等において,学校図書館の機能を計画的に利活用し,児童生徒の主体的・意欲的な学習活動や読書活動を充実するよう努めることが望ましい。その際,各教科等を横断的に捉え,学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導するよう努めることが望ましい。
学校は,教育課程との関連を踏まえた学校図書館の利用指導・読書指導・情報活用に関する各種指導計画等に基づき,計画的・継続的に学校図書館の利活用が図られるよう努めることが望ましい。
 学校図書館は,教員の授業づくりや教材準備に関する支援や資料相談への対応など教員の教育活動への支援を行うよう努めることが望ましい。

単に読書をする、ということを超えて、学びの環境づくりについて言及されていますね。

そして、子どもたちのみならず、教員のための図書館、という考え方も書かれています。

 

続いて(4)です。

(4)学校図書館に携わる教職員等

 学校図書館の運営に関わる主な教職員には,校長等の管理職,司書教諭や一般の教員(教諭等),学校司書等がおり,学校図書館がその機能を十分に発揮できるよう,各者がそれぞれの立場で求められている役割を果たした上で,互いに連携・協力し,組織的に取り組むよう努めることが望ましい。
校長は,学校教育における学校図書館の積極的な利活用に関して学校経営方針・計画に盛り込み,その方針を教職員に対し明示するなど,学校図書館の運営・活用・評価に関してリーダーシップを強く発揮するよう努めることが望ましい。
教員は,日々の授業等も含め,児童生徒の読書活動や学習活動等において学校図書館を積極的に活用して教育活動を充実するよう努めることが望ましい。
学校図書館がその機能を十分に発揮するためには,司書教諭と学校司書が,それぞれに求められる役割・職務に基づき,連携・協力を特に密にしつつ,協働して学校図書館の運営に当たるよう努めることが望ましい。具体的な職務分担については,各学校におけるそれぞれの配置状況等の実情や学校全体の校務のバランス等を考慮して柔軟に対応するよう努めることが望ましい。
(以下略)

組織全体で学校図書館を利活用する取組を行うべき、との内容が盛り込まれています。

個人的にはさらにこれを「各教職員が積極的に司書と連携する」ことまで進められれば、本当の意味で学校図書館が活性化するのではないか、と感じます。

現状、両者の連携は思ったほど進んでいないケースも多いように思いますので…

 

最後に、(7)も見ておきましょう。 

(7)学校図書館の評価

 学校図書館の運営の改善のため,PDCAサイクルの中で校長は学校図書館の館長として,学校図書館の評価を学校評価の一環として組織的に行い,評価結果に基づき,運営の改善を図るよう努めることが望ましい。
 評価に当たっては,学校関係者評価の一環として外部の視点を取り入れるとともに,評価結果や評価結果を踏まえた改善の方向性等の公表に努めることが望ましい。また,コミュニティ・スクールにおいては,評価に当たって学校運営協議会を活用することも考えられる。
評価は,図書館資料の状況(蔵書冊数,蔵書構成,更新状況等),学校図書館の利活用の状況(授業での活用状況,開館状況等),児童生徒の状況(利用状況,貸出冊数,読書に対する関心・意欲・態度,学力の状況等)等について行うよう努めることが望ましい。評価に当たっては,アウトプット(学校目線の成果)・アウトカム(児童生徒目線の成果)の観点から行うことが望ましいが,それらを支える学校図書館のインプット(施設・設備,予算,人員等)の観点にも十分配慮するよう努めることが望ましい。

このブログの読者さんにはおなじみの「PDCA」サイクルについて言及されていますね。

すべての活動の基礎はここにあります。

そして、費用対効果についても記載があります。

限られたインプットを大きなアウトプット、アウトカムにできるかどうか。

ここが学校図書館の工夫のしどころなのでしょうね。

 

(文責:吉田)

 

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